ネット時代の「あがってなんぼ」
2007.02.26
週末に作ったシオレットに関して、自分で解決できなかった二つの問題点を書いておいたのだが、読者の方からのコメントで解決することができたのでここで報告。
一つは、Firefox上でFlashのバナーを持つページを見ているときにシオレットを起動すると、メニューの一部がバナーで隠れてしまう問題点。rakuto氏からの「position:fixedにして絶対配置にすることでFlash上に配置することが可能」という指摘どおりに変更を加えて解決。
もう一つは、Safariでシオレットがさっぱり動かないという問題点。こちらは、iwasaky氏の「siolet.jsの110行目に全角のスペースが入っているためにSafariでは動かないようです」という指摘どおりに全角スペースを半角スペースに置き換えて解決。
本当にありがたいものだ。ここを借りて感謝の意を表する。
これで思い出したのが、以前、梅田望夫に聞いた「最近の学生インターンは、インスタント・メッセンジャーで横に繋がっているために、一人一人の能力以上の仕事ができてしまう」という話。私の問題解決方法も形は違えど、「他人の力を借りることにより効率的に問題を解決する」という意味では全く同じである。
これだけ人と人とがネットで繋がる時代になってくると、ある人が「仕事が出来るかどうか」を判断するときには、こういった「他の人から助けを借りてでも問題を解決する能力」も含めた総合力-つまり、「手段はどうであれ与えられた問題を解決する能力を持っているかどうか」を問うべきである。そんな意味でも、弾さんの「プロ^2プログラマーは社交が8割」、「blogか、少なくとも作品としてのWebサイトがないと、相手にすらしてもらえない」という意見に大賛成。
ゴルフの世界には「あがってなんぼ」という言葉があるが、これは「林に打ち込もうがバンカーに入れようが、最終的に何打でホールアウトする(=スゴロクで言うところの「あがる」)かだけが大切」という意味。仕事上の問題解決能力においても全く同じことが言える。「とても頭が良いがなんでも自分で解決しないと気がすまない」タイプと、「ちょっと困った問題が生じた時に助けてくれる知り合いが沢山いる」、「自分で解決できない問題があったときに、どこで調べれば良いか、誰に聞けば良いか知っている」タイプのどちらが実際の仕事で役に立つかは、結局のところは「あがってなんぼ」で評価するしかないのがこの世の中の仕組みである。
そこで、川柳を二つ。
コンピュータ ネットなければ ただの箱
エンジニア ネットなければ ただの人
Satoshi the 川柳作家
今回のブログエントリー、ちょっと誤解を生むように感じますよ。
家主の大前提として、「まず自分で考えて、問題を解決しようと自ら努力する」があるように思います。自分であれこれ考えあぐねた上でどうしても解決できないのなら、詳しそうな人にアドバイスを求める。これが家主の考えではないでしょうか。きっと実際に家主が日々やっておられることでしょう。僕も同じように思います。
僕は、アメリカのメキシコ国境に近い南カリフォルニアの大学で雇われサイエンティストをしていまして、若い大学院生達の研究について面倒をみるチャンスがよくあります。
この若い連中と日々接していて思うのですが、この若い人達の実際の行動、「家主の前提」とはかなり違っています。一言で言ってしまうと、「自分で考えようとせず、すぐに他人に聞く」です。何か突っかかると、すぐに他人に聞く。「少しは自分で考えろよ!」「考えたら答えは自然と出てくるだろう!」と感じる日々です。計測プログラムのコンパイルをしていて、エラーが出たら、すぐ僕の所に来て、「エラーがでる」。エラーメッセージを読みもせずに、僕の所にやってきます。おいおいエラーメッセージをキッチリ読んで、少しばかり考えたら、何が問題かすぐ判るだろう??だって、プログラミングなんて本職でない僕が、それで判るんだから(笑)。
自分で考えあぐねた上で、人的ネットワークを駆使して他人にアドバイスを聞く、というのはよいのですが、ハナから他人に聞くでは、話になりません。それこそ、中学生でも同じ仕事ができます。僕が日々苦労しているのは、「いかにして本人に考えさせるか」という点です。
ですので、「自分で十分考えた上で」という前提部分がかすんでいる本エントリー、「自分で考えるるなんて非効率で無駄。自分で考える前に、他人に聞け」という風に受け取られかねませんよ。とくに若い世代には!ご注意あれ!
Posted by: サンディエゴ無頼 | 2007.02.27 at 10:42
人に何か質問する時には「自分が何が判っていないのか」が判っている必要があると思います。それが出来るためには、サンディエゴ無頼さんがおっしゃるように、まず自分で十分考える必要があるのでしょうね。
「雑談的に人と話すうちに問題点が浮び上がってくる」というのもよく経験する所ですが、これは直接顔を合せながらの方が効率的で、ネット越しだと難しいように感じます。
あと、「プロ^2グラマー」ですね(^^;
Posted by: harunire | 2007.02.27 at 16:33