ブログアート:誰もがアーティストになれる時代がやって来た
ビルゲイツの面接試験―ドラゴン桜編

あなたは実は「簡単に引きちぎることのできるロープで繋がれているだけ」なのかも知れない

Snowroad 今年の年末年始は、休みを利用して、前々から気になっていた「数学的にありえない」の一気読みの予定。まだ読み終わっていないのだが、下巻の中ごろになかなか含蓄の深いフレーズを見つけたのでメモ。はたから見て「明らかにした方が良い転職」に踏み切れない友人の背中を押してあげるときにでも使えそうだ。

 ナヴァはふと、子供のころにサーカスではじめて象を見たときのことを思い出した。象はぜんぶで三頭いた。どれも体重が六トン以上もあり、太い足の一本に巻かれた細いロープで杭につながれていた。それを見たナヴァは不思議に思い、父に訊いた。なぜあの象はロープをひきちぎってしまわないのかと。

「そんなことはできないと思いこんでいるんだよ」と父は説明してくれた。「象は赤ん坊のころ、重い鎖で杭につながれて育つ。その最初の数ヶ月のあいだに、どんなにがんばっても鎖が壊せないことを教えこまれるんだ」

「でもロープは鎖なんかより、ずっと切れやすいじゃない」とナヴァはいった。「象なら簡単にひきちぎれるのに」

「そうだ。でも、調教師がロープを使うのは、ぜったいに逃げられないことを象が学んでからなんだよ。わかるかい、ナヴァ。象が逃げられないのはロープのせいじゃない。象の思いこみのせいなんだ。頭に刷りこまれた思いこみがいかに大きな力を持っているかといういい証拠だな。自分にはできると思えば、人はふつうならできるはずのないことだってできることがある。でも反対に、自分には無理だと思いこんでいることは、ぜったいにできない。なぜなら、試してみようともしないからだ」

 小説を読む時に大切なのはもちろんストーリーであり人物描写なのだが、こんなふうに、登場人物の口を借りて作者が語る人生観のようなものが垣間見える瞬間がまた楽しい。「マフィアの親分が語る人生哲学」というエントリーで紹介した、ワイルド・ソウルの中に読み取れる稲垣涼介の人生哲学と同じく、この部分にも作者(アダム・ファウアー)の人生哲学が色濃く出ている。

Comments

isoya

年の瀬に、なんだか感動してしまいました。
私事ですが、挫折しかかっていることをもう一度頑張ってみようという気になりました。
ご活躍を!

UIEngineだ

自分にとって何がロープかを客観視できるか?あるいはそれに気付かせてくれる誰かが周囲にいるのか?その辺が面白いところです。2006年はUIEngineで色々勉強させて頂きました。ありがとうございました。来年もよろしくお願いいたします。

hg

いい言葉ですね。

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