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踊る金メダリスト、アポロ・オノ

 いつもの美容師に髪を切ってもらっていると、「シアトルに住んでいる人は絶対に見るべき」な番組があるという。ABCの「Dancing with the stars」である。シアトルが誇るショート・トラック・アイススケートの金メダリスト、アポロ・オノがダンスの選手として出場しており、「シアトルに住んでいる人は応援しなきゃダメ」なのだそうだ。

 そこでさっそくそれを見ながらこのエントリーを書いているのだが、アポロの愛嬌の良さはこの手のバラいティ番組にピッタリ。今後のテレビや映画での活躍は約束されたようなものだ。日本のバラいティ番組からも声がかかっていることだろう。

 Youtubeに動画を見つけたので貼り付けておく。


ブロガーが広告主に気を使うようになったら終わりだ

 既にさまざまなところでも報道されたし、実際にこのブログのサイドバーにも広告が表示されているので気が付いている人も多いと思うが、ブログ向けの広告ビジネスベンチャーであるAgile Media Networkに、私自身もブロガーの一人として協力している。CGMという新しいメディアの上で、どうやって広告ビジネスを成り立たせるか、ブロガーとしてだけでなく、この業界で働く人間の一人として、協力・叱咤しつつ暖かく・冷たく見守って行きたいと考えている。

 そんな中で、当然色々な意見も出てくるのだが、示唆された意見の一つで私が猛烈に反対したのが、広告主に気を使ったブログ・エントリーを書く、という発想。それだけは絶対にできない。

 「言論の自由」は現代人に与えられた基本的人権の中でも最も大切なものの一つ。しかしながら、暴力的なまでのパワーを持ってしまったマスコミのために、個人の声がほとんど聞こえなくなってしまったのが20世紀の後半。そのパワーバランスを一気にひっくり返す力を個人に与えてくれたのがブログだ。

 報道規制にも広告主にも勤め先にも支配されず、ブロガー個人の責任と良識を持って「言論の自由」を最大限に発揮してこそがブログだ。ブロガーが広告主に気を使うようになったら終わりだ。

(ちなみに、報道規制とブログに関しては、なかなか興味深いエントリーを見つけたので、ぜひとも読んでいただきたい)


21世紀の錬金術:Web2.0バブルで一儲けする方法

【材料】

・小さな学生ベンチャー。東大・京大などの有名校の理学部・工学部の卒業生が集まって作った10人程度の企業。売り上げどころかビジネスプランすらちゃんと描けていないが、そこそこの技術力とハングリー精神だけはある、というタイプがベスト。資本金は少ない方が良く、VCからの資金調達前でなければならない。
・3~4億円程度の資金
・欲の皮のつっぱった証券会社へのコネ

【レシピ】

1.まずは、顧客としてこのベンチャー企業にアプローチする。ビジネスプランもろくに持たないベンチャー企業の場合、とりあえずは「開発の下請け」でも何でもやって売り上げを立てなければならないので、その弱みを突く。Web2.0っぽいものならブログでもSNSでも何でも良いので、とりあえずシステム構築を発注する。この段階での発注額は二~三千万円ぐらいに抑えておくが、それでもこの会社にとっては「最大の顧客」となるはず。

2.その会社の予算年度が新しくなった時点で、「もう少し大きな案件の発注をしたいが、その前に相談がある」と連絡を入れる。そして「君たちの仕事ぶりにはとても満足しているので、次の仕事を発注したいが、これから一緒に会社を大きくして行くことを考えれば、資本関係を持っておきたい」と持ちかける。そもそも資金繰りが苦しいベンチャー企業としては、顧客からのこんな申し入れは断れない。そこで、一千万円を投資してそのベンチャー企業の10%程度の株を取得する。その企業としては、会社の現在価値を九千万円と見てもらったことに相当するので、大喜びだ。

3.投資の完了後、総額3億円規模の大型発注をする。発注するものは、システム構築でも運営でもソフトウェアライセンスでもかまわないが、前年度のものと同じくWeb2.0っぽいものでなければならない。ただし、発注の仕方を工夫して、ベンチャー企業から見た売り上げが、第1四半期から第4四半期に向けて徐々に増えるようにする(例えば、三千万円→六千万円→九千万円→一億二千万円)。この発注により、ベンチャー企業のその年度の利益が少なくとも1億円ぐらいになるようにしておくことも大切。

4.これで仕込みは完了したので、この時点で知り合いの証券会社に「Web2.0ベンチャーですごい企業がいるんだけど上場を手伝ってあげてくれない?」と連絡する。欲の皮のつっぱった証券会社であれば、簡単に釣れるはず。

5.同時に、このベンチャー企業にマーケティングのコンサルタントを雇わせ、企業自身および社長を「Web2.0時代のスター」に祭り上げる。ケチらずに予算を使い、なんとしてでも朝日・日経などの新聞に囲み記事が出るところまで持っていく。

6.そしてマザーズかヘラクレスに上場。会社の現在価値を利益の80倍ぐらい(利益が一億円だったとすれば80億円)に設定し20~30億円程度の資金を調達する。上場前に再度マーケティングのてこ入れをして人気をあおり、初値がPER 200ぐらいの馬鹿げた価格に吹き上げるように持って行き、そこで持っている株を一気に売り抜ける。思惑通りにことが運べば、この時点で20億円近くのキャピタルゲインが得られる。

7.副産物として、構築してもらったWeb2.0サービスが残るが、うまくユーザーが集まっていれば丸ごとYahoo Japanにでも売っぱらうし(ユーザー数 x 千円ぐらいは欲しい)、そうでなければ早々にシャットダウンする。


life is beautiful の楽しみ方、その2

 「ブックマーク」、「イベント・ドリブン」などの技術的なコンセプトを喩え話を使って分かりやすく説明する、というのは私が好きな手法の一つ。時間があればこんなエントリーをたくさん書いて一冊の本にまとめるとかは楽しいかも知れない。

『恋はブックマーク』―ブックマーク・コメントはシャイな日本人向け?
優秀な主婦はイベント・ドリブン(event-driven)方式でパンを焼く
はてなの人気エントリーは、ラーメン屋の行列

 次に大好きなのは、数学・科学うんちく。この手のエントリーももっともっと書いていきたい。

恋の連立方程式、「パートナー探し」の最適化アルゴリズムに関する一考察
なぜFカップを持つグラビアアイドルが最近増えたのか、に関する一考察

 ネットでビジネスをする際に無視できないのが、心理学と社会行動学。

「半分空っぽのコップ」を「半分水が入ったコップ」に見せるテクニック
あえて断定せずに説得力を増すテクニック
本当に生活の一部になると言及されなくなる

 リーダーシップだとか経営の話とか、転職の話も結構人気がある。

リーダーシップについて思い出したこと
Aクラスの人はAクラスの人を採用したがるが、Bクラスの人はCクラスの人を採用したがる
ドラッカー博士著「経営者の条件」は、会社経営者のための本ではない
あなたは実は「簡単に引きちぎることのできるロープで繋がれているだけ」なのかも知れない
なぜ日本企業による米国企業の買収がしばしば失敗に終わるのか
「あなたもレールから外れてみませんか」と言うつもりもないが…
就職・転職活動にブログを利用すべき時代が来ている


life is beautiful の楽しみ方、その1

 ここのところ初めて訪れる方が増えているので、今日はそんな方のための「おもてなし」。まずは、このブログの代表的なエントリーの紹介から。

ソフトウェアの仕様書は料理のレシピに似ている

 日本のIT業界のゼネコン型の開発プロセスに関する私の疑問を述べた人気エントリー。これには続編があり、以下の二つのエントリーを合わせた三部作構成となっている。ぜひとも合わせてお楽しみいただきたい。
  ・SEはメニューのないレストランのウェイターか?
  ・知的労働者には「組織を移る力」がある

日本語とオブジェクト指向

 ほとんど読者がいなかったこのブログを大きく変えたのがこのエントリー。理科系うんちくの中で唯一妻に褒められたエントリーでもある。2004年9月に書いたエントリーだが、今でも私の一番大好きなエントリーでもある。

Ajaxの本質、「非同期メッセージ型ウェブ・アプリケーション」のススメ

 技術うんちくの中では、もっとも多く引用されており、今でも読者が多く訪れるエントリー。

図解、イノベーションのジレンマ

 このブログの開設以来、最も良く売れた本がこのエントリーで紹介している「イノベーションのジレンマ」。私にマイクロソフトを辞めることを決断させた本でもある。

Edward Tuffleに学ぶプレゼンのスキル
スティーブ・ジョブズに学ぶプレゼンのスキル
「色に情報を運ばせる」テクニック

 ユーザー・インターフェイスにこだわりを持つ私としては、プレゼンのテクニックの話は、大好きなテーマの一つ。この三つのエントリーは、その中でも代表作。

Windows95と地上の星

 このブログには珍しい私のマイクロソフト時代の思い出話。

Google OSを妄想すると未来が見えてくる!?
Amazon AffiliateがGoogle AdSenseに勝てる理由
Googleの強さは「Structured Chaos」にあり
Googleに就職面接に行く前に知っておくべきこと
GoogleがYouTube買収の詳細を発表。受付嬢が1億5千万円って…

 やはりこの業界にいるかぎりGoogleには注目せざるをえないし、おのずとGoogleに関係するエントリーも増えてくる。もちろん、元の古巣のマイクロソフトに関するエントリーもたくさんある。

Windows Vistaのリリースは、「最後の恐竜」の誕生か
アルファギークはLonghornの夢を見るか?
速報!ビル・ゲイツ、事実上の引退宣言
ソウル(魂)のあるもの作り
ビル・ゲイツの家のトイレは流そうとすると「本当に流しますか?」と警告してくる
StarOffice/OpenOfficeがMicrosoft Officeに勝てない理由

 まだまだ紹介したいエントリーはたくさんあるが、ずいぶん長くなってしまったので、今日はここまで。


炭火で焼き鳥!

 去年の夏に「ついにおいしい焼き鳥の焼き方をマスター」というエントリーを書いた私だが、妻が「卓上炭火焼セット」なるものを通信販売で見つけてしまい、さっそく購入。外食があまり好きでない私にとっては、「自宅でよりおいしいものを食べる」方法を開拓することはものすごく大切。

 購入してみたものの、少し苦労したのが「炭」の入手。なんでも合理化してしまうアメリカでは、炭に混ぜ物をして成型した charcoal briquette なるものが普及しており、加工していない普通の炭は普通のスーパーやハードウェア・ストアでは売っていないのだ。幸い、近所のアジア食材店が韓国製のバーベキューセット向けに natural charcoal と称して「炭」を販売していることを発見して入手。

 さすがに室内では使えないので、家の外にあるデッキのテーブルの上にセットして焼きながらアツアツを食べるとそのうまいこと。やはり焼き鳥は炭火焼きにかぎる!

Yakitori


2007年第一四半期ベストセラー・ブックス発表

 少なくとは四半期ごとに発表しようと予定していたこのブログからのベストセラー・ブックスの発表。少し遅くなってしまったがここで発表。

1.右翼と左翼 (→書評
2.ヒューマン2.0 (→書評
3.プリンシプルのない日本 (→書評
4.文章表現400字からのレッスン (→書評
5.ビル・ゲイツの面接試験 (→書評
6.数学的にありえない (→書評
7.クチコミの技術 (→書評
8.イノベーションのジレンマ (→書評
9.理科系の作文技術 (→書評
10.誰のためのデザイン? (→書評

 興味深いのは、しばらく一位に君臨しつづけていた「イノベーションのジレンマ」がついにトップの座を明け渡したこと。一位に「右翼と左翼」、三位に「プリンシプルのない日本」と、この「理科系うんちく」ブログらしからぬ文系の書物が上位に並ぶ。アフィリエイトのことを考えると、あえてブロガー自身が不得意な分野の本を買ってきて「こんなことを勉強したよ」という書評を書く、というのは案外効果的なのかも知れない。

 ちなみに、本以外のジャンルでのベストスリーは以下の三つ。ハードウェアをアマゾンで買う人も徐々に増えているようだ(私もそうだが)。

1.ゼンハイザーのクローズド型ダイナミックノイズガードヘッドホン
2.Slingbox
3.Apple TV


Web2.0 Expo: SNS編

 Web2.0 Expoの個別セッションの一つで楽しみにしていたのが、"Social Networking Winners & Losers: The Good, the Bad, and the Ugly"。内容もそれなりだったのだが、それぞれのサービスから代表として出演している人たちが、いかにもそれぞれのサービスの雰囲気をかもし出していて笑えた。

Sns

 左から、Ning、LinkedIn、Facebook、Yahoo!の順である。Gina Bianchiniはロングテールのコミュニティ・サービスを目指すNingに相応しい美人だし、LinkedInのReid Hoffmanはいかにもシリコン・バレーのエンジニアという風格たっぷり。FacebookのMatt Cohlerは、いかにも学生向けサービスの顔に相応しいイケメンだし、Mike Speiserは、すでにベンチャー企業ではなくメディア会社になったYahoo!に相応しい大人の顔。

 しかし、こんなカンファレンスに出ると、なんだかこんな時代に起業をしない方が間違っているように思えてしまうから不思議なものだ。シリコン・バレーに漂う伝染性の「起業家ウィルス」が蔓延する会場であった。


GoogleのCEOと私の共通点

 twitterを試してから、ちょっと思ったことを一言だけ書くという楽しみを覚えたので、ここでも、さっそく(←twitterいらないじゃん^^;)。

 Web2.0 Expoで、インタビュアーに「朝、起きて一番最初にすることは?」と聞かれたGoogleのCEO、Eric Schmidt の答えがこれ。

 「そりゃメールのチェックに決まってるじゃないの。みんな、そうだよね…」

ね、みんなそうなんだから。顔を洗ってからじゃだめなんだよ。→妻へ。

Sf


マザーズへの提言

 先日のエントリーでマザーズの上場基準が甘すぎる点について少し触れたが、今日は少し具体的な提案をしたい。

 まずは、京都大学のコミュニティサイトのこの書き込みを見ていただきたい(日付に注目)。

1. あ 2006/02/05(日) 22:02:43
2/9に東証マザーズに上場するドリコム、社長が京大卒。
売り上げ2億なのに、公募段階で時価総額150億。
1年前に1500円でばら撒いた株券を76万に設定。
そのばら撒いた相手が売り上げの過半数を占めるという不気味な関係。
社長は1万株ホルダー、時価100億円。
どう見ても売り抜け目的の上場。
大問題になると思われるので監視を。
kyoto-u.com > 談話室 > 議論 > 疑惑のドリコムより引用】

 このままでは信憑性の薄い「怪情報」でしかないが、もしこれが真実であるならば、違法な「売り上げの捏造」である可能性すらある(証券取引等監視委員会は、今後のためにもしっかりと調査をする必要があるだろう)。

 マザーズの上場基準に関してだが、

1.売り上げが高々10億程度の企業は上場させない
2.資本関係を持つ企業からの売り上げは明示しなければいけない
3.インサイダーによる株の売却は、上場後数ヶ月(たとえば9ヶ月)禁止する

ぐらいの条件は付け加えるべきであろう。1と2は、売り上げの捏造を防止するためのもので、3は創業者たちによる「売り逃げ」を禁ずるためである。

 この手の事件が起こると、「欲の皮が突っ張った投機家が損しただけだ」という言葉を良く聞く。確かにそれにも一理あるが、こんな状況を放置していては、日本の株式市場は投機家とデイトレーダーの「ババ抜きゲーム場」以上のものにはなりえない。一般投資家が安心して株式に投資できる環境を整えることが日本の経済を本当の意味で復活させるためには必須だと私には思えるのだが、どうなのだろう。