ネットが進めるノウハウのコモディティ化
2007.05.29
昨日のエントリーには、たくさんのブックマークをいただいたが()、興味深いのはそこで引用したCraig Raynoldの論文にもたくさんのブックマークが付いたという事実だ()。1987年のSIGGRAPHで発表された論文が、こんな形で「再発見」されて若い学生や技術者たちに読まれることになる、というところが何とも言えずに楽しい。私から見れば「『群れ』のシミュレーションが作りたいならRaynoldの論文を読めば良い」などという情報は「知っててあたりまえの常識」なのだが、知らなかった人にとっては「貴重なノウハウ」なのだ。
「インターネット以前」は、この手の情報共有はものすごく難しかった。それどころか、逆にこの手の情報を会社の内部ですら「自分だけのノウハウ」として抱え込むことによって差別化を計ろうとするせこい技術者がたくさんいた。つまり、「他の人が簡単に手に入れることができない知識・情報を持っていること」がその人の人材市場における価値を高めることに直結していたのだ。
ネットの時代になって一番大きく変わったのは、そういったノウハウのコモディティ化が始まったことである。これだけネットに情報があふれてくると、この手のノウハウを自分に抱え込んでいるメリットがどんどん少なくなってくる。それに加えて、ブログを通じてどんどんと情報を発信する側に立った方が、自分にとっても勉強になるし、より多くの情報が集まってくると考えるブロガーが少しづつだが増え始めたのだ。
今の時代のすごいところは、999人の人がノウハウを抱え込もうとしても、たった1人のブロガーが公開してしまえばそれだけでコモディティ化が一気に進む点である。そうやってさまざまなノウハウがネットを通じて共有され、人類全体の財産として継承されて行くのである。なんとも痛快な時代になったものだ。
なんとも痛快!ですね。
ちょっと利己的ですが、日本語での情報共有をもっと進めたいです。
公開せよ、後悔せんために。
Posted by: とおりすがり | 2007.05.30 at 07:03
<< 情報を会社の内部ですら「自分だけのノウハウ」
<< として抱え込むことによって差別化を計る。
<< つまり、「他の人が簡単に手に入れることができない
<< 知識・情報を持っていること」が
<< その人の人材市場における価値を高めることに直結していた。
Satoshiさん、同感です。
組織力を高めるためには、ノウハウや知識のコモディティ化が大切な意味を含んでいると思われます。つまり、ナレッジ・ワーカーが、自己犠牲のもとで、全体最適に向けて実践していく必要があると予想されます。
<< ネットの時代になって一番大きく変わったのは、
<< そういったノウハウのコモディティ化が始まったことである。
<< この手のノウハウを自分に抱え込んでいるメリットがどんどん少なくなってくる。
Satoshiさん、『知のコモディティ化』が進んでいるのではないでしょうか。つまり、次なる新しい価値とは『実行力』へと変化している可能性がある・・・・?!
われわれは現在、素晴らしいビジネス・ロジックでさえも、
インターネットを介して、容易に、瞬時に多くの情報を入手することができるようになりました。なぜならば、世界は情報に関して、フラットにつながってしまったからです。「The World is Flat」(トーマス・フリードマン)の新しい変化として、『知のコモディティ化』は大きな影響力を社会に与えることになるのではないでしょうか。
一流のビジネス・ロジックであったとしても、本当の新しい価値を導き出していくためには、やはり、『実行』を伴わなければ説得力が薄れてくる・・・・・?!
いま、まさに、時代は『PullからPushへ』、『実行力』へと変化している可能性ある・・・?!
Posted by: Maki | 2007.05.31 at 14:03
mitsuoでおます。
ノウハウの共有がしやすくなったことで、新しいノウハウが生まれやすくなっていくと思います。したがって、社会の進歩に貢献すると思います。
しかし、犯罪のノウハウもまた共有しやすくなり、その取締りが課題になるかなと思います。
Posted by: mitsuo | 2007.06.01 at 02:28