ギークにだけ通じる「反戦タグ」に思うこと
「言論の自由」の大切さに関して一言

「今年こそはIPTV元年」って何回言っただろうと思いつつ...

 「今年こそはIPTV元年だ!」というセリフがオオカミ少年のセリフに聞こえそうな2008年だが、オリジナルの話でも本当に狼が表れるのは村人が耳を貸さなくなってから。本物の狼が表れるまでには、もう少し「誤報」を積み重ねる必要があるのか。

 iPhoneの成功にかき消されてしまったようなApple TVも、「大画面テレビで見るビデオの流通ビジネス」を虎視眈々と狙うアップルにとっては重要な戦略兵器。「アップルはMacWorldでビデオレンタル・ビジネスへの進出をするらしい」という噂もそのあたりを考えれば十分にありえる話である。Apple TVに関する考察はThe Diffusion Groupの「Apple TV - So When Exactly is Showtime?」が良くまとめてあるので、興味のある方は読まれると良い。Apple TVに関してはまだまだ改良の余地があるので、既存ユーザーとしては、ソフトウェア・サービスともに大幅なアップグレードを望みたい。

 個人的に興味を持ったのは、Netflixによるストリーミング・サービスの発表。Netflixは郵便を使ったDVD借り放題サービスの先駆者で、私自身も利用させてもらっているが、そこがLGにセットトップ・ボックス(STB)を作らせて、それ経由でストリーミングでの見放題サービスを提供するらしい。郵便だと、どうしても3〜4日の遅延が生じるため、「最初の10分だけ見て面白くないので交換」という贅沢な見方がしにくい。そこがストリーミング・サービスにしてもらえれば解決する。NetflixのSTBが2〜300ドルで発売されたら喜んで買い求めるNetflixユーザーはたくさんいるだろう。ただし、米国の場合、ブロードバンドが普及し始めたとは言え、日本よりはるかに高くて遅い(1〜4Mbpsが月30〜50ドル)ので、そこがネックかもしれない。光ファイバーはまだごく一部の家庭にしかとどいていない。

 日本に目を向ければ、NTTによる「オンデマンドTV」「OCNシアター」「4th MEDIA」の3サービスの統合が注目に値する。せっかく世界に誇れるブロードバンド・インフラを持ちながら日本でIPTVサービスが立ち上がっていないのは、加入者にとって「IPTVサービスに加入するメリット」が明確でなく、「何をどこから買ったら良いのか」がとても分かりにくいから。そろそろ「Bフレッツ」「フレッツ・ドットネット」みたいな名前を使うのすらやめて、「電話だけなら月々○円、インターネットを付ければプラス○円、ビデオ見放題サービスを付ければプラス○円ですが、どれにしましょう」ぐらいのシンプルなプランをNTT本体が提供したらとても強いと思うんだがどうだろう。

 NTTにしろAT&Tにしろ、通信サービスのコモディティ化ーもしくはdumb pipe(ただの土管)化を避けるためには、IPTVなどの上位レイヤーのサービスに進出することが必須。普通に考えれば月額課金の仕組みを持っている分圧倒的に有利なはずなのだが、あまり露骨に抱き合わせ販売をすることもできないのでそこが難しい。そのためにはNet Neutrality(通信事業者はどのサービス事業者に対しても平等にインフラを使わせなければならないという法律)を守りつつ、統一された課金や、統合されたサービスの利便さにより、加入者が通信事業者が提供するサービスを自主的に選ぶ、という状況を作り出す必要がある。つまりは、通信インフラも提供している企業だからこそできる「トータルでのおもてなし」で差別化をはかって、サービスの上位レイヤーもがっちり抑えましょう、ということである。

 ちなみに、このApple(ハードウェア)・Netflix(ビデオレンタル業)・NTT(通信事業)の三社を見ただけでも、色々な業種の企業がIPTVサービスへの進出を狙っていることが良く分かる。これに、既存の放送局、ケーブルテレビ事業者、ウェブ・サービス事業者、コンテンツ提供者、広告代理店などなどが複雑にからみあった利害関係で競争・協力しながら立ち上げようとしているのがIPTVサービスである。通信事業社主導で一気に立ち上がったモバイル・コンテンツとの違いはその複雑さと、既得権保持者(特に放送局と広告代理店)の存在。ここ数年は目が離せない。

Satoshi the crying wolf

Comments

naotake

数少ないIPTV専業会社が苦戦しているという噂を聞きますが、アクトビラビデオ対応のテレビは徐々に出荷しているようです。放送のはじまりには大きく国が関わっていた事は理解出来ますが、IPTVの普及は今みたいに「色んな物がわかりにくい形で提供されて、最終的に適者生存したものが勝ち」なんでしょうか?なんだか寂しい気持ちになりますね。

明日ノート

こんにちは。私もIPTVの普及を願うものです。ただ、私はアップルよりも任天堂のほうに期待しています。特に日本では任天堂が主導すると思います。組み合わせは、任天堂(ハード)・NTT(通信インフラ)・電通(広告代理店)ではないかと思っています。
任天堂とNTTはすでに共同で、WiiをNTTの光ファイバーにつなぐサービスを開始しました。Wiiの「みんなのニンテンドーチャンネル」では任天堂のCMが流れているようです。ですから、ここに広告を取ってくる電通と、動画番組を提供するコンテンツ事業者が加われば、ビジネスとして成立すると思います。

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