「SEO業者」と「電解還元水の販売員」の共通点
2007.10.31
今回、Googleがページランクの計算方法を変更したことについては、こちらのページから私のブログへのリンクで知ったのだが、Googleからのメッセージと、それに対する「SEO業者」の反応を読み比べるととても面白い。
Googleのポジションは常に一貫しており、「(ちゃんとしたHTMLを生成する以上の)人為的なページランクの操作を徹底的に排除することにより、検索結果のクオリティを保つ」である。インターネット黎明期のサーチサービスの価値がスパムサイト(そのころはSEOとすら呼ばれていなかった)により「まったく使い物にならない」レベルまで落ちてしまい、そこにスパムによる影響を受けにくいアルゴリズムのサーチエンジンを提供したからこそGoogleという会社が存在する、ということは、Google自身が一番良く知っている。
Googleにとっては、SEO業者によるページランクや検索結果のコントロールを阻止することは、Googleという会社の存在価値をかけた戦いであり、今回の「SEO業者によって人為的に張られた有料リンクを識別し、そんな有料リンクを多く張っているサイトからのリンクの価値を低く評価する」という措置は当然だし、今後もこの手の改良を続けてSEO業者やスパマーと戦い続けることがGoogleの使命である(それができなくて、何のための数千人の博士号取得者だ)。
興味深いのは、これに対するSEO業者の反応。
同じように、SEO会社にアウトソーシングした結果、張られるリンクもそれ自体は有料リンクとは呼ばない。SEO会社にお金を払った結果としてリンクが張ってもらえるなら、広義の意味で"有料リンク"と呼べるかもしれないが、少なくとも検索・SEO業界で私たちはそれを"有料リンク"とは呼ばないし、そういう文脈で有料リンクという言葉は使わない。...(中略)...PageRankがいろいろと話題になっているが、SEO的にはたいして重要ではない。PageRankが上がろうが下がろうがどうでもいいと考えるSEOのエキスパートは私を含めて少なくない。【有料リンク & Google PageRank減点ペナルティを巡るFAQ:渡辺隆広のサーチエンジン情報館 - CNET Japanより引用】
うーん、「今回のGoogleによる措置がSEO業者が提供するサービスには影響しない」と主張したい気持ちは分かるが、あまり説得力がない。問題の本質は「何を有料リンクと呼ぶか」という話ではなく、そもそもGoogleが「SEO業者に金を払うだけでサーチ結果の上位に自分のページを人為的に持って行くこと」を全力で阻止しようとしている点にある。ページランクがサーチ結果に大きく影響を与えることはLarry Pageの論文を読んだことがなくても、この業界にいる人はほとんど誰でも知っている。
それにも関わらず、「今回のGoogleの措置はSEO業者をターゲットにしたものではない」「PageRankが上がろうが下がろうがどうでもいいと考えるSEOのエキスパートは私を含めて少なくない」と書かれてしまうと、頭をかしげたくなる。SEO業種とは本質的にGoogleとの「いたちごっこビジネス」であり、Googleよりも常に一歩先に行くことにより、技術革新の狭間で価値を生み出そうとするビジネスである。もしそこで本当に価値を生み出せると思うのであれば、Googleの今回の措置が「リンクを利用して検索順位を人為的にコントロールしようとするSEO業者・スパマー対策」であることは十分に承知しているはずだし、ページランクは重視して当然である。
SEO業者のセリフがだんだん「電解還元水」の販売員と似て来たように思っているのは私だけではないはずだ。
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