詩「山道と犬」
ナウシカファンなら一度は見学しておくべき地下の巨大施設

「はずみ車(flywheel)」を使ったエネルギー蓄積装置の話

Beacon_power 先週末に知り合いの家のパーティに行ったのだが、そこで妙に話し込んでしまった相手が、Puget Sound Energy(シアトル地域に電気・ガスを提供している会社)の元重役。

 色々と楽しい話が聞けたが、宿題としてもらってきたのが、「flywheel(はずみ車)」を使ったエネルギー蓄積装置についての調査。「地球温暖化への対処を考えたときに、どのあたりのテクノロジーに注目すべきか」、という私の質問に、「flywheelに期待している」という返事をもらったのだ。

 flywheelを使ったエネルギー蓄積装置とは、文字通り電気などのエネルギーを「はずみ車」の回転エネルギーに変換して蓄積しておく装置。電池などと違って、妙な化学物質を使わないので地球にやさしいし劣化もせず、エネルギー効率が90%ととても高いのが特徴だ。初期のモデルは、安全性・単位体積あたりのエネルギー蓄積量に難点があったそうだが、最近の技術の進歩のおかげで、そのあたりの問題も解決されつつあるらしい。

 左上の図は、Beacon Powerという会社のウェブ・サイトから拝借してきたものだが、こんなデバイスがビルやマンションの屋上で、安い夜間電力を使ってエネルギーを蓄積し、昼間のピーク時の不足分や停電時の電力を提供する、なんていう時代も近いのかも知れない。

【参考リンク】
Wikipedia: Flywheel Energy Storage

Comments

hg

これがぶんぶん回転するのでしょうか・・・

satoshi

 はい、この青い部分がぶんぶんと。毎分2万回転以上だそうです。

雄三

軸受とかの損失がでかそうな気がするんですけどねえ。
超電導で、真空ならいけそうな気がしますけど。。
(しかし、何でも困ったら超電導ですなあ。)
http://www.nedo.go.jp/shinene/choudendou/fw.html
http://www.ihi.co.jp/ihi/ihitopics/topics/2003/0409-3.html
果たしてこの後どうなったのやら。。。
コレは面白いねたなので、
うちのブログに引っ張ってもいいですか?

satoshi

>軸受とかの損失がでかそうな気がするんですけどねえ

 軸受の部分は、損失を減らすために磁石で浮遊させるそうです。空気抵抗のことは書いてありませんでしたが、真空にするのかも知れませんね。

 ブログに引っ張るのはもちろんかまいませんよ。大歓迎です。

tsuchiya yoshihiro

面白いですね。将来のUPSはこれになるのでしょうか。
やっぱり重くなりそうですが。
wikiには"flywheel-powered bus"の話が出てますね。

satoshi

 リンク先によると、データセンターのUPSとしてすでにflywheelは使われ始めているそうですね。すでに6%のマーケットシェアを持っているとも書いてあります。

http://www.datacenterknowledge.com/archives/2007/Jun/26/flywheels_gain_as_alternative_to_batteries.html
http://searchdatacenter.techtarget.com/tip/0,289483,sid80_gci1197541,00.html
http://findarticles.com/p/articles/mi_hb3012/is_199805/ai_n7871046

くぅたろう

10年以上前ですが、日本の鉄道会社が余剰電力をフライホイールに蓄えるというような事をやっていたような気がします。

http://www.keikyu.co.jp/corporate/kankyo_tor_tetsudo_shisetsu.shtml

Hobbit

記憶が間違っていなければ、この手の家庭用フライホイールは瞬電対応とか非常に短い時間の補助電源みたいな利用方法がメインで、長時間に渉るエネルギーの引き出しには向かない、みたいなことがどこかに書いてあったような気がします。停電が多い北米と違って比較的電力供給が安定している日本でもこういった製品は必要になるのでしょうかね。

ぶらりん

将来フライホイールにデータ蓄積も可能になると想定してみる。いやパソコン内蔵のHDDをフライホイールとして使えるようにもしてだな。。。。超分散型エネルギー備蓄インフラとかどうだw
瞬断対応くらいにはなりそう??

SQ

>しかし、何でも困ったら超電導ですなあ。
ウケましたw

fukken

超伝導フライホイールは比較的新しい応用分野で、現在進行形で研究が進んでいます。
現在の発電所では揚水(ポンプで水を汲み上げ、電力>位置エネルギーに変換しておく)で深夜電力を有効利用している場合が多いのですが、その代替として期待されています。揚水に比べ、エネルギー損失が少なく、場所も食わないのが特徴です。
特に原子力発電は出力を需要にあわせて調整するのが苦手なので、余剰電力を上手く回す事ができると効率が大きく向上します。原子力発電に比較的大きく依存する日本がこの分野で頑張ってるのは、この辺の背景も大きいのだと思います。電力供給が不安定で品質も低く、ローカルで電力を安定させたいという需要のあるアメリカとは少し事情が違いますね。
ちなみに、回転させた際にフレミングの左手の法則で電流(渦電流)が生じ、ブレーキがかかる点もエネルギー損失の大きな要因です。

規模が小さいとどうしてもエネルギーの損失割合が大きくなるので、ご家庭にフライホイールがやってくるのはかなり先になると思います。

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