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Googleの「有料リンク狩り」は4月に始まっていた

 先日のSEO業者対Googleの戦いに関するエントリーに対しては、またまたたくさんのフィードバックをいただき、とても良い勉強になっている。自分が少々不得意な分野に関するエントリーを書いた時の方が得るところが多いという典型的な例だ。

 結論から言ってしまえば、あいかわらずSEO業者は電解還元水の販売業者と似ていると思っている私だが、たしかに全部のSEO業者が偽装リンク(=人がクリックするためのリンクではなく、サーチエンジンを操作せんがために人為的に置かれたリンク...有料リンクとも呼ばれる)を売る悪徳業者ばかりではなく、きちんとサイトのコンテンツそのものの大切や正規化したHTMLページの作り方を教えてくれる業者もある、らしいことは分かった。

 顧客の側からすると、悪徳SEO業者に騙されないようにするには、「有料サイトからのリンクによるSEOでアクセスアップ!」、「被リンク効果であっというまにHP集客!」などの甘い言葉を投げかける業者を徹底的にさけることが大切である。ダイエットと同じく、小手先だけの技は長続きしないし、逆にリバウンド(=Google八分)が怖い。その意味ではSEO業者はダイエット業者に似ているのかも知れない^^。

 ちなみに、今回のフィードバックでいただいたリンクの一つを遡って行くうちにたどり着いたのが今年の4月にGoogleのMatt Cutts (GoogleのWebSpamチームのトップ)が書いたこの文章。

How to report paid links

 長いので翻訳は割愛させていただくが、要約すれば「有料リンク狩り」の呼びかけである。検索キーワードを含んだテキストリンクがずらずらと並ぶなどのいくつかのパターンを上げて、「こんなサイトを見つけたら教えてください」と読者に呼びかけているのだ。

 ちなみに、まことに恥ずかしい話だが、このブログにも広告に混じって「有料リンク」が紛れ込んでいることを読者の一人に指摘されて、あわてて削除させていただいた。医者の不養生とはまさにこのことである。ブログが双方向ツールであるからこそ可能なコミュニケーション。今回は読者から「おもてなし」をいただいたわけで、感謝・感謝である。


iPhone用のアニメーションに初挑戦

 「ラーメン大好き」の復活のために、久しぶりに実験用のサーバーにアクセスしたこともあり、ついでにiPhone用のアニメーション・プログラム(とは言ってもAJAX版の方)をcanvasタグを使って「ちゃちゃっ」と作ってみようと思ったのが運のつき。canvasオブジェクトを使って描いた正方形を思い通りの大きさとアスペクト比で表示する、というごくごく初歩の部分でつまづくこと3時間。

 iPhone用のウェブページに関する作り方はappleのサイトにはあるにはあるのだが、いまいちviewportの指定の仕方が曖昧なために、ちゃんとしたアスペクト比で表示されないのはviewportの指定の仕方が悪いと頭から思い込んでしまったためにとんだ遠回りをしてしまった。

 結論から言えば、viewportの方ではなく、canvasタグの使いかたが間違っていたからだったのだが、考えてみれば、iPhone用アプリのサンプルの数もまだまだ少ないし、解説ブログなども本格的なものはまだないからこんな目に合わなければならないのだ。こうなったら、その道のパイオニアとして自分で書いてみるのも良いかも知れない。英語版のブログもしばらくストップしているし、英語圏の読者を確保するにはちょうど良い機会だ。

 と思ったのだが、今日は燃え尽きてしまったので、今日のところは、アプリのURLを公開するだけにしておく。

iPhone用テストアプリへのリンク

 iPhone/iPod Touch用に作ってはいるが、canvasタグをサポートしているのでSafariとFirefox上ではちゃんと動く(当然、IEでは動かない)。明日には(苦労した部分も含めて)ちゃんと解説を書くつもりなので、乞うご期待。


「CGMサービス」と「0と1で割り切れるデジタルの世界」との妙なミスマッチ

 ずいぶんとスパムに攻撃されてしまっていたブログパーツ「ラーメン大好き」。ブログパーツを貼付けていただいた方々にはご迷惑をおかけしてしまったが、ようやくデータベースのお掃除をし、簡易スパムフィルターを設置させていただいた。

 今回の場合は、私自身が注意を払っていない間にスパムに攻撃されてしまい、それをユーザーの方にコメント欄で指摘していただいてから対処する、ということになった。小さなサービスだし、ユーザーもそれほど多くないので大問題にはならなかったが、それでもご迷惑をおかけしたことには違いなく、反省している。

 ここ2〜3年の間に「Web2.0だ、CGMの時代だ!」と星の数ほどのベンチャー企業が作られたわけだが、そこでちゃんとビジネスを成立させたり、Googleによる買収などのExitに成功させた企業はごくわずか。どうやったらそんな企業の一つになれるのかが分かれば苦労はしないのだが、その鍵を握るのが実はこの手のコミュニティー・マネージメントではないかと思い始めている私である。

 Facebookにしろ、MySpaceにしろ、それなりの成果を上げている人たちの話を聞くと、ちゃんとしたコミュニティを成立させるために色々と苦労・工夫をしているし、そこで大切なのは「すごいテクノロジー」なんかではなく、「ユーザーからのさまざまなフィードバックを受けて誠実に対応する態度」であったりするから何とも面白い。

 ソフトウェア・ビジネスが「パッケージ・ソフトの売り切りビジネス」から「ウェブ・サービス・ビジネス」に進化し、それがさらにWeb2.0で「コミュニティーに対する顧客サービス」という進化をとげているわけだが、それは単なる表面的なビジネス・モデルの変化だけにとどまらず、エンジニアが「もの作りへ」の姿勢として持つべきものにも大きな変化を与えているのかもしれない。

 「すべてが0と1ですっきりと割り切れるデジタルの世界」に飛び込んだはずのエンジニアが、「でも結局大切なのはコミュニティをもてなす気持ち」と思いっきりアナログな現実に直面してそのミスマッチにとまどう、という姿は各所で見られるのではないだろうか。Google VideoとYoutubeの違いはまさにそこにあったし、ニコ動とかが抜きん出ているのはやはりそのあたりの感度がとても敏感だからなのではと思っている今日この頃である。