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Windows Vista のリリースは、「最後の恐竜」の誕生か

 月間アスキーの連載記事にWindows Vistaのことを書こうと、はてなブックマークを"vista"というタグでサーチをかけてみて愕然とした。あまりにも少ないのだ。

 はてなブックマークの"Vista"タグでのサーチ結果

 人気エントリートップ25のうち、まともにVistaについて解説している記事は、「すべてが分かるWindows Vista大百科」と「次世代Windowsシェル『Windows PowerShell』を試す」ぐらい。逆に、「Widows Vistaを好きになれない理由」や「Google OSを妄想すると未来が見えてくる!?」などのように、どちらかと言うとVistaに否定的な記事が目立つ。

 このサーチ結果を、"Google Map"タグでのサーチ結果と比較してみると、違いは如実だ。私が、2005年の6月に、「アルファギークはLonghornの夢を見るか?」と書いたとおりのことが現実になって来ているとしか思えない。

 エンジニアたちの興味がどんどんとネット側にシフトしてきた今になってやっとリリースされたVistaを見ると、まるで「最後の恐竜」の誕生を目撃しているかのような一抹の寂しさを覚えてしまう。


「あなたもレールから外れてみませんか」と言うつもりもないが…

Engineer_type 去年の末にキャリアデザインセンターというところから受けたインタビュー記事が、「エンジニアtype」という転職情報誌に出た。例によって調子に乗って好き勝手なことをしゃべってしまったので、自分で読み返しても少し後悔する部分もあるが、就職や転職を考えている人のために一つだけハイライトしておきたい部分がある。

 大学卒業時に、バイト先のアスキーではなくNTTを就職先として選んだ点について質問されたときの、「せっかく持っているカードを使わないのはもったいない、という感じかな。浅ましい発想ですよね」という私の発言がそれである。つまり、「せっかくNTTの研究所に入れる学歴と成績を持っているのに行かないのはもったいない」というしたたかな計算の結果のNTTへの就職だったのである。

 今になって考えてみると、「天職」とも呼べるほど大好きなこと(パソコン上でプログラムを書くこと)を既に見つけておきながらその道を選ばなかったのがそもそも間違っていたのだが、「君の成績ならこんなところがふさわしい」と教授が敷いてくれたレールから自ら外れるのはあまりにももったいないと思ったのだ。

 結局のところ、NTTへの就職のわずか14ヵ月後にアスキー時代の知り合いがマイクロソフトの日本法人を立ち上げたとの新聞発表を見て、「僕抜きでこんなに楽しそうなことをするなんて許せない」という思いが一気に噴出して瞬時に転職を決意したのだが、その時には「大好きなプログラムをまた毎日のように書くことができる!」という思いがいっぱいで、NTTの研究所に得た職が惜しいとはこれっぽっちも思わなかった。

 だからと言って「あなたもレールから外れてみませんか」と言うつもりもないが、私みたいに一度は「レールから外れるのはもったいない」と考えたような人間でも、その後、意外なほどあっさりと転職してしまうケースもあるのだ、ということを伝えたかったのだ。「本当にやりたいこと」を見つける機会なんて一生に何回もないだろうから、そんなパッションを感じた時には自分の直感を信じてまっしぐらに走りだすべきだ。


スーパーボウルの楽しみと言えばコマーシャル

 毎年、スーパーボウルの翌日になると話題になるのは、ゲーム中に放映されるコマーシャル。全米で約9千万人が見るスーパーボウルのコマーシャルは、30秒で$2.6million(約3億円)とも言われるが、私のように「ゲームそのものよりもコマーシャルを楽しみにスーパーボウルを見る視聴者」がたくさんいるので、費用対効果は決して悪くない。特に去年あたりから、Youtube+ブロガーというバイラル・マーケティング効果も期待できるので、スポンサーも「話題になるコマーシャル」を作るのに懸命だ。

 ということで、私もブロガーの一人として、気になった広告をYoutubeから拾い出して貼り付けてみることにした。

 まずは、今朝のWallstreet Journalでも取り上げられたSnickersの広告。映画「ブロークバック・マウンテン」以来、この手の笑いは定番になってしまったようだ。

 次が、数あるバドワイザーの広告の中でも一番気に入った一点。この手の笑いは、万人受けではないかも知れないが、少なくとも私の「笑いの琴線」にはピッタリ。

 そして、もう一つバドワイザーから。ヒッチハイクという習慣のない日本人には少し分かりにくいと思うので解説しておくと、これは夜道に立つヒッチハイカーを拾ってあげようかどうしようか悩んでいるカップルの話である。


素朴な疑問-右翼って何?左翼って何?

 子供のころは、分からない言葉があると素直に質問できるのだが、大人になるにつれて色々な言葉をテレビや新聞で毎日のように見ているうちに「漠然としたイメージ」が頭の中にできてしまうと、分かったような気になってそれで満足してしまうことがしばしばある。ある程度歳をとってくると、「いまさら、こんなこと恥ずかしくて質問できない」状態になってしまうから始末が悪い。

 私自身が大人になって分かったことだが、えらそうにしている大人の知識とか常識なんてものは、以外にこの程度のものだったりするのだ。だから子供に「街宣車って何?あの人たち何やってるの?」などと突っ込んだ質問をされると困ってしまう。

 私自身も、こと政治やイデオロギーに関しては、あいまいな知識の上に別のあいまいな知識を重ねて来た結果、さまざまな疑問を抱えたまま大人になってしまったタイプだ。

 「右翼の街宣車っていったい何をやっているんだろう?」
 「過激派って右翼だっけ、左翼だっけ?」
 「日教組って左翼だから国旗掲揚を拒否するの?」
 「安保反対っていったい何だったの?」
 「赤軍ゲリラっていったいなんだったの?」
 「ブッシュの共和党が右翼なのは分かるけど、クリントンがいた民主党ってどっち?」
 「宮崎駿が左翼ってどういう意味?」
 「社会党って、消費税には反対していたはずなのに、なぜ政権をとったとたんに賛成にまわったの?」
 「日本共産党って、いまさら共産主義の社会を作ろうなんてしてないよね?」

 その意味では、この「右翼と左翼」は秀作。今まで頭の中でもやもやとしていたことが、まるでジグソーパズルのピースのようにすっきりと片付いた。


「なぜダムを建設する必要があるのか」に関しての共通の理解を持たずに「ダムを川のどこに建設すべきか」を議論していないか

Uie_van_1 先日のエントリー「素直な疑問:数字には四桁ごとにテンを打った方が日本人には読みやすくないか?」に関しては、四桁法での数字に関しての妙な盛り上がりをしてしまったが、本当に言いたかったことは、「素直な疑問」の大切さである。

 どの会社でもあることだと思うが、会議の議題を活発に話し合っているにも関わらず、実はその議題の前提になることを皆がちゃんと理解していなかったり、ということが良くある。

 たとえば「なぜダムを建設する必要があるのか」に関しての共通の理解を持たずに「ダムを川のどこに建設すべきか」を議論するし始めると、

「この場所に作った方が貯水量が多い」
「いや、こっちに作った方が落差が取れる分、総発電量はかせげる」
「でも、そこに作るとかなりの数の畑が水没してしまう」
「そうだ、その人たちの移転コストはどこが負担するんだ?」
「そもそも、ダムなんてこの村には必要ないんじゃねえか」
「そうは言っても、もう国からの予算は確保してあるから」

などとなってしまい、いつまでたっても議論が進まなくなってしまうのだ。

 こんな事態を避けるためにも「そもそもなぜダムを建設する必要があるの?」と最初に頭に浮かんだ疑問を口に出すことがとても大切。この手の質問をすると「もう決まったことだから余計な質問をするな」と抵抗する人が必ずいるが、それに屈せず「決まったことだからと言って、なぜそういう結論に至ったかを全員でしっかりと共有した上で議論をすることが大切。ちゃんと説明してください」と主張すべきだ。

 そうやってしっかりと追求してみると、実は誰もちゃんと理由を理解していなかったり、決定が下された時の前提条件が今は既に無効になっていたり、ということがしばしばある。

 そんな意味でも、過去のしがらみを持たないタレントに知事になってもらって、どんどんと「素直な疑問」を投げかけてもらうのは悪くないと思う。「もう決まってしまったこと」に関する共通の理解を深めるとともに、その中にすでに意味がなくなってしまったものがあるなら、遠慮せずに改革するべきなのだ。がんばれ、そのまんま東。