Previous month:
June 2007
Next month:
August 2007

「英語うんちく」を独立したブログとしてスピンアウト

Eigo  ネットやデバイスのことから、料理・英語・科学うんちくまで、特に脈略もなく好き勝手なことをこのブログで書いている私だが、ここで一つ実験をしてみようと思う。

 英語に関するうんちくを傾けるエントリー(今まで「英語うんちく」というカテゴリーで書いてきたもの)を別立てのブログとして独立させ(会社で言うところのスピンアウトだ)、SEOや広告収入の面で何らかの違いが出るものかを調べてみることにした。

 対象とする読者は、英語を勉強しているもしくはしたいと思っている学生や社会人。出来るだけIT色を消し、エントリーは英語関係のものだけ限定する。

 試しに一つエントリーを書いてから、アマゾンの「おまかせ広告」を貼り付けてみると、ちゃんと英語関係の商品や書籍が表示される。これが、ターゲットを絞ったブログの利点だ。

 飽きっぽい私のことだから、どこまで続けられるか分からないが、とりあえず最初に書いたエントリーが、「イディオム:call a spade a spade」(「IT色を消すと言いながらiPhoneの話題じゃないか」というツッコミは無しで^^;)。


Appleパソコンの米国でのシェアが5.6%に

 IDCの発表によれば、第二四半期の米国におけるPCマーケットで、Appleのシェアが5.6%になったこと。一年前の4.8%から0.8%の上昇である(左のパイチャートはMac Rumorsより拝借)。

 0.8%と言えば小さく聞こえるが、もともとが4.8%であったことを考えれば大幅な躍進だ。

 長いこと4%前後で低迷してきたAppleパソコンのシェアだが、iPodの成功・iTunesの浸透・インテルCPUの採用、と着実にこまを進めてきた結果がやっと形になって現れてきたわけだ。

 以前にもここで書いたことがあるが、パソコンがコモディティ化し、ネットが普及してくると、一般ユーザーがわざわざ専用のアプリケーションをインストールして走らせる必要はなくなってくる。

 そうなると、「サード・パーティのアプリケーションがたくさんあるから」というWindowsの利点が実質的に失われることになり、「セクシーさ」だとか「おもてなし」の面で優れたAppleにまずは一般ユーザーからシフトし始める。実際、私のまわりにも、会社では「Windowsパソコンを使っているが、家ではMac」という人が増え始めている。

 そうは言っても、企業のIT部門がそう簡単にMacへの移行を認めるとは思えないし、Appleがマーケットシェアの確保のためだけに安売り合戦に参加することもないので、このままじりじりと「おしゃれな家庭用パソコン」としての地位を固めつつ10%ぐらいまではシェアを伸ばしてくるのはほぼ確実だろう。


米国特許法、先願性に

 ars technicaの「Massive patent reform bill passes House  committee」という記事によれば、米国の特許法の先願主義への変更が決まったそうだ。

 特許法は、日本とヨーロッパが採用してきた「先願主義」と、米国が採用してきた「先発明主義」の二つが混在していたために、世界に向けたビジネスをする企業を悩ませて来たが、その問題にようやく決着がつくことになる。

 一見すると「特許手続きをしようがしまいが、権利は先に発明したもの」という「先発明主義」の方がフェアに思えるのだが、紛争になったときに「誰が先に発明したのか」を調べる手間が尋常ではない。それに対して、「権利は先に特許手続きをした人のもの」という「先願主義」の方が、紛争になったときの手続きがはるかに簡単になる、という利点がある。

 「2100年までには、人口の半分が弁護士になる」とジョークがさややかれるほどの訴訟社会である米国。これで少しは弁護士料が節約できる…なんてことは決してないだろうな。


ナウシカファンなら一度は見学しておくべき地下の巨大施設

Naushika  digg.com経由で見つけたのが、左の画像(クリックするとオリジナルのサイズで見れる)。私が最初に思い出したのが、映画「風の谷のナウシカ」の1シーン。腐界がなぜ存在するかを主人公が理解するシーンだ。

 調べてみたところ、これは首都圏外郭放水路という地下施設で、見学も可能だそうである。一度機会があったら、ぜひとも行ってみたい施設だ。

 以下は、簡単な概要。

  首都圏外郭放水路は、あふれそうになった中小河川の洪水を地下に取り込み、地下50mを貫く総延長6.3㎞のトンネルを通して江戸川に流す、世界最大級の 洪水防止施設です。 日本が世界に誇る最先端の土木技術を結集し、現在まで全体のおよそ8割が完成。平成14年から部分的に稼動し、これまで約450万tもの洪水を安全に処理 するなどめざましい治水効果を発揮しています。【イントロダクション | 首都圏外郭放水路インフォメーションより引用】

 以前、「東京の地下技術—地面の下は「知」の結集、「技」の競演! 」という本を本屋で立ち読みしたことがあったが、この施設のことは書いてあっただろうか(と自分で買ってもいない本の宣伝をしてみるテスト)。

 この手の土木技術に関しては日本の技術は世界一、という話は他でも聞いたことがある。『3K産業』とのレッテルを貼られて以来、どうも若い人に人気がない業種の代表のようになってしまった土木産業だが、この手の映像をテレビ・コマーシャルで流して、土木産業のすごさをアピールするのは結構効果的ではないだろうか。


「はずみ車(flywheel)」を使ったエネルギー蓄積装置の話

Beacon_power 先週末に知り合いの家のパーティに行ったのだが、そこで妙に話し込んでしまった相手が、Puget Sound Energy(シアトル地域に電気・ガスを提供している会社)の元重役。

 色々と楽しい話が聞けたが、宿題としてもらってきたのが、「flywheel(はずみ車)」を使ったエネルギー蓄積装置についての調査。「地球温暖化への対処を考えたときに、どのあたりのテクノロジーに注目すべきか」、という私の質問に、「flywheelに期待している」という返事をもらったのだ。

 flywheelを使ったエネルギー蓄積装置とは、文字通り電気などのエネルギーを「はずみ車」の回転エネルギーに変換して蓄積しておく装置。電池などと違って、妙な化学物質を使わないので地球にやさしいし劣化もせず、エネルギー効率が90%ととても高いのが特徴だ。初期のモデルは、安全性・単位体積あたりのエネルギー蓄積量に難点があったそうだが、最近の技術の進歩のおかげで、そのあたりの問題も解決されつつあるらしい。

 左上の図は、Beacon Powerという会社のウェブ・サイトから拝借してきたものだが、こんなデバイスがビルやマンションの屋上で、安い夜間電力を使ってエネルギーを蓄積し、昼間のピーク時の不足分や停電時の電力を提供する、なんていう時代も近いのかも知れない。

【参考リンク】
Wikipedia: Flywheel Energy Storage


詩「山道と犬」

山道を一人で歩いていると
 前から犬が一匹で歩いてくる
 とぼとぼと一匹で歩いてくる

飼い主はどうしたのかな
 迷子になっちゃのかな
 それとも「のら犬」かな

のら犬だったらやだな
 へんな病気を持っているかも知れない
 突然襲いかかってくるかも知れない

そうだ、首輪をチェックしよう
 首輪をしていれば飼い犬だ
 首輪をしていなければ「のら犬」だ

見てみると、首輪をしているじゃないか
 これなら安心だ
 誰かの飼い犬なら安心だ

でももっと良く目を凝らしてみると
 ネクタイをしたサラリーマンだった
 ああ、これならもっと安心だ

【追記】こちらのトーク番組で、「ネクタイは必要か」「なぜ人はネクタイをするのか」という話題にインスパイアされて書いた詩。ネクタイを犬の首輪にたとえた人はいままでもたくさんいるし、「男はなぜネクタイを結ぶのか」に書いてあるとおり、ネクタイをする=私はちゃんと社会のルールに従う人ですよ、というメッセージであることは否定しがたい。それを逆手にとって、ネクタイをしない=私はクリエーティブな人ですよ、というメッセージになっている点が興味深い。Appleの「Mac vs. PC」の広告(参照)がその代表的な例だ。私の場合は、単にあの「首が締め付けられる苦しさ」が耐えられないからしないだけのことであるが…。

【追記2】「男はなぜネクタイを結ぶのか」のアマゾンの書評に、こんな文章を発見。こんな見方もあるのか…

 この本の最後の方に、「ネクタイは首輪のようなもの」ということが書いてある。首輪のない犬が野良犬と見なされるように、スーツとネクタイは一人前の男のシンボルに違いない。「世間的」には人気があった堀江貴文被告が、大人の社会からはじかれてしまったのも、彼の服装が、野良犬的野蛮さ、世間を知らないガキと見られたのに一因があるのではないだろうか。


iPhoneのセクシーさが「キャズム超え」を実現するか?

 YouTubeにしろApple TVにしろ、その手の新しいサービスやデバイスを私がこのブログでいくら騒ぎ立てたところで、妻からは「どうせギークのおもちゃでしょ」という冷たい視線を受けるのが普通である。

 しかし、このiPhoneだけは反応がまったく違う。いち早く入手した息子と二週間遅れで手に入れた私があまりにも楽しそうにiPhoneで遊んでいるのを見て、彼女が「私も欲しい」と言い始めたのだ。

 iPhoneのような新しいデバイスを私みたいなアーリー・アダプターが欲しがるのは当然。しかし、とっつきの悪さや使い勝手の問題でそこで終わってしまっている(つまり「キャズム越え」ができない)のが、W-ZERO3に代表されるスマート・フォンである。

 しかし、私の妻を含む(この業界で働いていない)普通の人にiPhoneを触ってもらった時の反応を見る限りでは、iPhoneには今までのスマート・フォンとは何か大きく違う「人をひきつける何か」があることは確か。TheStreet.comが「iPhone Equals Babe Magnet(注:この場合のBabeは女性のこと)」と評するように、iPhoneには女性に「ちょっと触らせて」と言わせる魅力がある。

 その「何か」は、ひとことで言ってしまえば「セクシーさ」のようなものであるのだが、ひょっとするとこの「セクシーさ」がiPhoneのキャズム越えに大きく貢献するのでは、と期待してしまう私である。


iPhoneのビジネスモデル

Money  Appleの株価がすごい勢いで上昇しているが、それもこれもWallstreet(日本で言う「兜町」)のiPhoneへの期待の大きさゆえのもの。世界の携帯電話出荷量のわずか1%の「年間一千万台販売」が目標であるにも関わらずに、なぜこんなことになるかを理解するには、携帯電話業界のビジネスモデルの理解が必要だ。そこで、今日はそのあたりの解説。

 注目すべきなのは、$499(4GBモデル)、$599(8GBモデル)という「コストを反映したまっとうな」値段で売られているという点。

 この点に関しては、日本も米国も同じだが、普通の携帯電話は「コスト以下」で売られるのが一般的である(「1円ケイタイ」が良い例)。どうしてそんなことが可能になるかというと、月額課金からの収益を見越した「販売奨励金」というものが小売店に渡されるからである。米国の場合で平均$250(約三万円)、日本では3万円から4万円とも言われるこの「販売奨励金」があるからこそ、3万円で仕入れた型落ちのケイタイを1円で販売する、などが可能になるのである。

 この業界の常識を覆すようなiPhoneの「コストを反映したまっとうな価格」の意味することは、AppleはiPhoneを一台売るたびに「二度おいしい(double-dip)」思いをするということである。

 iPhoneそのものの粗利益率に関しては、50%という極端な予想もあるが、少なく見積もっても一台あたり$100~$150の粗利益をAppleにもたらすと考えて間違いない。それに加えて、AT&Tからの販売奨励金に相当するものが約$250。つまり、トータルで、少なくとも$350~$400の利益がAppleにもたらされることになる。

 もし、Appleが予定通り年間一千万台のiPhoneの販売に成功すれば、それだけで$3.5~$4billion(4千億円強)の利益(売り上げではなく、利益である点に注目!)をAppleにもたらすことになる。この利益率のすばらしさは、年間2億台の携帯電話を売りながら携帯電話機事業が赤字に転落しそうな業界二位のMotorolaと比べてみれば明確である。

 これをWallStreetが好感するのは当然。iPhoneの販売にともなってiTunes、iTunes Storeのユーザーが増え、そしてWindowsパソコンからMacへのシフトがごくわずかでも進めばなおおいしい、というのがストーリーである。


iPhoneのおもてなし:パッケージ編

 たぶん、たくさんのAppleファンたちがすでに書いているだろうからわざわざ私が指摘するまでもないとは思うが、一応触れておきたいのがAppleのパッケージング。家に持って帰る途中、家に帰ってからパッケージを開ける時のドキドキ感までにちゃんと気をつかったおもてなしはAppleならでは。

Iphone2

 まるでジュエリーショップでくれそうな感じの手提げ袋は、明らかに「あの人iPhone買ったんだ」と他の人の目を集めるため。買った人の優越感をくすぐりながら、しっかりと広告塔にしてしまうあたりが巧みなマーケティング。

Iphone3

 そして宝石箱のようなパッケージングは、「自分は特別なものを買ったんだ」という満足感と高揚感をあおるみごとな演出。日本の携帯電話やデジカメのパッケージではこの高揚感は得られない。

 おおかた予想できるのだが、この手のエントリーに対しては、読者からのフィードバックが「やはりAppleすごい」という賛成意見のものと「パッケージなんて本質じゃないじゃん」という批判的なものに二極化するから面白い。

 結局のところ、「そもそもパッケージが重要と思うかどうか」という部分に根本的なすれ違いがあるからいつまで議論しても仕方がない話なのかも知れないが、「おもてなしが大切(User Experience Matters)」をモットーとしている私としては、パッケージを含めたトータルでのUser Experienceにこれほどのこだわりを見せるAppleには本当に学ぶことが多い。


iPhoneのおもてなし:買った瞬間から目に見えて違うおもてなし

 二週間遅れでやっと手に入れたiPhoneだが、まあなんと言ってもすごいのがその「おもてなし(User Experience)」である。User InterfaceとUser Experienceの違いを理解していない人がこの業界には多いが、そんな人たちのためにも、iPhoneのおもてなしのすごさを少し書いてみようと思う。

 まず、iPhoneを入手した時の一番の驚きは、iPodと同じく「ごく普通にAppleストアで買って、すぐに持って帰ることができる」点である。日本でも米国でも、携帯電話買った時にはお店でアクティベーション(日本語では「開通手続き」)をしてもらう必要がある。これが結構時間がかかって面倒な上に、人気機種の売り出し日などはカウンターの前に人が不必要にあふれてしまい、店員はてんてこまいだし、お客は疲労してしまう。

 徹夜組みが出るほどのiPhoneの発売日は、さぞ悲惨なことになると思っていたら、そんなことは決してなく、ごく普通にレジにならんでiPodと同じようにiPhoneを買って帰るだけことであった。アクティベーションは、家に帰ってパソコンを使ってするのだ。つまり、Appleは、携帯電話の購入時の一番のストレスの原因となる「店でのアクティベーション」を完全に排除してしまったのである。

 「アクティベーションの部分は通信事業者の責任範囲。携帯電話メーカーの影響力の及ぶ範囲ではない。」というのが従来の発想。その壁を乗り越えて、単にユーザー・インターフェイスの面で世界一使いやすい携帯電話を作っただけでなく、ユーザー・エクスペリエンスの面で世界最高の「おもてなし」を提供することに成功したAppleは本当にすごい。圧倒的な横綱相撲である。日本の携帯電話メーカーどころか、NokiaやMotorolaにすらできるとは思えない。

 ちなみに、iPhoneのアクティベーションは、すべてiTunesから行う。30分弱で、月額プランの選択から、ナンバー・ポータビリティの設定まで、何もかもが自分一人でできてしまう。参考までにスクリーンショットを順番に貼り付けておく(クリックすると拡大する)。

Image1 Image2 Image3 Image4 Image5 Image6 Image7 Image8