素直な疑問:数字には四桁ごとにテンを打った方が日本人には読みやすくないか?
「なぜダムを建設する必要があるのか」に関しての共通の理解を持たずに「ダムを川のどこに建設すべきか」を議論していないか

企業の決算情報とおもてなし

 昨日のエントリーへのフィードバックがたくさんいただけたので、今日はその応用編としてもう少し具体的な例を示す。まずは、下の表を見ていただきたい。

Three_digits

 公開企業が株主(もしくは将来株主になろう人たち)のために発表する決算情報は、多少の違いはあれ、おおかたこんなフォーマットで提供される。

 問題は、右下の「単位:百万円」である。「日本語の作文技術」の著者である本多勝一氏が「植民地的」と批判する三桁法を使っているためにこんなことになってしまうのだが、この決算情報を一目見て「この会社の前期の売り上げは1244億円だったのか」と把握できる人は、証券会社の人と熱心な投資家・投機家ぐらいだ。私のような普通の人は、相当注意して読まない限り簡単に桁を読み違えてしまう。

 そこで、日本語に適した四桁法と、ちょっとした工夫を使ってこの表を書き直してみる。

Four_digits

 これだけの小さな工夫で、こんなに読みやすくなる。User Exprience Matters! (=おもてなしは大切だ!)

Comments

AL

ご提案の表記では信頼できる桁が1つ少なくなってしまいますね。単位が百万と表記してあった場合、4桁系の千万単位に小数点が1桁付いていると見たら良いのでは。例の 124473は12447.3で、最後に.3があることで7千万が8千万寄りではないことを示していると。1千億の売上のある会社なら1千万の誤差で影響が出ることもないのでしょうけれど、あまり関心がない人はおそらく千万の値も四捨五入してしまうでしょうから、際どいラインだと誤差が億になってしまいそうです。

ぽろん

数字をちゃんと見ている/見る必要がある人は、3桁の区切りの数字が読めます。というか、3桁じゃないとぱっと数字を読めません。えらそうにしているわけじゃなくて、その辺の事務の女の子でもそうです。主要なユーザーの利便を考えるべきです。

はっきりいって、今回作っていただいた表のように何百億円台の数字を千万から表記する方法は営業・財務経験ありの人間からは違和感ありすぎです。「1244億37百万」と書くのが、多少ましです。

3桁区切りを「普通の人」が「読みにくい」と思ってもいいと思います。「普通の人」は、そもそも数字を読む必要がないから慣れておらず、これを「読みにくい」と思うのです。必要が生じた時に気をつけて読めばよいだけです。そのうち3桁区切りの方が読みやすくなります。

それに3桁区切りでも、大台感のあるところにコンマがあるともいえますよ。

硬貨からお札になるところにコンマ(千かコンマの位置)。

大金のちょっとした区切りである百万円が次のコンマ。

「1億円」は、さらに次のコンマのちょうど手前。100,000,000円。3桁ブロックが3つ。

そして次のコンマは、ちょうど「兆」にあたります。

haj

わたしの場合、下のエントリのコメントで書いたソフトでは、日本語表記は、兆、億、万(そして円)だけにして、十や百や千は省きましたが、それで十分読みやすかったと思います。

ishisaka

コメントを読まさせて頂いて、つくづくユーザーエクスペリエンスは、対象とするユーザー自身に結びつくものだと痛感しました。
カンマ、ピリオドの意味も欧州と日本では逆なので、経理に慣れた人向けに書いた書類も欧州の同業者にとっては醜いものになってしまうでしょうし。
いやはや、簡単に答えなんて出ませんね。

asamac

これこそ過剰慣性の働いているネットワーク外部性ですね。
個人的にはみんな(日本人)にとって読みやすい中島さんの提案する方法に統一されてくれれば、日本人にとって数字が親しみやすいものになるのではないかと思います。

S&P500+

各言語への最適化をしたほうがいい

英語内では3桁、日本語内では4桁とはっきり
分ければいいのだ。そもそも国内向けと海外向け
を共通にしようというのが横着というもの。
国際標準がそうだからというならそれなら
日本語を廃し国語を英語にしてしまえば一番
いいわけでなぜそこまでは言わないかといったら
”現状維持”したい向きの
言い訳でしかないからだ。
本当に英語力があればきちっと切り替わる。
みんなが海外でビジネスするわけではないし
これから生まれてくる子は慣れないと
いけない時間がもったいない。
注意しなきゃいけないというコストを払わされる
筋合いもない。
そんなわけで日本語に最適化された中島さんの
表は素晴らしく見やすい。さすがプログラマー。
特に役所はすぐにこれを見習うべきだ。

ところで植民地どうこうは違う気がする。
中島さんの先生もそんな複雑なことは考えずに
思考停止して敷居の高いことを教えたほうが
自分が楽で優位性が保てるから無意識に
そうしたのだと思います。現状維持したい人も
そうだと思います。この点は本多氏の被害妄想
だろう。

HKN

とても興味深い一連のエントリーでした。
今後、企業が一般の投資家を更に呼び込みたいつもりなら、このような書き方もありかもしれません。
逆に分かりづらく感じる人もかなり出るでしょうね。
私はキーボードをABC順に配置してくれとおもったりしてますが、
これも反対する人はかなり多いのでしょう。

truego

つい最近、予算関連の書類を読んでいて同じようなことを感じました。
どれに慣れているかは人それぞれなので、1種類だけ書いてあとはソフトウェア(既にあるのかな?)で自動的に数種類用意するってのが良いかなと思っています。
似たようなことが翻訳についても言えそうで、こちらは現段階ではちょっとコストがかかりすぎますが、時間が解決してくれそうな気もしています。

田中一郎

おもしろい話題ですね。
私は『言文一致派』なので、ナカジマさん方式で資料をつくったこともありますよ。
「それがいい!」っていう人もいれば、「だめ!」っていう人間もいましたね。

いっそのこと表記のみならず、
いまの4桁区切りにかわる新しい単位をつくるのはどうか、とか思いました^^
(英語をデファクト言語とするわけですが)

shige-zo

確かに3桁区切りの数字を使い始めた時、ブラインドタッチを憶えようとした時は、4桁区切りにしてほしい、ABC順に配列してほしいと思いました。

でも、慣れてしまうと今更切り替えるのは逆に面倒な事です。
また一般的な表記(仕様)となっているが故に、マイノリティの苦難を越えてまで推進しようとは思わない。
さらには、他者とのやりとり、既存情報資産との整合性を保つために変換コストがかかります。

あるOSも似たような状況なので、なんだかんだ言っても強いのでは無いかと。

ひな

この議論は中島さんの意図した方向ではなかったんだけど、、、

数字の標記を、3桁でも4桁でも(もちろんそれ以外も)自由に変更できるUIが実装されたブラウザってのがあれば便利かなと思いました。
各自見やすい標記を選ぶことができるし、標記変更の履歴をサーバ側に記録しておき、随時解析することで「このサイトによく来るお客さんは4桁標記の方が好みだから、デフォは4桁ね。」って具合に、利用者のリテラシーに合致した「おもてなし」ができるような気がします。

UIEで開発されてみては?

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