iPhoneのおもてなし:買った瞬間から目に見えて違うおもてなし
2007.07.10
二週間遅れでやっと手に入れたiPhoneだが、まあなんと言ってもすごいのがその「おもてなし(User Experience)」である。User InterfaceとUser Experienceの違いを理解していない人がこの業界には多いが、そんな人たちのためにも、iPhoneのおもてなしのすごさを少し書いてみようと思う。
まず、iPhoneを入手した時の一番の驚きは、iPodと同じく「ごく普通にAppleストアで買って、すぐに持って帰ることができる」点である。日本でも米国でも、携帯電話買った時にはお店でアクティベーション(日本語では「開通手続き」)をしてもらう必要がある。これが結構時間がかかって面倒な上に、人気機種の売り出し日などはカウンターの前に人が不必要にあふれてしまい、店員はてんてこまいだし、お客は疲労してしまう。
徹夜組みが出るほどのiPhoneの発売日は、さぞ悲惨なことになると思っていたら、そんなことは決してなく、ごく普通にレジにならんでiPodと同じようにiPhoneを買って帰るだけことであった。アクティベーションは、家に帰ってパソコンを使ってするのだ。つまり、Appleは、携帯電話の購入時の一番のストレスの原因となる「店でのアクティベーション」を完全に排除してしまったのである。
「アクティベーションの部分は通信事業者の責任範囲。携帯電話メーカーの影響力の及ぶ範囲ではない。」というのが従来の発想。その壁を乗り越えて、単にユーザー・インターフェイスの面で世界一使いやすい携帯電話を作っただけでなく、ユーザー・エクスペリエンスの面で世界最高の「おもてなし」を提供することに成功したAppleは本当にすごい。圧倒的な横綱相撲である。日本の携帯電話メーカーどころか、NokiaやMotorolaにすらできるとは思えない。
ちなみに、iPhoneのアクティベーションは、すべてiTunesから行う。30分弱で、月額プランの選択から、ナンバー・ポータビリティの設定まで、何もかもが自分一人でできてしまう。参考までにスクリーンショットを順番に貼り付けておく(クリックすると拡大する)。
Appleのおもてなし。とりわけ、Retail Storeでは顕著に感じられます。
ただ、iPhoneの販売に関しては、
Apple Retail StoreでiPhoneを売りたい。ここから始まったようにも思えます。
店舗にAT&Tの仕組みを入れたくない。将来AT&T以外とも提携の可能性がある。
結果として、なぜ、店舗でアクティベーションする必要があるのか、にたどり着いた。
iPhoneもiPodと同様iTunesで管理をすることにしていた。
ならば、iTunesでアクティベーションすれば、店頭ではiPhoneを販売するだけで済み、お客様を待たせなくて済む。このあたりでおもてなしの心が発揮されてきたように思えます。
さらに、店舗での販売オペレーションも、クレジットカードリーダを増強してまで混雑対応をしていたようです。
またiTunesであれば、全世界共通で使える可能性もある。
おもてなしを考えれば、Retail Storeでのアクティベーション対応もいずれは、検討されるべきだとはおもいます。自身で契約設定をしたくない方のためにも。
発売当日にAT&T Storeで、既存機種からのサービス変更やアクティベーション対応を行ってしまった店舗では、かなりの混雑だったようです。
Posted by: しろとら | 2007.07.10 at 14:33
Apple、見事ですね。
iPodのときも思いましたが、自分の会社の強み(この場合、iTuneなどのMac、PCのソフトウェア環境)を最大限に生かす戦略をとるのが。
横綱相撲と評されましたが、実はこれってたとえいくら資金があったとしても他社はにできない、Appleは相対的に小さい会社であるという意味では、むしろ知恵を凝らしたゲリラ戦、局地戦の様に感じます。
おもてなしと言いますが、実はユーザーにとっては「待つ」ということがないだけで、アクティベーションの手続き自体は手動=セルフサービスですから、むしろ人件費は削減になるという……どこまでいってもたいしたもので舌を巻きますな。
Posted by: nonbug | 2007.07.10 at 19:15
ユーザーのメリット=待ち時間が無い
(リテラシーが低い人にはデメリット)
メーカーのメリット=人件費削減
(リテラシーが低い人からの問い合わせはデメリット)
こんなところでしょうか?
いずれにしても、ユーザーの手に任せるという発想自体が2.0(^^;)っぽくて良いですね。
Posted by: eakas | 2007.07.10 at 21:20
しかもApple側からしたら、どのiPhoneを使っている人が
どのPCを使っているかという紐付けまでできる。
マーケティング的にもメリット大ですね。
一石三鳥なワザ。おみごと!
Posted by: 通りすがり | 2007.07.11 at 08:39
買う前の「なんかすごそう」から買った直後の『やっぱりすごい』を通過して、
『ホントにすごい!』と毎日感動すら覚えています。
ただ、たまたま買えた初日からアクティべーションが完了するまで、丸々一週間、
それでも送信だけで、ナンバー・ポータビリティが終了して受信出来るようになるまで、
その後2日かかりました。
システムとしては本当に良く出来ているのかもしれませんが、
それをこなす側のキャパと経験がこなれるまで、混乱は続くかもしれませんね。
ちなみに、自分の友人は同じように初日に買ったものの、ファミリープランの変更がうまく出来ず、
泣く泣く返品してました。
Posted by: 梅 | 2007.07.11 at 10:13
>ただ、たまたま買えた初日からアクティべーションが完了するまで、丸々一週間、
それでも送信だけで、ナンバー・ポータビリティが終了して受信出来るようになるまで、
その後2日かかりました。
最初は少しアクティベーションのシステムに問題が合ったと聞いています。私は発売後二週間たってからアクティベーションしたのですが、ファミリープランへの追加も含めて、すべてスムーズにできました。
Posted by: satoshi | 2007.07.11 at 10:40
Lenovoから発売されたauの通信モジュール付きのラップトップは、オンラインサインアップができるようです。
もちろん、iPhoneとThinkPadとでは、User Interfaceなどの方針は大きく異なるので、その1点だけを取り出して優劣を云々することはできませんが。
Posted by: doi | 2007.07.12 at 04:27
随分遅れたコメントで恐縮ですが、買ってその場でactivateして家に帰らずともすぐに使えるようにするというのもおもてなしと
言えるのではないかと思います。
買ったらすぐ使いたいと思うユーザーも少なくないはず。
Posted by: yuji | 2007.08.08 at 02:37