書評、数学的にありえない
CES2007

Slingboxの使い心地

Fog Slingboxを導入して日本のテレビを見始めて10日ほどになるが、Sharpのガリレオと違って録画しておいたテレビ番組を(ダウンロードせずに)ストリーミングで見れるという点は圧倒的に便利である(ガリレオにもストリーミングの機能があるにはあるが、1-2Mbpsぐらいではまともに動作しない)。おかげで、年末年始の特別番組はたっぷりと楽しませてもらった。

 それに加えて現在放送中の番組を生で見ることができるという点が、思っていたよりもインパクトが大きい。何か他のことをしながら日本のテレビをつけっぱなしにしておくというだらしない楽しみ方をすると、「ここは本当にシアトルか?」と不思議な気持ちになる。

 動画のクオリティは、「VHSの三倍モードぐらい」と評価した最初のころよりも少し良くなった。42インチのプラズマに表示しても、少し離れて見れば全く気にならない-VHSの通常モードぐらいか。理由を調べてみると、当初は700~800Kbpsしか使っていなかった帯域を、今は1.3~1.4Mbpsをコンスタントに使っている。どういうアルゴリズムを使っているとこういうことになるのかは不明だが、「このネットワーク環境ならこのくらいの帯域まで使っても大丈夫」と自動的に判断しているようだ。ちなみに、我が家のネットワーク環境は、上り側の日本はUSENの光(100Mbps)、下り側のシアトルがVerizonのADSL(1.5Mbps)という構成。つまり、下りのADSLで制限される帯域をほぼ目一杯使って最適な動画をストリーミングしてくれるのだ。

 Slingboxのストリーミングには、自動的に最適化してくれるSlingStreamモードと、自分でビットレートや解像度を個別に指定するManualモードがあるのだが、Manualモードで最高の設定(640x480、full rate)にすると、画像の質は上がるのだが、時々フレーム落ちで動画の動きがギクシャクする。それと比べるとSlingStreamモードは、解像度は若干落ちるものの、動画の再生はいたってスムーズ。実際の視聴にはSlingStreamモードが適しているようだ。

 Slingboxの先に繋がっているハードディスク・レコーダ(Toshiba Varadia RD-XD92D)の操作は、リモコンのボタンに若干不足があるのと(この問題はカスタムボタンを設定することで解決可能らしい)、ネット越しのリモコン操作特有の遅延に少しいらいらさせられるのを除けば、今のところなんとか使いこなせている(とは言え、誤操作で録画した番組を全部消してしまったりしているが、これはSlingboxのせいではない^^;)。

 ちなみに、先日のエントリーでも述べたが、「日本のテレビ番組を見終わるたびにいちいちストリーミングを止め、次に見るとき再開する」、という使い方はあまりにも不便である。そのため、どうしても「単にテレビの入力切替だけで、日米のテレビ番組を自在に切り替えて見る」という贅沢な使い方になってしまう。そんな使い方をしても誰かに直接迷惑をかけるわけではないとは言え、見てもいない動画を1.4Mbpsでストリーミングしっぱなしとは、あまりにもインフラの無駄使いないので、なんとか解決方法を見つけなければならない。本格的にIPTVの時代がやってきたときに、この「ストリーミングしっぱなしによるインフラの無駄使い」は結構問題になるのではないだろうか。

Comments

Maki

Satoshiさん、本年も宜しくお願い致します。

>> 本格的にIPTVの時代がやってきたときに、この「ストリーミングしっぱなしによるインフラの無駄使い」は結構問題になるのではないだろうか。

IPTVを利用した場合、リアルタイムなストリーミング獲得できます。一方、ネットワークでの新たなインフラ投資も必要になってくるのですね。
例えば、ワールドカップやオリンピックなどといった
世界的なイベント行事が行われた場合、
ネットワーク・トラフィック増加はどうなるのでしょうか・・・。
また、IPTVを介して、消費者からコンテンツ提供者へ、
つまり、情報の受け手から送り手に対しての
情報アップロードもサポートするとしたならば、
現在のインフラでは不足する可能性が大きいと予想されます。
かつて、われわれは『Web 1.0』において、ドットボムを経験している・・・・・。

浦野

USENのGyaOが始まったときと、スペースシャトルからの船外活動実況生中継があったとき、IPTVのありがたみを実感しましたね。

通信経路が地上波とか、IPであるとかの違いはありますが、いずれはユーザーがそんなこと気にしないときがくるのだなあと。

TJ

いつも楽しみに読ませていただいています。
私は香港に住んでおり日本に設置したSlingBoxを視聴しています。
香港では既にHSDPAや3G接続で無制限使用というパッケージがあるので、WindowsMobile端末(Dopod838Proなど)を使ったりPCMCIAタイプのHSDPAカードを使ってSlingBoxを視聴するのですが、例えば3G接続でも画面右下の帯域表示は400kbps以上になることがよくあります。
3Gは公称最高帯域384kbpsですので実際にはあり得ない数字を表示していることになります。ということは画面上に表示される数字は圧縮伸張した結果ということだと思います。
いずれにしてもSlingBoxのお陰で日本にいるのと変わらないテレビライフが送れるようになりました。

蛇足ですが、中国国内においてはGSMの高速通信規格EDGE(公称帯域54kbps)を使ってSlingBoxを見ることがありますが、移動中のクルマでも見えたりします。停車中はほぼOK。信じられない時代になったモノです。

北野

こんにちは。色々検索しているとこのブログに辿り着きました。
初歩的な質問で申し訳ないのですが、次回日本里帰り時にSlingboxとDVDレコーダーを購入して日本側に設置し、アメリカで視聴したいと思っています。
基本的にSlingboxはPCの画面でみる、だと思うのですが現在アメリカの自宅のパソコンにはウィンドウズのMedia Centerが入っておりテレビと繋がっています。
これがあれば普通のTV画面で映像が見れるのでしょうか?また何か注意点があれば教えてください。

eakas

アメリカのTVドラマ(24など)が大好きな私としてはアメリカのTVをいつでも見れるようにしたいです・・・!
アメリカ在住の友人宅にSlingBoxを設置させて貰えれば実現してしまうのでしょうね。
いっそのこと、SlingBox設置サービスみたいなビジネスを立ち上げてしまえば・・・、
そうなったらいよいよネットインフラただ乗り問題が噴出してしまうかも知れませんね(汗)

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