MicrosoftのYahoo!の買収に関するGoogleの公式見解に関して一言
2008.02.03
MicrosoftによるYahoo!買収に関して、Googleが公式ブログで反対意見を出した。
The openness of the Internet is what made Google -- and Yahoo! -- possible. A good idea that users find useful spreads quickly. Businesses can be created around the idea. Users benefit from constant innovation. It's what makes the Internet such an exciting place.
So Microsoft's hostile bid for Yahoo! raises troubling questions. This is about more than simply a financial transaction, one company taking over another. It's about preserving the underlying principles of the Internet: openness and innovation.【Yahoo! and the future of the Internetより引用】
冒頭の部分を意訳すると、こんな感じになる。
インターネットのオープン性こそがGoogleやYahoo!(の誕生)を可能にした。ユーザーが良いと思うアイデアはあっという間に広まる。そしてそんなアイデアに基づいて(新しい)ビジネスが作り出される。ユーザーはそんな絶え間ないイノベーションの利益共有者だ。これこそがインターネットをこれほどエキサイティングな場所にしているのだ。
MicrosoftのよるYahoo!の買収(の是非)には疑問を挟まざるを得ない。これは単に、一つの会社が別の会社を買う、という単純な(ビジネス上の)取引の話ではない。これは、インターネットの本質である、オープン性とイノベーションを守ることができるかどうか、という(もっともっと大切な)話なのだ。
GoogleはこれをMicrosoftに対するネガティブ・キャンペーンの絶好の機会と捉えたようだ。これで買収を妨げることができればそれも良し、買収に成功したとしてもMicrosoftのイメージを思いっきり悪くしておけば、Yahoo!から優秀なエンジニアを引き抜くのが楽になる。
Googleが言いたいことも分かるし、ある意味シリコン・バレーのエンジニアたちのMicrosoft嫌いを良く表した言葉ではあるが、ここまで一方的に言うと逆にGoogleに対するイメージにマイナスにならないか心配だ。ここは「クールに静観」するのが企業イメージのためには一番良かったと思うのだが。
ちなみに、WSJによると、Google自身はYahoo!を買収することは独禁法上できないものの、Googleが仲人をする形で、プライベート・エクイティやメディア会社によるYahoo!の買収を現実的なものにして、Microsoftによる買収を阻む可能性もあると言うから、面白くなってきた。普段はライバルとしてしのぎを削っているGoogleとYahoo!も、対Microsoftとなると手を組むというシナリオも充分ありうるわけで。
私は「よくぞ言ってくれた、google!」の心境です。apple、google、oracleなどはなくなったら悲しむ人も困る人も多いでしょうがマイクロソフトがなくなっても存外みんな平気なのではないでしょうか。正直vistaの不評、アメリカで主にビジネスユーザーからの更なるxpサポートの延長を望む声などを聞いていると、この会社はソースを公開してから明日にでも清算してくれた方が万人の幸福のように思うのです。確かに他社を扱き下ろすことは"googleらしくない"と言う部分はあるかもしれません。しかしそれは相手によるわけで今回のマイクロソフトの場合それだけのことをいわれても仕方のないだけのフラストレーションを多くの人々に与え続けてきたのではないでしょうか。重くてお節介で初期には多くの不具合を抱え毎月のパッチを辛抱強く待たなければならない未だに「パッケージング」のOSを皆が使っていると言うだけで定期的に"押し売り"されるストレスをどうか想像してみてください。「シリコン・バレーのエンジニア」でなくとも彼の企業にネガティブな印象を持っている者の心も少なからず代弁しているのが今回のgoogleのコメントではないでしょうか。ネットの世界までマイクロソフト流のビジネスがまかり通るようになってはたまったものではありません。「openness and innovation」まさに守るべきものだと思います。中島様の古巣への辛口評になってしまいましたが退社され逆の方向で(パッケージ⇔ウェブアプリ、重い⇔軽さ重視)立派に起業されているということでどうかご容赦ください。
Posted by: hoshino | 2008.02.04 at 06:48
今まで買収後にその企業が成功したという話はあまり聞いたことがないのですが。「AOLとTimeWaner」の異業種間の合併は大失敗、「Oracleと PeopopleSoft」「AdobeとMacromedia」の競合相手間の合併は失敗ではなくとも上手く行っているとも言えない。3年程度ではそれを評価することは難しいですが。
企業文化の違いと事業の主導権争いなどを考えると、MicrosoftによるYahooの買収後の姿に私は成功が見えないです。Microsoftの事業がどんどん肥大化すればするほどそれだけ官僚的体質・組織に移行するので、個人的にはこちらの方を期待しています。
ですから、「Google、これ以上余計なことを言うな。「Microsoftはインターネットの可能性を広げる」とほめ殺せ」というのが私の嘘偽りのない気持ちです。
Posted by: shigeki | 2008.02.04 at 07:19
訂正
TimeWaner→Time Warner PeopopleSoft→PeopleSoft
Posted by: shigeki | 2008.02.04 at 07:33
私はマイナスなイメージを持ちましたね。
おっしゃる通り、クールに静観しててほしかったです。
自分たちの都合のいいように、世論を誘導しようという意図が見えていやな気分になりました。
Posted by: s | 2008.02.04 at 09:18