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書評:艶っぽさなら「吉原手引草」

 ここのところテクノロジーの話題ばかり続いたので、今日はひさしぶりの書評。いつものようなビジネス書や啓蒙書ではなく、小説。それも、江戸時代の吉原の花魁(おいらん)を主人公にした「吉原手引草」。

 この手の時代小説は、忠臣蔵から鬼平版課長鬼平犯科帳まで幅広くこなす時代小説ファンである私の妻の守備範囲。普段は彼女の本には手を出さない私だが、帯の「直木賞受賞!」に説得されて手に取り、一気読み。なかなかのエンターテイメントである。

 読んでみて納得できたのが、この本が直木賞を受賞した理由。吉原の花魁を主人公にしながら濡れ場はなく、その意味では決して「文学を気取ったエロ本」ではない。しかし、テーマがテーマだし、作者(松井今朝子)が使う微妙な言い回しで、全編に何とも言えない色っぽさが漂う小説なのだ。これが女流作家に書かれたものであり、エロとははっきりと一線を引いた色っぽさというか艶っぽさが直木賞を受賞させたのだろう。エロ本ではなく、艶(つや)本とでも呼ぶべき本である。

Comments

かわうそ

すいません鬼平版課長でふいてしまいました^^。

izumi

私の記憶が確かなら艶本てエロ本という意味だったような…

humu

春画と同じくエロ本の一形態のようです

春画が絵であるのに対して艶本は文章も含まれるような?
(違うかもしれませんが)

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