ネット時代の「あがってなんぼ」
月刊ascii4月号コラム:古くて新しいパーソナル・コミュニケーション

「ソフトウェアの仕様書は料理のレシピに似ている」へのフィードバックをいくつか集めてみた

 一年近く前に書いた「ソフトウェアの仕様書は料理のレシピに似ている」というエントリー。今になってもトラックバックやコメントが送られて来るのは、実際に日本のIT業界に働く人たちの間にも「今のやりかたはおかしい」という疑問や不満があるという証拠だろう。

 そこで今日は、シオレットの引用機能のテストも兼ねて、よせられたフィードバックを新しい順にいくつか紹介してみる(それも、昨日になってやっとシオレットが動き始めたSafariブラウザーを使っての投稿だ^^)。

まして、優秀でないエンジニアがコードを書かずして、仕様書を作ることが出来ようか?ソフトウェア開発はウォーターフォールでは上手くいきません。

さくねこの”チラシうら”にっきより引用】

別会社のSEが設計して、それを請け負った会社のPGが実装する。こんなやり方でまともなプログラムが作れたらある意味凄い。物凄いオーバーヘッド作業をこなして作るわけだから。それでも意見のすり合わせとかできない部分はどうしてもでてくる。 その結果、ぼろぼろなソフトウェアが完成する。ぼろぼろじゃなかったら本当に凄い。鳥肌が立つぐらいに。どれだけの犠牲が支払われてきたのか想像するのも怖い。

ネリモノより引用】

今だにこんな世界があるのか。何処の国だよwwwwwww

黎明日記(シューティングゲームおもすれー)より引用】

でも…一番熟読して欲しい人々の耳にはきっと届かないんだろうなぁ。

がるの健忘録より引用】

問題はカネではないのだ。これは下流工程どころか、やがて上流工程でもインドや中国に先を行かれてしまう原因になる。そうなったときには、日本にIT企業は何社残るだろう。オフショアで人件費を浮かすことの合理性も大事だが、国内に本当の設計ができるような秀な人材をはぐくむためには、下流も上流もこなせるようなアーキテクトを現場が鍛えなければならないと感じる。

AFTER SEVEN - SICPを読む(42)より引用】

現在の自分の会社上の立場では、管理や仕様の確定などが主な作業となっており、プログラムを自分で書くようなことはなくなった。とはいえ、やはり自分自身で組んでみないことにはどうしても違和感が残る。

Smart and Changeより引用】

僕が前の会社を辞めた理由の一つがこんな感じです。僕の場合は下の立場だったわけですが、提案をすれば自分の会社の利益が減ってしまうという葛藤が常にありました。

髪はとんがってません。 - にぽたんさんの職業遍歴より引用】

私はここに書いている「どんなに優秀なエンジニアでも、決してプログラムを自分自身で書かずに良い詳細仕様を作ることは出来ない」という意見にまったく同意で、レシピ書き(設計)のほうに携わるならレシピに沿って調理すること(実装)は自分自身である程度は経験・理解しておいて欲しいと思います。別に実装のエキスパートになれとは思わないけど、各調理方法の特徴みたいなのは少なくともあるでしょうからそこは抑えておくべきです。

りるでい@みすぴー - レビュアーとレビューイとユニットブロックより引用】

本当にその通りだと思った。とても複雑であるシステムを設計する上で机上での作業は空論となりうる。やはり手を動かして頭を回転させ要所要所を 肌で感じないことには良いものは作れないと感じた。

kazooatokiwaの日記より引用】

 ちなみに、この日本特有のIT産業の構造と、言葉の壁のために海外へのアウトソース(海外にアウトソースする場合も、海外からアウトソースされる場合の両方)に余計なコストがかかるという特徴が、トーマス・フリードマン氏の指摘するフラット化する世界においてどんな意味を持ってくるのかにとても興味をそそられる。

 一つだけはっきりしていることは、そういった日本特有の特徴が日本のIT産業にとって大きな「足かせ」になるだろうこと。このままだと、優秀なエンジニアはベンチャー企業を興したり、海外に移住したり、外資系企業に転職してしまい、フラット化に取り残された日本のIT産業は、米国の企業と対等に戦うどころか、中国・インドとのコスト競争に巻き込まれてジリ貧になる、という悲惨なシナリオも十分にありうる。

 そんな理由もあって、若いエンジニアに会うたびに「英語だけは今からでも遅くないから勉強しておくと良いよ」と繰り返す私である。世界のフラット化が進めば進むほど、「英語が話せる」ことが必要不可欠になって来るのだから。

Comments

hg

おお、そのエントリ、読んだことありました。

とおりすがり

「優秀なエンジニアはベンチャー企業を興したり、海外に移住したり、外資系企業に転職してしまい、」
いや、まあ………

私も日本のトップ企業のあまりの技術力の低さに愛想が尽きて、外資系への転職を画策してる一人ですから。本当に日本企業のやってることは痛いですね。

「そんな理由もあって、若いエンジニアに会うたびに「英語だけは今からでも遅くないから勉強しておくと良いよ」と繰り返す私である。世界のフラット化が進めば進むほど、「英語が話せる」ことが必要不可欠になって来るのだから。」
これも同感ですね。学生のうちにカタコトでの会話くらいはマスターしておいて、社会に出てからは世界を渡り歩く仕事に就けるのが理想です。そうでないと、40歳くらいで山一証券みたいになっちゃっても知りませんよ。

Naotake

英語の勉強しよーと別の件で決意してたんですが、
対話のコストを減らすためにもフォースの勉強もやりなおしです。

失言に気をつければ、「沈黙は金」なのかも知れませんが、
人にバカにされても「雄弁は銀」で行ってみようかなと。

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