ツッコミどころ満載の商店街の垂れ幕
鰤(ぶり)と味噌カツと電子情報通信学会と

「半分空っぽのコップ」を「半分水が入ったコップ」に見せるテクニック

Yugawara  ものごとをポジティブに考えるか、ネガティブに考えるかという議論をするときに、「半分だけ水が入ったコップをどう見るか」という話が良く引き合いに出される。それを「半分も水が入っている!ラッキー」と考えるか、「どうして半分しか水が入っていないんだろう?残りの半分は誰かが飲んでしまったのだろうか」と考えるか、で人生が大きく変わってくるという話である。

 ポジティブに考えた方が人間幸せになれるし、そんな人の方が成功する可能性が実際に高くなる、という話は大昔から言われ続けてきたことだが、そうは分かっていても、「入ってない方の半分」が気になってしまうのが人間の弱さである。

 これと関連する話で、先日読んだ心理学の本に、ちょっとした工夫で皆が得をした気分になる(つまりポジティブに考える)テクニックが書いてあったので、ここで紹介する。

 VHSテープ全盛の時代の米国のレンタルビデオ店での話。「見終わったあとはテープ巻き戻してから返却してください」とシールを貼っておいても、巻き戻さずに返却する人が多く、店としては頭を抱えていた。そのまま次の客に貸してしまうと次の客の気分が悪くなるし、店でいちいち巻き戻していては手間がかかって仕方がない。

 これを「マナーの問題」としてしまうと、ほぼ解決不可能な難問になってしまうが、この店では思い切ってルールを変更してしまうことにより、この問題をみごとに解決したのだ。VHSテープに貼り付けるシールの文言を「このテープは一度最初まで巻き戻してからご覧ください。返却時は巻き戻さなくても結構です」に変更しただけだ。

 こうやって基本ルールを変えただけで、借りたばかりのテープが巻き戻っていなくても気分を害する客はいなくなったし、逆に巻き戻してあると「得をした気になる」ようになったのである。注目すべきは、誰も行動パターンを大きく変えたわけでもないのに、皆の気分が良くなった点である。

 そこで応用問題として、これと同じようなテクニックを他に応用できないだろうかと考え中である。ちょっと見え方を変えるだけで、今まで「半分しか水が入っていないコップ」に見えていたものが、「水が半分も入っているコップ」に見えて皆が得をしたように感じてしまうような応用例である。

【追記】 ちなみに、ネタフルのコグレマサト氏から彼の著書「口コミの技術」(いしたにまさき氏との共著)の初版本(それもサイン入り!)をいただいたので、その御礼も兼ねてここで紹介。さすが「日本発のプロブロガー」だけあって説得力がある。「自分のブログをもっとたくさんの人に読んで欲しい」、「アフィリエイトで小遣いかせぎをしてみたい」人たちには必読だ。

Comments

yukichi

トイレにある「いつもきれいにお使いくださり、どうもありがとうございます」というやつですね。

toyoko

数年前、運転中にT字路で、道路がクリアーになるまで一時停止している際に、後ろから、他の車にぶつけられました。 怪我もなく、車の損傷も僅かでしたが、事故の経験が全く無かった為、その日は、かなりショックを受けてました。でも、ふと、「もし、この接触事故が無く、T字路を曲がっていたら、数百メーター先で、瀕死の事故に遭っていたのかもしれない」と考えたら、ただの接触事故だったことに感謝するようになりました。

gaba

ぜんぜん関係ないけどビデオテープを巻きもどす必要があるのは劣化を防ぐためだったとおもう。

浜村拓夫

>ルールを変更
なるほど!
事の良し悪しの判断は、相対的な価値基準で決めている節がありますね。
不満解消の方法論として有効なのかなと思いました。(・∀・)

isrc

いわゆる「朝三暮四」ですね。

(´・ω・`)

いわゆる
       、--‐冖'⌒ ̄ ̄`ー-、
     /⌒`         三ミヽー-ヘ,_
   __,{ ;;,,             ミミ   i ´Z,
   ゝ   ''〃//,,,      ,,..`ミミ、_ノリ}j; f彡
  _)        〃///, ,;彡'rffッ、ィ彡'ノ从iノ彡
  >';;,,       ノ丿川j !川|;  :.`7ラ公 '>了
 _く彡川f゙ノ'ノノ ノ_ノノノイシノ| }.: '〈八ミ、、;.)
  ヽ.:.:.:.:.:.;=、彡/‐-ニ''_ー<、{_,ノ -一ヾ`~;.;.;)
  く .:.:.:.:.:!ハ.Yイ  ぇ'无テ,`ヽ}}}ィt于 `|ィ"~
   ):.:.:.:.:|.Y }: :!    `二´/' ; |丶ニ  ノノ
    ) :.: ト、リ: :!ヾ:、   丶 ; | ゙  イ:}    逆に考えるんだ
   { .:.: l {: : }  `    ,.__(__,}   /ノ
    ヽ !  `'゙!       ,.,,.`三'゙、,_  /´   「あげちゃってもいいさ」と
    ,/´{  ミ l    /゙,:-…-~、 ) |
  ,r{   \ ミ  \   `' '≡≡' " ノ        考えるんだ
__ノ  ヽ   \  ヽ\    彡  ,イ_
      \   \ ヽ 丶.     ノ!|ヽ`ヽ、
         \   \ヽ `¨¨¨¨´/ |l ト、 `'ー-、__
            \  `'ー-、  // /:.:.}       `'ー、_
          `、\   /⌒ヽ  /!:.:.|
          `、 \ /ヽLf___ハ/  {
              ′ / ! ヽ

ですね

matake

上半分はガラスにして、下半分を見えなくするとか?

garyu

というより、コップの上半分を切り取ってしまえばいいと思います。
ほらコップに水が満杯。

example

これからの季節、暑くなるので、氷と一緒に置いとく。

null

「このテープは一度最初まで巻き戻してからご覧ください。返却時は巻き戻さなくても結構です」だったら、ずいぶんご都合主義なルールだと思います。そんな小手先のことで幸せになれません。
男性用トイレ(小の方)の真ん中に的(●)を書いたら、トイレがきれいになったという方がテクニカルで実際的だと思います。

lappa

前提として少なくともエンディング終了まで見て止めているってじゃないと悲惨なことになりそうな。

ぼーっとしてテープを入れたら途中とかエンディングとか始まったら脱力する人続出!?

なんて。

rassi-

これは一種のパラダイムシフトってやつでしょうかね?

hub

以前、マクドナルドが「平日半額」というキャンペーンをやっていたことが
ありましたが、個人的には納得いっていませんでした。「平日半額」では
なくて「休日倍額」だろうと。でも、周りの人たちは納得いっていたみたいで
不思議な感じがしたのを覚えています。
で、そのときに思ったのが、タクシーも「深夜2割増」と言わずに、深夜料金
を定価ということにして「昼間2割引」とすれば、客の受けもよくなるのかな
ということでした。
JRなども繁忙期は料金が割増になりますが、これも割増した状態を「定価」と
して、閑散期割引料金・大閑散期割引料金としたほうがお得感を強調できるの
ではと思います。

harmoniker

 トイレの話が出ていましたが、アメリカのトイレで「きれいに使ってくれてありがとう」という趣旨のメッセージが掲げられていて、なるほどな、と思ったことがあります。

Y_Ito

XXのしずくを何年もかけて集めた***
とか。
(伏字が思いつかない。)

やっとこれだけ溜まった、というか。

Mezzana

会社のコピー機もそうです。

「使った後はクリアを押してください」という注意書きは、用を済ませた人間の目に留まるわけも無く、コピーをするたびに前に使った人のデータ分をまた複写して電力と用紙を無駄にする、の繰り返しでした。

しかしある日、その注意書きが「使う前にクリアを押してください」に変わってから、皆が平和にコピーを取ることが出来るようになりました。これから大切なコピーをする人にとっては重要な問題ですので、皆きちんと注意書きにしたがうんですよね。

発想の転換は本当に大切だと思った次第です。

The comments to this entry are closed.