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『通り抜け禁止』で通り抜けが知れ

Deadend 「通り抜け 禁止で通り 抜けが知れ」は私が大好きな川柳の一つ(国語の教科書に載っていたのだが、作者は覚えていない―作者不明だったかも知れない)。抜け道に使われまいと『通り抜け禁止』と書いた看板を出したばかりに、そこが抜け道であることが通りすがりの人たちに知られてしまい、逆に交通量が増えてしまったという笑い話である。

 これで思い出すのが、私の息子たちが小さい時に作った『秘密基地』の話。住宅地に隣接する緑地帯に『秘密基地』を作ったのは良いが、その入り口にチョークで大きく、「ひみつきち入り口。かんけいしゃいがいぜったい立ち入りきんし」と書いてあったのには笑えた。「秘密基地は存在自体が秘密なんだよ」と教えたところ、あわててチョークを消している彼らの姿がとてもほほえましかった。

 もう一つ思い出すのが地下鉄の駅であやうく転びそうになった時の話。毎日使っている駅の壁に見慣れない注意書きが貼ってあるので、なんだろうと近づいてみると、足元が滑ってあやうく転びそうになる。体を立て直して読んでみると、「この付近は濡れて滑りやすいので注意するように」と書いてある。これにはまいった。

 ちなみに、私の家の近所に、本当は通り抜けが可能なのに、『行き止まり(Dead End)』と書いた標識をどうどうと掲げた道がある。意図的なのか、何らかの理由でたまたまそうなったのかは知らないが、『通り抜け禁止』よりは効果があるに違いない。


CGMサービスの主役はサービスそのものではなく、ユーザーが作ったコンテンツ

Rabbit  少し前のことだが、ある会社にCGMサービスのベータ版に招待された。先方としては、私にこのブログで紹介して欲しかったらしいが、とある理由でまだ紹介していない。今日は、その「とある理由」の解説。

 新しいもの好きの私としては、さっそくユーザー登録をして自分なりのコンテンツ作りをしてみた。サービス自体はけっこう良く出来ており、出来たコンテンツも悪くない。そこで作ったコンテンツをこのブログで公開しようと、Permalinkを抜き出してブログに貼り付けるテストしてみたのだが、それがうまく行かないのだ。ログイン済みのユーザーがそのリンクをたどるとちゃんと私のコンテンツにたどり着くのだが、新規ユーザーがそのリンクをたどると、私の作ったコンテンツではなく、ユーザー登録画面が表示されてしまうのだ。

 その会社としては、できるだけ多くの登録ユーザーを集めようと、そんな設計にしたのかも知れないが、これは私のようなブロガーから見ると致命的な欠陥である。せっかくのCGMサービスにつき物の、バイラルマーケティング効果が台無しになるからである。

 通常のサービス(例えばGoogleサーチ)が「このサービス面白いよ」「このサービス便利だよ」などと『サービス主体』でユーザーからユーザーへと伝播されるのと違い、CGMサービスの伝達は『コンテンツ主体』で伝播されて行くという点に着目すべきである。YouTubeに初めて触れた時のことを思い出して欲しい。「YouTubeっていう面白いサービスがあるよ」と紹介されてYouTubeのホームページを開いてみたのがYouTubeに触れた最初の機会、という人はほとんどいないはずだ。大半の人は、「こんな面白いビデオがあるよ」とブログなどで紹介されているのを発見し、そこで(YouTubeなどというサービスのことは意識せずに)ビデオを見たのがYouTube初体験のはずだ。

 CGMのサービスの成功の鍵は誰が何と言おうとバイラル・マーケティング。そしてそれは、コンテンツを作った一人のユーザーが、どれだけの人数にそのコンテンツを通してそのサービスの面白さや価値を伝えることが出来るか、にかかっている。その係数が1以上であればユーザーの数は増え続けるし、1以下であればすぐ頭打ちになる(日本のの少子化問題と同じである)。

 ゆえに、私のようなアーリー・アダプターが作ったコンテンツを、他の人がいかに簡単に楽しむことができるように設計しておくことがものすごく大切になってくる。せっかくブログにコンテンツへのリンクを張っても、新規ユーザーがそのリンクをたどった時にすぐに見れるようになっていなければダメなのである(すぐ見れなければ、ほとんどのユーザーの意識は他に移ってしまう)。そこでユーザー登録をしなければコンテンツが見れないなど、もってのほかである。

 厳しいことを書いてしまったが、これが私がそのサービスをまだこのブログで紹介していない理由である。そこさえ解決していただければ(つまりワンクリックで私のコンテンツに新規ユーザーがたどりつけるようにしていただければ)、数千人の人に(私の作ったコンテンツを通して)そのサービスを体験していただけるように誘導するエントリーを書くことはいたって簡単である。ユーザー登録が必要な今のままでは、どんなに工夫して紹介したところで私のコンテンツにたどりつけるユーザーは100人にも至らないだろう。