悪徳マルチ商法の被害者をインタビューしてみた
2006.12.17
先日、ひょんなことから悪徳マルチ商法の被害者(24才、男性、四大卒、現在ニート)をインタビューする機会があった。社会人になりたての若者を餌食にする巧みにしくまれたワナ。表面上は合法的なマルチ商法を装っているが、その実質はねずみ講だ。この手の悪徳商法は決して今に始まったものではないが、これだけ教育が充実し、ネットに情報があふれる時代になったにも関わらず被害者が続出するのを放置しておくのは、このブログで常日頃から発言をしている身としては許せない。そこで、今日は、そんな被害者を一人でも少なくするための私なりの試み。
その青年と話して何よりも驚いたのが、彼自身が被害者だということにまったく気付いていないこと。現在ニート生活中の彼いわく、「自分が本当にやりたいと思う仕事をするためには、生活の基盤が必要。その基盤作りのためにこのネットワークに参加した。もう少し傘下の会員を増やすことができれば、何もしなくても黙って月70万円の収入が入ってくるようになる。」
その青年は数ヶ月前にネットワークに参加し、すでに20人の会員を傘下にリクルートしたという。その青年の恋人、後輩、友人に始まり、さらにすでにその人たちの知人にも広がっているという。それぞれの会員は、2万円弱の入会金を払ってネットワークに入会し(2万円以上だと違法)、各種セミナーに参加してさまざまな教育(別の言い方をすれば「マインドコントロール」)を受けた後、35万円の浄水器・サプリメントからなる「スターターキット」を自由意志で購入した後に(これを義務化すると違法になる。かなり優秀な弁護士をかかえた組織のようだ)、今度は自分の傘下の会員集めに走るという。
彼に言わせると、その40万円近い投資も、「自分の傘下の会員を集めることさえできれば、すぐに元が取れるようになるし、実際、月々70万円を稼いでいるシニア会員もいる」らしい。
私が、「君自身は、月々幾ら稼いでいるの?」とたずねると、「来月には30万円はもらえるはず。今月は後一人入る予定だし。来月に三人増やすことができれば、ランクが上がって30万円もらえることになっている」と少し歯切れの悪い答えが返ってくる。
「じゃあ、今月はいくらもらったの?」と尋ねると、「約15万円」だという。「じゃあ、元はもう取ったんだね」と言うと、「お金をもらい始めたのは先月からなので、まだ元は取れていない」と言う。
さらに聞き出すと、上流の会員から買わされた色々なものを含めると出費がトータルで45万円、ネットワークから受け取った額は、トータルで30万円弱だという。数ヶ月懸命にリクルート活動に励んだあげく、差し引き15万円の損だ。買わされた浄水器はもちろん使ってもいない。
「よくそれだけのお金があったね。」と尋ねると、ニートになる前の仕事でためた貯金を使ったという。「みんな若いのに、良く35万円も出せるね」と指摘すると、「貯金がない場合には、消費者金融から借りてもらう」という。私が顔をしかめると、「フリーターやニートにとっては、安定した収入を確保することはとても重要。そのための投資だと思えば、35万円は安いもの」だとの返事が返ってくる。彼は、本気でこのネットワークが会員のためになると信じているのだ。ある意味で、「自分だけが儲かれば良い」と思って他人に入会をすすめる確信犯よりもたちが悪い。
私が「ねずみ講って何か知ってる?」と尋ねると、「聞いたこともない」という(学校ではいったい何を教育しているのだろう)。私が「これって、一見合法的なマルチ商法の形をとっているけど、実質はねずみ講と同じだ」と指摘しても理解できない様子である。「こんな風に、無限に会員が増えないかぎりなりたたないものをねずみ講って呼ぶんだ。こんなシステムはいつか必ず破綻する。経営者たちは、たぶん会員が十分に集まったところで、お金だけ持って計画倒産させるから、その時に損をするのは、君がリクルートした末端の会員たち。そして、その時にせめられるのは君だよ。」と厳しく指摘をする。
結局のところ、彼自身がこのシステムの異常さに気が付いて目を覚ましてくれることを願うしかない。増え続けるニート・フリーターをターゲットにしたこの手の悪徳商法。法改正をいくらしたところで、いたちごっこで、「ねずみ講が本質的になりたたない」をことを理解できない青年たちが社会に送り出され続ける限りなくならないのだろう。こういう場を使って、社会にはどんな危険が待ち構えているかを彼らに知らせることが、ブロガーとしての私にできる精一杯のことだ。
私も、現在大学生なのですが、一度マルチまがいの説明会に参加したことがあります。
そのときは「モバイルビジネスパートナー募集」というテーマで、初期会費10万円払った後、ポイントサイトや着メロサイトへのリンクがついたモバイルサイトをもらえそこでの収益をあげる、とうい形でした。
でも実質そのポイントサイトの会員登録数でもらえるお金がきまり、初期会費がかかることとねずみ講の雰囲気がしたので辞めたのですが、彼らの営業力・説得力はすごいものがありました。
そういう営業には耐性があるほうだと思ってたのですが、途中まで信じ込まされてしまいました。
こういうのって一回その中に入ってしまうと外部の声って聞こえなくなってしまうものなのだなと改めて感じました。
と、駄文をお許しください。
Posted by: 8maki | 2006.12.17 at 18:34
マルチ商法は実際よく考えられた商法です。
摘発のたびに、「ポイント」とか「上位グレード」等と言葉を変えながらそのインセンティブを与えているのが実態です。
これだけ世間で「振り込め詐欺」が騒がれていても被害がなくならないのと同様、自分の身は自分で守るしかないのでしょうか。。。
たとえ話として
「今1000円あったら何を買う?」という問いを天文学的な金額まで徐々に増やしていったらどうなるか、というのがあります。
1000円の時、1万円の時、、、大体1億円くらいまでは一般ピーピルは考え付くそうですが、1000億とかを越えると、想像の範囲を飛び越えてしまい、思考が破綻するそうです。
会員が5人、10人等と小規模な段階で説得力のある説明をするのはそのためなのでしょう。
どの社会でも「胴元」は儲かりますから、、、自分たちもそこに入りたいという人たちが被害者になり加害者になってしまうのでしょうか。。。人間の悲しい性(上昇思考、思考の範囲、楽して儲けたい)を逆手に取った絶対に許せない商法です。
Posted by: とむとむ | 2006.12.18 at 01:20
知り合いに進められてそういう説明会に参加したことがあります。
強調されたのは2つのポイントでした。
(1) ビジネスモデルが新しく革新的。
(2) 現に会社は急成長している。
そのときの(2)については売り上げ、利益が世界最高との話で信用する余地はほとんどありませんでした。
ただ、私は、(1)についてはある程度理解はできます。よく言えばバイラルマーケティング的な特徴を持っているので商品がその額に十分見合うものであれば爆発的に広まりみんなハッピーとなるので。
問題なのは、商品がその額に見合わないときで、この認識があって取引をするということは明確にねずみ講の構造を意識して自分が親ノードになる意図をもつ必要があります。
この形態にだまされる人がおおいのは、前者と後者のいい方だけを解釈して取り込まれやすいことだと思っています。
実際に私の知り合いは、商品が非常にすばらしいものであると思っているようでした。
Posted by: SQ | 2006.12.18 at 11:11
それは違う。
商品の良し悪しではなく、メソッドがまずい。
というのが本質。だまされるよ。
Posted by: a-sq | 2006.12.18 at 22:08
マルチといえば、、 合法のマルチのこれなんてどうでしょうか?
www.agloco.com/r/BBBG1442
Posted by: Pranik | 2006.12.19 at 11:21
シアトルでも色々ありますよー
友達の友達がアーボンに参加したとかで、止めようとしたんですが無駄でした。http://www.arbonne.com/
副業が欲しい主婦を、ネーミング(数人リクルートしたらRegional Vice Presidentとか)や車がもらえるメリットで釣っているような印象を受けました。商品そのものの説明よりも「マーケテイングネットワークに参加するメリット」の説明の方に力がはいっているところからもヤバそうな感じがします。もちろん自由意志でキット購入するところから始まるので、幾らかはわかりませんが1000ドル近くの初期費用がかかるようです。
でも彼女は「女の人ばかりの職場でフレンドリーだし、時間の自由も利くし、今の生活をアップグレードして夢をかなえたい」なんて言ってるので完全にソールドされちゃってます。
「ガールズネットワーク」を利用するなんてタチが悪いなあと思います。
これって自分自身が気をつけるとか色々質問する他に目を覚ましてもらう方法なんてあるんでしょうか?
Posted by: ふみ | 2006.12.20 at 12:52
私の身内もこれの類に引っかかってまして、説得してもセミナーの受け売りを返すだけでしたが、
2chではその会社がどういう風に言われてるか見ろ、と見せると、何かを納得してやめてくれました。
2chもたまには、役に立ちます・・・
Posted by: es | 2006.12.21 at 14:56
始めまして。各種MLMアンチサイトや2chMLMスレに出入りしております。
まことに不躾ではありますが、とりあえず気になった点があったので、ご考慮いただければ幸いです。
まず第一に「初期投資金額」に関して(現在特商法では特定負担と呼称)
現在2万円という法的根拠はありません。そもそも2万円は旧訪販法(現特商法)に於いて連鎖販売業の基本要件として求められた物です。
つまり、初期の支払い金額が2万円を超えると「連鎖販売業」(マルチ商法)として規制の対象となった物です。
当時、この特定負担がネックとなって「マルチ商法」に該当しなかった「アムウェイ」をはじめとする企業に対する呼称として「マルチまがい」という言葉が生まれました。
出資法の違反については
「必ず儲かる」等の元本が帰ってくると誤解させる表現が必要ですので、これが該当するかは現在のコンテンツからは読み取れませんでした。
第2に、若者が参加したマルチ商法を「ねずみ講」と断定している件について。
現在、ねずみ講の該当要件として「マルチ商法の形態ではあるが、著しく商品価値に対して価格が高い物」という括りはありますが(これで数社が検挙されています)
マルチ商法の形態を取って、商品の購入金額が高いだけでは「ねずみ講」と呼ぶのは適切でないと思われます。
尚、この場合、特定商取引法34条に於ける、禁止行為(事実の不告知」「不実の告知」においてこの若者を勧誘したアップが悪徳の謗りを受けるのは当然ではあります。
特商法の規定に於いて、「収入を期待させる場合、その収入を得るための根拠」の実証が勧誘者に義務付けられています。
「私は○○円貰っています」と言った場合でも、その収入を得ているのが組織の大多数であることを証明せねばなりません。
確かに非常に悪質であり(悪徳に陥らないマルチなぞ無に等しいですが)非難されるべき事例であるとは思います。
しかし、マルチ業者の本当に悪質な人間はこういった記述の些細な間違いを利用し、如何にも「アンチの言うことは嘘ばかり」であるかのように思考を誘導してしまいます。
せっかくの好コンテンツなのですから、そういった隙が少しでも少なくなればと思います。
以上、若輩者の意見ではありますが、ご参考にしていただければ幸いです。
Posted by: 2chの名無し | 2006.12.26 at 03:12
六大学の四年制大学を卒業し東京駅近くの上場企業に就職した知人が、西新宿のビルで集会をやるアメリカ生まれのニュービジネス(本人談)とやらの虜になった。オリンピックを開催したあの都市が本山の異端教団(キリスト教から見れば異端である)との関係が非常に深い会社といへばお判りだらうか。その知人はなにわ金融道の単行本を全巻所有し当然読破した上でこの商法の虜になった。何を言っても止めないし、更に日曜日に神田で会場を借りて勧誘までしていたので、この男の会社の人事に電話して止めさせた。勧誘は違法で即逮捕である。後日、この男の親から架空請求の電話がかかって来た。親もカネに困ってはいたらしい。その架空請求も会社の人事に電話してやった。他にもやっている虞があるからで、あくまでもこの男の為だ。なにわ金融道なんか読んでも効果の無い事はお判りだらうか。これはアメリカの異端教団が関わっている事からも判るやうに『洗脳』に他ならない。又、警視庁のベテラン相談員に相談した所、オウム真理教と同じでそれ以上関わるとミイラ取りがミイラになるので今後一切関わるなと注告された。最後に余談ではあるが、この異端教団の神奈川県にある某教会にはマルチ商法の会社に勤める独身男女が二十人近くもいたとお伝えしておこう。だからちょっといいですか?は無視して下さい
Posted by: 友人が被害者 | 2007.04.07 at 11:09
お邪魔します。
かつて週刊ポストで経営コンサルタント大前研一の読者相談で「アメリカで弁護士の資格を取って、
特許関連の仕事がしたい」という相談に大前研一が「今の『休日関係なく顧客に呼ばれたら行かなけれ
ばならない』(相談者の)仕事がつらいのは分かるが、『現実逃避のために実現不可能な夢想にふけ
る』青い鳥症候群に陥っているのではないか。特許関連はちょっとした言葉のニュアンスで穴だらけの
それになる。それは『TOEICで何点』といったレベルではない。また日本の司法試験には学歴制限は無
いが(大学在学中に受かった人もいる)、アメリカの場合は大学院を出ていないと受験すらさせてもら
えないし、たとえさせてもらえてもハーバードといった名門大学のロースクールを出た秀才達とのガチ
ンコ勝負になる。本気でなるつもりならその程度は自分で調べているはず。」と答えていました。
この人の場合もマルチ商法は「ニートには先が無い(かつ時間がたてばたつほど不利になる)」とい
う"現実"から"逃避"する手段なのではないでしょうか。「一旦ピラミッドを構築すれば、後は何もし
なくてもお金が入ってくる」という"夢想"にふけっているのでは。
Posted by: ブロガー(志望) | 2007.04.20 at 06:33
マルチ(MLM)でこのようにマインドコントロールされている人達って、大きな視点で物事を見れてないような気がします。お金の流れを考えると末端会員から巻き上げてるのがすぐわかるはずなのに・・・
ここは大丈夫って思ってるんでしょうね。ここで提案ですが、その会社ではなく、別のMLMの具体例をケーススタディーとして理解させればいいのではないかと思いました。
Posted by: Norah@AGLOCOマルチMLM | 2007.11.03 at 01:18