【材料】
・小さな学生ベンチャー。東大・京大などの有名校の理学部・工学部の卒業生が集まって作った10人程度の企業。売り上げどころかビジネスプランすらちゃんと描けていないが、そこそこの技術力とハングリー精神だけはある、というタイプがベスト。資本金は少ない方が良く、VCからの資金調達前でなければならない。
・3~4億円程度の資金
・欲の皮のつっぱった証券会社へのコネ
【レシピ】
1.まずは、顧客としてこのベンチャー企業にアプローチする。ビジネスプランもろくに持たないベンチャー企業の場合、とりあえずは「開発の下請け」でも何でもやって売り上げを立てなければならないので、その弱みを突く。Web2.0っぽいものならブログでもSNSでも何でも良いので、とりあえずシステム構築を発注する。この段階での発注額は二~三千万円ぐらいに抑えておくが、それでもこの会社にとっては「最大の顧客」となるはず。
2.その会社の予算年度が新しくなった時点で、「もう少し大きな案件の発注をしたいが、その前に相談がある」と連絡を入れる。そして「君たちの仕事ぶりにはとても満足しているので、次の仕事を発注したいが、これから一緒に会社を大きくして行くことを考えれば、資本関係を持っておきたい」と持ちかける。そもそも資金繰りが苦しいベンチャー企業としては、顧客からのこんな申し入れは断れない。そこで、一千万円を投資してそのベンチャー企業の10%程度の株を取得する。その企業としては、会社の現在価値を九千万円と見てもらったことに相当するので、大喜びだ。
3.投資の完了後、総額3億円規模の大型発注をする。発注するものは、システム構築でも運営でもソフトウェアライセンスでもかまわないが、前年度のものと同じくWeb2.0っぽいものでなければならない。ただし、発注の仕方を工夫して、ベンチャー企業から見た売り上げが、第1四半期から第4四半期に向けて徐々に増えるようにする(例えば、三千万円→六千万円→九千万円→一億二千万円)。この発注により、ベンチャー企業のその年度の利益が少なくとも1億円ぐらいになるようにしておくことも大切。
4.これで仕込みは完了したので、この時点で知り合いの証券会社に「Web2.0ベンチャーですごい企業がいるんだけど上場を手伝ってあげてくれない?」と連絡する。欲の皮のつっぱった証券会社であれば、簡単に釣れるはず。
5.同時に、このベンチャー企業にマーケティングのコンサルタントを雇わせ、企業自身および社長を「Web2.0時代のスター」に祭り上げる。ケチらずに予算を使い、なんとしてでも朝日・日経などの新聞に囲み記事が出るところまで持っていく。
6.そしてマザーズかヘラクレスに上場。会社の現在価値を利益の80倍ぐらい(利益が一億円だったとすれば80億円)に設定し20~30億円程度の資金を調達する。上場前に再度マーケティングのてこ入れをして人気をあおり、初値がPER 200ぐらいの馬鹿げた価格に吹き上げるように持って行き、そこで持っている株を一気に売り抜ける。思惑通りにことが運べば、この時点で20億円近くのキャピタルゲインが得られる。
7.副産物として、構築してもらったWeb2.0サービスが残るが、うまくユーザーが集まっていれば丸ごとYahoo Japanにでも売っぱらうし(ユーザー数 x 千円ぐらいは欲しい)、そうでなければ早々にシャットダウンする。