広げた「大風呂敷」の大きさだけなら誰にも負けない
2007.10.28
UIEvolutionという会社は2000年に立ち上げたのだが、「さまざまなデバイスに、あらゆるネットワークを通して、どんなアプリケーションでも、インタラクティブなウェブアプリケーションとしてとどける」という会社のビジョンに関しては、多くの投資家から「フォーカスがなさすぎる」「マイクロソフトじゃないんだからそれは無理だろう」「一つのマーケットに絞りなさい」「夢は大きいけどどうやってビジネスにするのか理解できない」「デファクトを取るにはやたらと資金が必要」などの批判をもらったことを良く覚えている。
「会社のビジョンは大きい方が良いに決まっている」との信念で始めたからにはそこを変えるつもりは毛頭なかったが、投資家向けの説明資料には、「まずはモバイル向けのゲームでビジネスを立ち上げて」などの補足説明を加えてなんとか資金を提供してもらおうと苦労したものだ(そのために、「モバイル向けゲームの開発会社」と勘違いされるという別の苦労もしたが)。
まあ、実際のところ、最初に立ち上がったビジネスはESPNと作った「モバイル向けのスポーツ情報配信アプリ」だったわけで、あたらずとも遠からずである。2007年の今になってみると、モバイル向けSNS、モバイル向けビデオ配信、モバイル向けゲーム、テレビ向けビデオ配信、テレビ向けゲーム、などと少しずつデバイスの種類もアプリケーションの種類も増えており、大風呂敷のように広げた会社のビジョンがあながちでたらめではなかったことが徐々に証明できつつある。
その意味では、今回豊通エレクトロニクスと共同発表したUIEngineのカーナビへの適用は、デバイスとして携帯電話・テレビに加えてカーナビという第三のカテゴリーのものが加わったことになり、喜ばしい限りである。
会社設立当時に、横軸にデバイスのカテゴリー、縦軸にアプリケーションのカテゴリーを書いた表を作り、「これを全部埋めるのが夢」と説明していた私だが、これでようやく、その表の100個ぐらいのマス目のやっと10%ぐらいが埋まったところである。広げた大風呂敷の大きさだけなら誰にも負けないぞ、と^^;。
フォーカスはぼけるんだけど、スマートデバイスへのフォーカスに誤りは無い。
ところでオフィス機器ってUIEのビジネスではターゲットになり得るんでしょうか?
Posted by: ぶらりん | 2007.10.28 at 23:42
>ところでオフィス機器ってUIEのビジネスではターゲットになり得るんでしょうか?
もちろんありです。FAXマシンとかプリンターとか。他には、冷蔵庫とか炊飯器の液晶も当然ですし、少し未来の話であれば、スイカやクレジットカード、スーパーの値札、年賀状やクリスマスカード、町で配っているティッシュペーパーの広告、とかもターゲットです。
Posted by: satoshi | 2007.10.29 at 00:11
初めまして、いつも楽しく読まさせてもらっています。UIEngineは前から興味を持っていて、実際に動いているものを見るためにCEATECのユビキタス社の展示を見に行きました。豊通エレクトロニクスのカーナビにも使われていることをそのときに知っていれば
そっちももっとじっくり見てきたのですが、中島さんがブログに載せてそのことを知ったのは私が見てきた後でした(涙)さて、「クライアント側はUIなど最小限の処理で、後のサービスの大半はサーバ側でやる」という枠組みで考えると、実はそんなに新しさを感じません。それは、UNIXが昔からX Window Systemを用いて貧弱なクライアントに高度なサービスを提供していたからです。「さまざまなデバイスに、あらゆるネットワーク」という点が昔では言えなかったもので、「インタラクティブ」という点がUIEngineが強く主張できるものなのかな、なんて考えています。既存のアプリケーションのUIを全部UIEngineにしちゃって、物理世界(映像、音声など)の処理はディスプレイに組み込んでさらにUIE Playerが乗っかっちゃったら、数十台のクライアントのメンテナンスとか考える必要ないし、アプリケーションの管理も楽なのになーなんて思っています(まぁ、もうすでにシンクライアントとかありますけど、クライアント側で動くのがアプリケーション全部かUIのみかという点が違う)。長くなりましたけど、そんなわけで、UIEの想い描く世界はすごくエレガントで大好きです。これからもこっそりブログを読ませていただきます。
Posted by: hiki | 2007.10.29 at 00:44