Previous month:
September 2007
Next month:
November 2007

「SEO業者」と「電解還元水の販売員」の共通点

 今回、Googleがページランクの計算方法を変更したことについては、こちらのページから私のブログへのリンクで知ったのだが、Googleからのメッセージと、それに対する「SEO業者」の反応を読み比べるととても面白い。

 Googleのポジションは常に一貫しており、「(ちゃんとしたHTMLを生成する以上の)人為的なページランクの操作を徹底的に排除することにより、検索結果のクオリティを保つ」である。インターネット黎明期のサーチサービスの価値がスパムサイト(そのころはSEOとすら呼ばれていなかった)により「まったく使い物にならない」レベルまで落ちてしまい、そこにスパムによる影響を受けにくいアルゴリズムのサーチエンジンを提供したからこそGoogleという会社が存在する、ということは、Google自身が一番良く知っている。

 Googleにとっては、SEO業者によるページランクや検索結果のコントロールを阻止することは、Googleという会社の存在価値をかけた戦いであり、今回の「SEO業者によって人為的に張られた有料リンクを識別し、そんな有料リンクを多く張っているサイトからのリンクの価値を低く評価する」という措置は当然だし、今後もこの手の改良を続けてSEO業者やスパマーと戦い続けることがGoogleの使命である(それができなくて、何のための数千人の博士号取得者だ)。

 興味深いのは、これに対するSEO業者の反応。

同じように、SEO会社にアウトソーシングした結果、張られるリンクもそれ自体は有料リンクとは呼ばない。SEO会社にお金を払った結果としてリンクが張ってもらえるなら、広義の意味で"有料リンク"と呼べるかもしれないが、少なくとも検索・SEO業界で私たちはそれを"有料リンク"とは呼ばないし、そういう文脈で有料リンクという言葉は使わない。...(中略)...PageRankがいろいろと話題になっているが、SEO的にはたいして重要ではない。PageRankが上がろうが下がろうがどうでもいいと考えるSEOのエキスパートは私を含めて少なくない。【有料リンク & Google PageRank減点ペナルティを巡るFAQ:渡辺隆広のサーチエンジン情報館 - CNET Japanより引用】

 うーん、「今回のGoogleによる措置がSEO業者が提供するサービスには影響しない」と主張したい気持ちは分かるが、あまり説得力がない。問題の本質は「何を有料リンクと呼ぶか」という話ではなく、そもそもGoogleが「SEO業者に金を払うだけでサーチ結果の上位に自分のページを人為的に持って行くこと」を全力で阻止しようとしている点にある。ページランクがサーチ結果に大きく影響を与えることはLarry Pageの論文を読んだことがなくても、この業界にいる人はほとんど誰でも知っている。

 それにも関わらず、「今回のGoogleの措置はSEO業者をターゲットにしたものではない」「PageRankが上がろうが下がろうがどうでもいいと考えるSEOのエキスパートは私を含めて少なくない」と書かれてしまうと、頭をかしげたくなる。SEO業種とは本質的にGoogleとの「いたちごっこビジネス」であり、Googleよりも常に一歩先に行くことにより、技術革新の狭間で価値を生み出そうとするビジネスである。もしそこで本当に価値を生み出せると思うのであれば、Googleの今回の措置が「リンクを利用して検索順位を人為的にコントロールしようとするSEO業者・スパマー対策」であることは十分に承知しているはずだし、ページランクは重視して当然である。

 SEO業者のセリフがだんだん「電解還元水」の販売員と似て来たように思っているのは私だけではないはずだ。

【関連エントリー】
「サーチエンジン最適化遊び」のススメ
SEOはえせ科学か?
有料リンクは是か非か?


Ruby on Rails: なぜActiveRecordが必要なのか?

 Railsの勉強がしばらくストップしてしまったので、今日はビデオを見てお勉強。Rails Envyの「ActiveRecord Tutorial」は長さも25分とちょうど良いし、「ActiveRecordとはなんぞや」を具体例を交えて簡潔に教えてくれるのでとても良い勉強になる。

 英語だが、冒頭の部分を乗り越えればあとはプログラミングの話なので、日本人にもそれほど難しくないはず。念のため、オープニングの部分のみ、超訳しておいた。

ActiveRecordのアイデアは、いったいどこから来たのか?

まずは"Active Record"の意味から (ActiveRecordではない点に注意)
 "Active Record"とは、デザイン・パターンの一つ。
 どうやってデータベースにアクセスするか?
  SQLにプログラムから直接アクセスする方法もあるが...ちょっと不便
 データベースのテーブルをオブジェクトにマップすればいい
 というのが"Active Record"の考え方
 このデザイン・パターンを、
  PHPに応用したのがCakePHP
  Rubyに応用したのがActiveRecord

つまり、言い換えれば「ActiveRecordはRubyをSQLに翻訳する仕組み」。

Rubyで u = User.find(1) が、
SQLでは、 SELECT FROM users WHERE (users.`id` = 1) となる

Ruby: u.first_name = "Joe"
SQL: (まだ何もしない)
Ruby: u.save
SQL: UPDATE users SET `first_name` = 'Joe' WHERE `id` = 1

Ruby: u = User.find_by_first_name("Joe")
SQL: SELECT * FROM users WHERE (users.`first_name` = 'Joe') LIMIT 1

 しかし、こんなハイクオリティなものが、ちょっとググッただけで簡単に見つかるとは本当に良い時代になったものだ。

【追記】ちなみに、同じ人たちが「Ruby vs. PHP」の論争を「Mac vs. PC」CMのパロディにしたビデオを作っていることを発見したので、ここに貼付けておく。


今月のベストセラー

 毎月やろうと思っていたのに、ついつい忘れてしまう「今月のベストセラー」。すでにリアルの本屋さんは実践していることだが、これは着実に売り上げに結びつく。

1位・ハーバード流交渉術
2位・発想する会社
3位・理科系の作文技術
4位・2ちゃんねるはなぜ潰れないのか?
5位・明日を支配するもの
6位・バリュー・マネージメント
7位・EQリーダーシップ
8位・イノベーションのジレンマ
9位・誰のためのデザイン?
10位・文章表現400字からのレッスン

 ちなみに、1・6・7位の本がMBAのクラスで仕入れたもの。3・10位の本は「ブログを...三冊」で紹介したロングセラー。2・5・8位の本は私が何回か引用しているロングセラー。一過性の本は4位の2ちゃんの本ぐらい。私のブログに限って言えば、「良い本が長い期間に渡って売れ続ける」という傾向が出ている点が興味深い。特に3位の「理科系の作文技術」なんて、私が大学生の時に読んだ、20年以上前に出版された本。そんな本が再評価されてまた売れ始める、というのもブログがあって始めて成り立つ話。


有川浩の本を読めば自衛隊に入隊したくなる?!

 有川浩の作品で最初に読んだのが「海の底」。私の最初の感想は「今時こんなの書くかよ。円谷全盛のころのパニック映画だぜ、これ。」しかし、パニック映画が大好きな妻は妙に気に入ったようで、次に買って来たのが「クジラの彼」。「これは恋愛ものだから、あなたも気に入ると思う」と妻に薦められて読み始めたのだが...自衛隊の隊員を主人公にした恋愛短編ものとは...。何ともことごとく予想外の本を書く作者である。

 ちなみに、この本の帯には

 「恋するふたりの間には、七つの海が横たわる。がんばれ女子、負けるな男子」

と書かれているが、これでは、いまいちこの本の面白さが伝わって来ない。それよりも、

 「ベッドの中で割れた腹筋を指摘されて怒ってしまった女自衛官の恋の行方は?」

の方が絶対に売れると思うんだが、どうだろう。

 ちなみに、「クジラの彼」のカバーには有川浩の写真が載っているのだが(これで作者が女性だと始めて知った私である)、自衛隊のヘリらしきものに乗ってピースをする著者って、どこから見ても「軍事オタク」。ここまで来て、ようやく彼女が「海の底」を書いた理由が見えて来たし、作者の伝えたいメッセージのようなものが伝わって来た。彼女は自衛隊がひたすら大好きなのだ。

 米国の軍人と違って、どうもあまり日本人の中では尊敬とか感謝とかされているとは言いがたい自衛隊員だが、こんな風に「自衛隊の中の人」にスポットライトを当ててくれる作者がいるってことだけで、日本の国防上、画期的なことなのかも知れない。トム・クルーズの「トップ・ガン」が実は米国海軍のキャンペーン映画だったことはよく知られたの事実だが、有川浩の小説のおかげで自衛隊に応募してくる人が増えたりするというのも絶対にない話でもないかも知れない。


広げた「大風呂敷」の大きさだけなら誰にも負けない

 UIEvolutionという会社は2000年に立ち上げたのだが、「さまざまなデバイスに、あらゆるネットワークを通して、どんなアプリケーションでも、インタラクティブなウェブアプリケーションとしてとどける」という会社のビジョンに関しては、多くの投資家から「フォーカスがなさすぎる」「マイクロソフトじゃないんだからそれは無理だろう」「一つのマーケットに絞りなさい」「夢は大きいけどどうやってビジネスにするのか理解できない」「デファクトを取るにはやたらと資金が必要」などの批判をもらったことを良く覚えている。

 「会社のビジョンは大きい方が良いに決まっている」との信念で始めたからにはそこを変えるつもりは毛頭なかったが、投資家向けの説明資料には、「まずはモバイル向けのゲームでビジネスを立ち上げて」などの補足説明を加えてなんとか資金を提供してもらおうと苦労したものだ(そのために、「モバイル向けゲームの開発会社」と勘違いされるという別の苦労もしたが)。

 まあ、実際のところ、最初に立ち上がったビジネスはESPNと作った「モバイル向けのスポーツ情報配信アプリ」だったわけで、あたらずとも遠からずである。2007年の今になってみると、モバイル向けSNS、モバイル向けビデオ配信、モバイル向けゲーム、テレビ向けビデオ配信、テレビ向けゲーム、などと少しずつデバイスの種類もアプリケーションの種類も増えており、大風呂敷のように広げた会社のビジョンがあながちでたらめではなかったことが徐々に証明できつつある。

 その意味では、今回豊通エレクトロニクスと共同発表したUIEngineのカーナビへの適用は、デバイスとして携帯電話・テレビに加えてカーナビという第三のカテゴリーのものが加わったことになり、喜ばしい限りである。

 会社設立当時に、横軸にデバイスのカテゴリー、縦軸にアプリケーションのカテゴリーを書いた表を作り、「これを全部埋めるのが夢」と説明していた私だが、これでようやく、その表の100個ぐらいのマス目のやっと10%ぐらいが埋まったところである。広げた大風呂敷の大きさだけなら誰にも負けないぞ、と^^;。


またまた得意の「ボケ」をやってしまった

 妻に言わせると、私はある意味で「仙人」。良く言えば「一見普通に暮らしていても、心は常に山の中で修行をしている仙人のような状態」、悪く言えば「興味のないことには一切注意を払わない常識ハズレ」。シアトルに暮らしながら、スタバの社長のハワード・ショルツの顔を知らず、となりに座って「どこで働いてるの?...スタバか。何年ぐらい?...15年か、それじゃあストックオプションでいい目に会えたね!」と言ってしまったのは私だ。

 今日も、アスキーの取材で写真撮影をしてもらったのだが、アスキーのスタッフも対談相手の古川氏も妙にカメラマンに敬意を払っているのに妙な違和感を覚えつつも、試し取りのポラロイド写真を見て、「これって妙にピントがずれていてミニチュア写真みたいですね」と直球を投げてしまった私。そのカメラマンがカメラのアオリを利用してミニチュア模型風の写真を撮影する手法を開拓したことで有名な本城直季さんという人だとは知るわけもない。それに輪をかけて、「どうやって撮るんですか?何年前ぐらいからこの撮り方なんですか?」と畳み掛けるように私が質問を浴びせかけた相手が、本城さん本人ではなく、助手の人だったことに気がついたのは、その人が3回目の目配せをして私に合図をしてからのこと。

 そんな無礼な私にも、サイン入りのポラロイド写真をくださった本城さんに感謝、感謝である。ちなみに、本城さんの作品は、「small planet」という題名の写真集として発売されているので、アフィリエイトID付きでリンクを貼付けておく(^^)。下の写真は、そのうちの一枚。


「iPhoneのおもてなし」に関して講演

 今週は、日本に来ているのだが、メインの目的は、「iPhoneのおもてなし」に関する講演二つ。今日、東京ビッグサイトでした方のレポートがITProにもう書かれているので紹介。

 iPhone, ディスニーランド、スタバの共通点は?

 ユーザー・エクスペリエンスの話は大好きなテーマなので、楽しく話させてもらったのだが、その後に聞いていた社員の一人に指摘されたのが「良い話でしたけど、UIEngineって一度も言いませんでしたね」

 たしかに。

 これからは個別技術の優越の話ではなくてトータルのユーザー・エクスペリエンスで勝負する時代、というプレゼンのメインテーマに忠実に従う限り、そこでUIEngineの宣伝をすること事態が矛盾をおこしてしまう点がジレンマといえばジレンマ。まあ、そこで思考停止になっていてもしかたがないので、自然体でプレゼンをするのが私のスタイル、ということで勘弁してほしい。


言語学の研究をググってするというのはありなんだろうか?

 たったいまNHKで、「極め付け・幕開け」は誤っており、「極め付き・幕開き」の方が正しい言い方だという話をしていた。文化庁の調査によると、「極め付き」は6割ぐらいの人が、「幕開き」は9割以上の人が間違った言い方をしているという。言葉なんて人間が決めるものなんだから、大半の人が使い始めた段階で「そちらを正しい使い方」と認めてしまうべきだと私は思っているが、今日のテーマはそれではなく、この「文化庁の調査」とGoogleの検索結果の比較。

 Googleでそれぞれの言葉を検索して、見つかったページ数を調べる。

極め付け:極め付き=121,000:103,000  (54%が誤用)
幕開け:幕開き=1,880,000:56,100 (97%が誤用)

 文化庁の調査結果ととても近い。こうなってくると、言語学を選考している学生が、Googleで調査したデータに基づいて卒論を書くというのは十分有りのような気がするがどうなんだろう。


カリフォルニアの山火事の航空写真

 左の写真は、カリフォルニアで今起こっている山火事の航空写真。かなり大規模だということが分かる(クリックすると拡大する)。

 私は去年から今年にかけて何回かモンタナ州に行ったが、そこで感じたのは山火事の多さ。乾燥する夏場はさまざまな場所で山火事が発生し、道は閉鎖になるし、空気はうっすらと白い。一度だけ、ハイウェイのすぐそばまで迫った山火事のすぐ横を車で走ったことがあるが、何キロにも渡って広がってじりじりと民家に迫ってくる山火事の最前線で働く消防士たちの仕事が、気の遠くなるような仕事に思えたことを良く覚えている。

 文明がここまで進歩したとは言え、山火事をコントロールすることはまだまだ難しい。


交渉の場にのぞむ前にしておくべき心の準備

 ネゴシエーション(交渉)に関するテクニックにはさまざまなものがあるが、その多くが「いかに自分の欲する条件に近いものを勝ち取るか」をゴールとしたもの。それはそれで役に立つのかも知れないが、私としてはどちらかというと、今読んでいる「Getting to YES(日本語訳:ハーバード流交渉術)」という本に書いてあるアプローチの方がしっくりと来る。

 この本の筆者(Roger FisherとWilliam Ury)は、一般に良く使われる「交渉は勝つか負けるか」「相手に手の内を見せない」「自分はできるだけ譲らずに相手に譲らせる」などのテクニックは交渉を長引かせるだけだし、その過程で相手との信頼関係を損ねかねないと警告する。

 この本にはいくつかの有効な提言が含まれているので何回かに分けて紹介したいと思うが、まず最初に紹介したいのは、交渉の場にのぞむ前に自分がしておくべき心の準備の話。

 多くの場合、人は交渉に先立って「これ以上は絶対に譲れない線(英語でbottomline)」を引いて望む。例えば給料の値上げ交渉であれば、「絶対に8%以上の値上げを勝ち取る」などというもの。こういう心構えで交渉に望む人のほとんどは、交渉が決裂した場合にどうするのかを全く考えていなかったり、考えてはいたとしても「給料を8%以上値上げしてもらえなかったら辞表を突き付けてやる!他にも職はあるはずだし、しばらくは充電期間を持つのも悪くない」ぐらいの漠然とした思いだけで交渉にのぞむ。

 このアプローチには幾つかの問題点がある。

・交渉が「こちらの要求を勝ちとるかどうか」という二者択一の勝負になってしまう
・「なかなか譲らない」ことが「勝ち」への道につながるため、どうしても交渉が長引いてしまう
・最初に設定した「絶対に譲れない線」が一人歩きしてしまい、それだけが勝敗の判断基準になってしまう
・その判断基準から外れたことを提案されてもどう判断して良いか分からなくなってしまう
・交渉が決裂しそうになった時に「本当に決裂してしまったらどうしよう」と動揺しまう
・動揺したあげくに「絶対に譲れない線」以下で同意してしまう
・「絶対に譲れない線」以下で同意してしまったときに、敗北感を味わうことになる

 筆者が強く勧めるのは、「もし交渉が決裂した場合にはどうするのがベストか」という代替プランをしっかりと考えた上で、それを比較対象のための指標として頭において交渉に望むこと。

 例えば上の給料の値上げ交渉の場合であれば、「他にも職はあるはずだし、しばらくは充電期間を持つのも悪くない」などといったあいまいな考えではなく、「今の貯金額を考えれば、半年は給料がなくても食って行ける。その期間を利用して、今まで勉強したかったけど仕事が忙しくて手がつけられなかったRuby on Railsを徹底的に勉強し、それからネット・ベンチャーの一つに就職する。今よりはたぶん3割ぐらい給料が下がるだろうけど、やたらと金がかかる車の改造とスキー旅行をしばらく我慢すれば良いだけのこと。そのベンチャーが上場でもしてくれればラッキーだし、たとえそうでなくても、ベンチャー企業で自分で企画からプログラミングまでのプロセスに関わるという経験ができれば、長い目で見て自分のキャリアに必ずプラスになるはず」ぐらいの出来るだけ具体的で現実的なプランを立てた上で交渉に望むべきなのである。

 そうすれば、交渉が決裂しそうになった時にも常に冷静でいられるし、予想もしていなかったような提案(たとえば「昇給は5%しかあげられないけど、20%ルールを適用して、その時間は好きなことをして良いことにしてあげる」)を相手が投げかけて来た場合にも、前もって用意しておいた「交渉が決裂した場合の代替プラン」と比べることにより、その場の感情に左右されずに、より現実的で包括的な判断が可能になる。

 私の経験に照らしてみれば、確かに「どうしても交渉を成立させなければ自分が困る」という心理状態の時は相手の言いなりになってしまう傾向があり、「交渉が決裂したらしたでこうすれば良い」と心の準備が出来て交渉にのぞんだ時の方が自分の理想に近い形で交渉を成立させることが出来る傾向があるように思える。

 交渉の場において、相手より有利に立つための小手先のテクニックはたくさんあるが、「(交渉が決裂したときに自分が選ぶべき)魅力的な代替プランを持って交渉に望むこと」に勝る武器はない。前持って用意した「代替プラン」が現実的であればあるほど、自分にとって有利であればあるほど、交渉が決裂することを恐れる必要がなくなり、しいてはそれが交渉の場におけるパワーとなる。

【余談】このエントリーを書いていて思ったのは、例の「男は彼女がいた方が逆にモテる」という人類の永遠の謎(^^)の答がここに隠されているかも知れない、ということ。でも、その話を本文に混ぜると文章の流れが支離滅裂になってしまうので、ここに余談として書いておくことにする。