正露丸に関する一考察
2006.09.26
少し前にUIEJのメンバーの間で正露丸のことが話題になっていたのだが、私自身興味があって以前調べたことがあったので、それをまとめて報告。
1.「正露丸」の商標は大幸薬品が所有しているが、他の企業も使用して良いことになっている。しかし、実際には、名前だけでなく、パッケージのデザインまでも似せた類似品がたくさんある。
2.正露丸は、日清戦争において伝染病に悩まされた帝国陸軍が感染症対策のために作った軍人用の薬。元々は「ロシアを征伐する」意味の「征露」から征露丸と書いたが、第二次世界大戦後、この名前は国際政治的に見て好ましくないとの行政指導があり、今の表記に変更された。
3.正露丸が下痢を止めるのは、殺菌によるものではなく、正露丸による腸管の運動と水分分泌を抑制する働きによるものである。不衛生な食べ物を食べた結果の下痢は、体に不適切なものを排除しようとする体の自然な働きであるが、正露丸はその正常な働きを抑制するものである(つまり、戦場の兵隊の下痢を一時的に止めるのには適している)。
ネットを調べると、他にも「正露丸には発ガン作用がある」「正露丸は適量をわずかに超えて摂取しただけでも腸内に潰瘍を作ってしまう」などのもっと過激な意見も書かれていたが、すでに「都市伝説」化した感もあるので、それを信頼できる情報とみなすかどうかの判断は読者自身に任せる。
「体が自己防衛のためにおこしている発熱、下痢などの症状は無理に抑えない方が良い」というポリシーの私としては、都市伝説めいた部分を除いた情報だけでも「正露丸は出来るだけ飲まない方が良いな」と思ってしまう。
ちなみに、「疲れたら医者で栄養分を点滴してもらって働き続ける日本のサラリーマン」と「下痢を無理やり正露丸で抑えながらロシアと戦う日本の兵隊」が妙にオーバーラップしてしまう。体がガタガタでは、いくらがんばっても生産性があがらないのが知的労働者である。体調が悪かったら一日でも二日でも体を休めて、体調をしっかりとなおしてから『界王拳』で一気に取り戻す、という働き方の方がトータルでの生産性は上がる、というのが私が30年近くこの業界で働いてきて学んだことである。
【ネット上の参考資料】
Wikipedia、正露丸
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%AD%A3%E9%9C%B2%E4%B8%B8
木クレオソートの止瀉作用についての新しい知見
http://yakushi.pharm.or.jp/FULL_TEXT/125_12/pdf/937.pdf
「正露丸」は"普通名詞"を得るまでの経緯
http://www2.osk.3web.ne.jp/~seiro/SAI.htm
正露丸、この謎に満ちた類似品の数々
http://ume.sakura.ne.jp/~juninho/fake/seirogan/
大幸薬品株式会社ホームページ
http://www.seirogan.co.jp/
危険な正露丸の服用
http://www.oita-min.or.jp/sub114.htm
正露丸とはどんな薬なのか?
http://www.geocities.jp/m_kato_clinic/seirogan-01.html
正露丸の問題について
http://www.mi-net.org/yakugai/daboard/dascramble/seirogan.html
『買ってはいけない』論争の「正露丸」
http://www.geocities.jp/m_kato_clinic/seirogan-notbuy-01.html
正露丸の中毒量は常用量の約2~4倍
http://www.toiken.co.jp/dinews/seirogan.html
界王拳3倍だー!とかいいつつプログラム書くですか。なんか妙に燃えますねそれも。
Posted by: Sugano Yoshihisa(E) | 2006.09.26 at 18:26
誤字が気になったので、指摘させていただきます。
> 体調をしっかりとなおしてから『海王拳』で一気に取り戻す
リンク先は「界王拳」ですが、本文は「海王拳」になってますね。そこが気になる、ドラゴンボール世代の大学生でした。
Posted by: gorilla | 2006.09.26 at 23:01
いつも拝読しております。ブログへは初めてコメントさせていただきます
(ちょっと緊張。。。しかもこんな雑談ネタで。。。)
「正露丸は普通名詞、商標ではない」と聞いて納得したのですが、同じ名前で、似たような匂い・見た目・効能として知られている薬は、日本以外の国にもあるようです。
アメリカ留学中に、台湾人のクラスメイトがお腹を痛がっていたので、「日本で最もポピュラーな腹痛の薬をあげるよ!」と言って正露丸を渡したら、ラベルを見て「同じ薬が台湾にもある!」と言われました。更に、それを横で見ていた韓国人のクラスメイトまで「え、ホント?韓国にもあるよ!」とのことでした。みんな(1975年前後の生まれです)「けっこう古い薬。物心ついた頃には既に自分の国では"腹痛には正露丸"と認知していた」「他の国にもあるなんて知らなかった」と驚いていました。
てっきり大幸薬品がライセンスでもしてるのかなーと思っていたのですが、中島さんのブログを読んで気になって調べてみたら、現地生産しているものもあるんですね。奥が深い。。。
大幸薬品「伝統薬ロングセラー物語 正露丸」
http://www.tokakyo.or.jp/dentoyaku/seirogan/
【韓国】 国民的腹痛・止瀉薬、トンソン正露丸~大幸薬品の退職工場長から製剤技術学んだ[09/17]
http://news18.2ch.net/test/read.cgi/news4plus/1158503205/
台湾の「征露丸」
http://blog.oitablog.jp/takaakira/archives/2006/05/post_92.html
Posted by: Tomomi ASHINO | 2006.10.04 at 20:23