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技術者にも必要な「もうける決意」

Leaves 「日経エレ10月9日号」の「日本半導体産業・復活への提言(湯之上隆著)」。半導体産業に限らず、ソフト・家電・ゲーム・ウェブサービスなどを含んだ広い意味での「この業界」で生き残るために必要な提言を含んだ、すばらしいペーパーだ。

 オンラインで全文を読んでいただくことが出来ないのが残念でしかたがないが、このペーパーにこめられた著者のメッセージが集約された部分を引用させていただく。

 ある日本のメーカーの技術者は「開発部門の技術者は、開発にしか興味がない」と証言した。別の技術者は「おおくの技術者は、コスト削減を工場の仕事と考えている」と話した。(…中略…)一方、Intel社の技術者は「ある開発プロジェクトに対する社内評価は、どれだけの最終製品をいくらで出荷したかが判断基準になる」という。開発者のボーナスも最終製品の利益で決まる。これが、開発段階で徹底した低コスト化を目指すインセンティブになっている。

 言い換えれば、開発部門が製造コストのことをあまり考えずに設計し、それを工場側が後から(すなわち製造プロセスが決まってしまってから)なんとかコスト削減しようと試みるのが日本の半導体メーカーで、逆に、開発部門が最初から製造コストを意識しながら製造プロセスを設計するのが海外のメーカーだ、と筆者は言うのだ。つまり、海外半導体メーカーの高い収益率は、技術者が積極的に「もうける決意」を持ってもの作りをしている点にある、という結論である。

 「究極にまで良いものを作ってこそ良い技術者」、「金もうけ=拝金主義」などといった日本固有の美徳のようなものが邪魔をしているのかも知れないし、技術と経営の両方が分かる人材が少ないのが原因かも知れないが、ここまで分かりやすく日本の半導体メーカーの問題点を指摘した点は高く評価できる。

Comments

yuna

日本ではPanasonicがその方式に近いですね。
ある部署ですが、エンジニアがつくった製品を営業が買う。営業がそれを売りに行く。
つまり営業はモノを選ぶ目、エンジニアは市場まで視野にいれた物作りが必要となります。

似たような会社でCTCもあります。
CTCは打ち合わせにエンジニア同伴するときエンジニアに社内対価を支払います。これが給与査定となります。エンジニアも選ばれるものと力量を鍛えなければいけないし、営業にアピールが必要となるわけです。

主婦

本気でプログラマやっている時はクオリティと利益のことばっかり考えて仕事してました。
自分が作る作品(商品)はヘボな形で残したくない。良いものが出来てさらにそれが自分に返ってくるなら言うことない。

現在は主婦ですが、そんな気持ちでもう一度真剣に仕事してみたいです。
今はすっかりその感覚や技術も宝の持ち腐れです....。

日本でも個人単体ではコストに常に気を使って仕事している人もいるのではないかなとは思いますね。少ないとは思いますが。
技術者にも当然必要なスキルだと思います。


通りがかりですが、色んな記事を「そうそう!」と思いながら興味深く読ませていただきました。

かに

利益を考慮するエンジニアの話とはそれてしまいますが、
>開発者のボーナスも最終製品の利益で決まる。
単純明快な方法ではあるが、担当したものによって評価が異なると、同じ社内でも利益が出ない部門は不満が出てくる。
営業で言えば富裕層の地域とそうでない地域でも差がでてしまう。

Satoshi

>担当したものによって評価が異なると、同じ社内でも利益が出ない部門は不満が出てくる。

 確かにそうですね。ただし米国の場合には、転職も比較的容易だし、社内での転籍も日本よりはずっとしやすい。その結果、不採算部門からは優秀な人がどんどんと出て行ってしまうことになります。インテルのXScale(携帯電話用のCPU)なんかは典型的な例で、結局他社に部門ごと売却してしまいました。つまり、「だめな部門はさっさとつぶすか売却した方が良い」と割り切った経営をしているのが米国の企業、という捕らえ方もできます。

心は萌え

Prescot(売り上げは出るだろうけど、性能がない)によって
AMDに差を詰められるという事を
をやらかした・・・
Intelがそう言うことを言うとはおもしろいですね。

結局、性能が無いことにより、長期的な競争に負けたという自体を考えると
単年度の利益で物事を評価して良いのか?というのは非常に興味深いと思います。

日本のNTTなどは50年計画で淡々と光ファイバーや携帯電話を進めてきました
その結果が、現在の携帯大国、光大国 (アメリカよりもスゴイ)という現象をまき超しているのではないでしょうか?

結局、経営や技術はバランス感覚だと思います。どちらかに偏ってはダメで、どちらも持っていてバランス良く運営できることが重要だと最近感じでいます。

とおりすがり

>「日本のNTTなどは50年計画で淡々と光ファイバーや携帯電話を進めてきましたその結果が、現在の携帯大国、光大国 (アメリカよりもスゴイ)という現象をまき超しているのではないでしょうか?」

これは違うと思いますね。
ADSLを最初に手がけたのは東京めたりっく通信。NTTは光ファイバーどころか、ADSLが出た後も長い間ISDNという負の遺産に拘っていました。FDDIに手を出すようになったのはYahoo!が大攻勢をかけた後の話です。
携帯電話に関しても力を入れたのは分離分割で生まれたNTT DoCoMoであって、それもライバルあっての話。電電公社時代のままだとああいう新規事業に手を出したりはしなかったのでは。

それから元の技術者の話ですが、全ての技術者がそういう意識を持っていないわけではないですよ。しかし現場の技術者がそういう意識をどれだけ持っていても、経営者に無い限りは、豚に真珠なんです。アメリカならそういう豚経営者の元からは優秀な技術者は去っていくんでしょうけれど、日本では転職が難しいので才能の無駄遣いをせざるを得ないのです。

かに

>Satoshiさん
回答ありがとうございます。
不採算部門をやめるという考え、米国の方法分かりやすさはとても好きです。

>とおりすがりさん
>全ての技術者がそういう意識を持っていないわけではないですよ。
しかし現場の技術者がそういう意識をどれだけ持っていても、経営者に無い限りは、豚に真珠なんです。
アメリカならそういう豚経営者の元からは優秀な技術者は去っていくんでしょうけれど、日本では転職が難しいので才能の無駄遣いをせざるを得ないのです。

日本の場合、三年で転職だとあきっぽいとか思われますしね。

心は萌え

>これは違うと思いますね。
いいえそんなことはありませんよ。
始めること自体は遅いですが、
日本全国光ファイバーを張り巡らしたりする物理的な工事は
ものすごい前から淡々と進められていました。

こういった配線系の工事は、すごーく前からやらないといけないんです。
毎年冬に工事とかやるじゃないですか、
ああいう少ないチャンスに少しづつ線を延ばしていった結果
日本全国に光ファイバーが張り巡らされている。
という現状ができています。

その他電線だって、電柱を張り巡らすという下準備
共同溝を作るという下準備をしてのことです。

Yahoo ADSLといったって、そういった土臭い工事は全てNTTや電力会社など
長期的スパンをもった会社からダークやドライで借りているものではありませんか。

結局そういう、一般の人には評価されない、目に見えないところの
準備があってこそ、光通信がひろまったり、電話が繋がったりするのです。

しかし、目に見えないから評価されにくい。
では、光通信に、ファイバーを物理的に引いたり、そのための、ラインを道路の下に埋めたり
そういう、土臭い、ガテン系の工事は本当に不要でしょうか?

利益が出ないということと、公共性は違うファクターにあると思います。

iseeker

この問題は技術者の問題と言うより経営の問題のような気がします。技術者は課題解決のプロです。きちんとした課題が設定されていれば最良の答えを導くために最大の努力をするもんです。
顧客の要求と自社のリソースを勘案してQCDのバランスを決めて提示するのが経営の役割だと思いますが、それができていないから「開発しか興味のない技術者」を作ってしまうのではないでしょうか?
結局、技術と経営の両方が分かる人材が少ないのでは?というのは、その通りだと思います。

oze

あまり難しい問題ではなく、「ニーズに鈍感な技術者(作りたい物ではなくて作ってもらいたい物が何かよく分かっていないということ)」とそれを放置出来る「経営者(経営体制)」という構図が結構広い範囲で成り立つほど日本は豊かであったというだけのことです。政策から考えて、皆が豊かになることはあり得ない方向に向かっているので、もうそんなに余裕のある開発や製品投入は許されなくなっていくので、(両者の意識は)自然と修正されるでしょう。ただ、この修正過程の前を行くか後ろを引きずられて行くかで痛い思いをすることになるかどうかが決まるでしょう。

snowbees

下記は参考になります。QUOTE
技術力から見た日本半導体産業の国際競争力. 湯之上隆. 1.はじめに. 本論文の第一の目的は、1990 年から 2000 年にかけて日本半導体産業の国際競争. 力の低下の原因を、生産に関する技術力の視点から説明することにある。更に、本論 ...
rapas.doshisha-u.jp/en/list_papers/get_dls.php?fid=27 - 関連ページUNQUOTE

通りすがりのデータ通信系技術者

心は萌えさんの投稿から引用:

> ADSLを最初に手がけたのは東京めたりっく通信。
> NTTは光ファイバーどころか、
> ADSLが出た後も長い間ISDNという負の遺産に拘っていました。
> FDDIに手を出すようになったのはYahoo!が大攻勢をかけた後の話です。
> 携帯電話に関しても力を入れたのは分離分割で生まれたNTT DoCoMoであって、
> それもライバルあっての話。
> 電電公社時代のままだとああいう新規事業に手を出したりはしなかったのでは。

通りすがりのデータ通信系の技術者です。

心は萌えさんの認識は間違っています。

東京メタリック通信やYahoo!等の訴訟に敗訴し、
NTTが古い自社インフラを他の通信会社に提供しなくてはならなくなったため
FTTHの提供開始も早まっただけです。

ISDNより以前から光ファイバーによる伝送路の研究を行い、
世界で一番の光大国に仕立て上げようとNTT(国も?)は考えていたようです。
少なくともWindows 95発売以降、
ISP業者が増え始めた時期には、
NTTの構想が雑誌等でよく取り上げられていたような記憶があり、
すごいなぁと関心をしていました。
当方は当時、ADSLは無用な物と当時は認識していました。
しかし、このYahoo! BB等のお陰で、
光を含めたブロードバンドが安価に提供された功績は大だと思っています。

# 当時、韓国がADSL大国だったなぁと感慨深げに思ってみたり…(笑)

NTTは本来ADSLサービスのような伝達が
不安定なサービスの提供を行いたくなかったようで、
NTTの古いインフラを用いた
ADSL等のアナログ通信のサービス提供を拒んでいました。
先述した敗訴により各通信会社にサービスの提供を開始したことによって、
ユーザーが他社に流れるのを阻止するために
やむを得ずNTTもADSLサービスを開始したことは皆も周知のはずです。

NTTは古いアナログ伝送路を排除し、
光を含め全ての回線をデジタル化したかったようです。
古いインフラを用い、簡単にデジタル化を行うISDNから光へと…。
このNTTの発想から考えると、
ADSLサービスの方が「負の遺産」だと言えるでしょう。

携帯電話に関してはIDOが拡大したことによって、
DoCoMo誕生以前からNTTは力を入れています。
DoCoMoやパーソナルの誕生は独占禁止法で騒がれる前に、
分社化を進めただけでしょう。

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