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RE:会社と個人

「個人」に蓄積しているCGMマーケティングのノウハウ

 先日、ネタフルのコグレマサトさんと会う機会があったのだが、その時にいただいたのがこの「クチコミの技術 広告に頼らない共感型マーケティング」。前から薄々と感じていたことで、この本を読んではっきりと確信できたことが一つある。

 これからますます重要になるであろうCGMマーケティングのノウハウの蓄積に関しては、「企業」ではなくて、コグレさんのような「個人」がすごく重要な役目を果たしている、ということである。

 既存のメディアを通したマーケティングに関しては、それを専門に研究している学者やコンサルタントはたくさんいるし、電通や博報堂などの広告代理店には、過去の失敗や成功事例から学んだ数多くのノウハウが蓄積されている上に、新しい情報も彼らのところに集まって来るようにできている。組織に属さない一個人がいくら努力したからと言って、決して追いつけるものではない。

 しかし、ネットを通したCGMマーケティングには、今までのマーケティングとは大きく異なる点が一つある。自分自身がブログなどを通してコンテンツの発信元になりさえすれば、自分の所に直接、それもすぐにフィードバックが返ってくる点である。

 既存のメディアを通してのマーケットからのフィードバックは、メディアに双方向性が欠如しているために、間接的で、かつ即時性がない。雑誌のコラムを書いている作家に読者から投書が届くことなどめったにないし、そもそも自分のコラムを実際に読んでいる人が何人いるか知るすべすらない。広告代理店が製作するCMも、その効果は間接的にしか測定できないし、「DVDレコーダー」が普及し始めた今の時代には、いったい何人の視聴者に見てもらえているのかすら知りようがない。

 それと比べて、CGMの代表であるブログの場合、読者からのフィードバックの密度とそのスピードが尋常ではない。たとえば私が先週書いたエントリー「「半分空っぽのコップ」を「半分水が入ったコップ」に見せるテクニック 」、ブックマークコメントを含めると300以上のなんらかの形のフィードバックが直接的に寄せられているし、読んだ人が約2万人いることもアクセス記録を見れば分かる。2万人という数は、80万部とかの発行部数を持つ週刊文春や週刊新潮のコラムの読者と比べたらはるかに少ないが、このメディア特有の密度の濃くて即時性のあるフィードバックから学べることは、実はその手の週刊誌にコラムを書くことよりも遥かに多いのではないかと私は感じている(つまり、読者一人あたりから得られるフィードバックの密度が、雑誌と比べて数十倍以上あるということ)。

 つまり、コグレ氏のようなブロガーは、毎日にようにエントリーを書いてはそのフィードバックを受けることにより、この最も新しいメディアに関して毎日のように学び、ノウハウを蓄積し続けているのである。テーマの選び方、分かりやすい文章の書き方、読んでもらえるタイトルの付け方、クリックしてもらえる広告の配置のしかた、買ってもらえる書評の書き方、炎上しにくいエントリーの書き方、コメントをたくさん書いてもらえるエントリーの書き方、適切な問題提議の仕方、ページビューの稼ぎ方、リピーターの獲得のしかた、などなど。それも教科書から教わった付け焼刃ではなく、自らの失敗・成功体験に基づいた本当の知識である。

 すなわち、今後ますます重要になってくるだろうCGMマーケティングのノウハウが蓄積している場所は、企業の広報宣伝部でも広告代理店でもなく、ブログを日々書いている「個人」の頭の中なのである。ネタフルというブログを書いている「個人」であるコグレさんの方が、「企業」よりもCGMマーケティングに関してのノウハウを遥かに多く持ち合わせている…今はそんな時代なのだ。何とも痛快な時代になったものだ。

Comments

通りすがり

> 週間文集
「週刊文春」では?
# 揚げ足取りすいません。

iseeker

「個人」に蓄積されているCGMのノウハウを生かせというのは、まったくもってその通りだと思います。しかし、企業がマーケティングの一環としてCGMを取り入れようとするのなら、個人プレイではなく組織プレイとしてCGMを活用するノウハウを蓄積しなければいけない時期にきていると思います。社員ひとりやめたら、顧客コミュニケーションがガタガタになるというのでは、企業活動としてあまりにもリスクが多すぎますよね。

satoshi

>「週刊文春」では?
御指摘ありがとうございます。修正しました。

># 揚げ足取りすいません。
いえいえ、こういうのを揚げ足とは呼びません。ほとんどのブロガーはこの手の指摘を感謝すると思います。

syaopairon

あの・・・直ってないです。
×「週間文集」→「週刊文集」
○「週刊文春」

satoshi

>あの・・・直ってないです。

たびたび申し訳ありません。こんどはちゃんと直しました。

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