原点に戻って徹底的に納得するまで理解する
2008.02.09
学ぶ時には「原典」に当たる
たとえば、PerlであればCGI本とかではなく、ラクダ本に当たる、というのがこれの意味するところです。もちろんCならK&R。なぜ原典でなければならないか。それは、原典には、その言語の設計者の意図が書かれているからです。それで、その言語は何が得意で何が不得意なのかもわかる。結果的に易しく「こうやれば出来る」が書いた本よりも、「こういう人向けに作りました」がわかる原典の方が優しいのです。
これを読んで思い出したのが、学生時代に勉強に関して思ったこと。公式とか法則とかをを覚えるのが不得意だった上に、「これはこういう決まりだから覚えておきなさい」と先生から頭ごなしに言われるのが嫌いだった私は、一度理解しようとしたことは自分が納得できるまで(つまり、自分で公式や法則を導けるようになるまで)決して前に進まない、という姿勢を貫くことにしていた。
炭素に含まれる同位体の割合でなぜ年代が測定できるのかがどうしても理解できずに地学の先生に徹底的にからんだりしたのはそのためだ。
大人になって気がついたのだが、世の中にはその手のことを理解せずに「暗記」してしまえる能力を持つ人たちがたくさんいるということ。そしてそうやって根本を理解せずに身にまとっただけの知識を元に仕事までしてしまう人までがいるから驚きだ。
そんな薄っぺらな知識を元にしても結構なんとかなってしまうものだが、そんな人たちはちょっとした例外条件が発生した時などに応用が効かない。本質を理解していれば絶対にするはずがないミスなどをしてしまう。
その意味では、原点に立ち戻って勉強することはものすごく大切。言語に関して言えば、なぜそうなっているのか、どういう意図でそう作られているのか、などをきちんと理解しているのといないのでは、大きな違いが出る。Rubyに関する入門書は沢山出ているが、やはり読むべき本はまつもとゆきひろ氏自身が書いた「オブジェクト指向スクリプト言語Ruby」なのも同じ理由だ。
【おまけ】
ちなみに、上にのべた放射性炭素年代測定の原理は中学生ぐらいで教わるので「知って」いる人は多いと思うが、炭素は植物の一部になる前から崩壊をし続けているはずなので、空気中に二酸化炭素として存在する間も崩壊しつづけているはず。にも関わらず、発掘された木片に含まれた放射性炭素の割合を調べるだけでその木片の古さが特定できてしまうのはなぜだろうか、というのが中学生の時に私が抱いた疑問である。単に「炭素の古さ」を調べているだけだったら、その炭素が木に吸収される前の期間が含まれてしまうはず。では、ここで問題です、どうして放射性炭素年代測定で、炭素そのものの年齢ではなく、木の年齢をはかることが可能なのでしょう?
炭素14年代測定法の原理のことですかね??
Posted by: nobu | 2008.02.09 at 07:35
炭素は、大気中で中性子と窒素原子が反応して生成されている。
この生成は全時代を通して行なわれており、大気中には常に新品の炭素が含まれている。
動植物は、ガス交換によって新品の炭素・半減期を迎えた炭素問わず取り込んでいる。
よって動植物の内部には残り時間がバラバラな状態で炭素が含まれている。
しかし、死んだ(枯れた)時点からは炭素の供給は行われず、内部に残った炭素が崩壊していくのみになる。
よって木片内でもっとも新品に近い炭素から、その木片の時代が分かる。
でしょうか?半可通の知識でコメントしづらいですが。
Posted by: takaki | 2008.02.09 at 08:06
仕事をする上で「暗記」でやってきた人が大半を占めていると考えたほうが建設であること、それである程度(飽くまで普通に仕事をするうえでは)理由より結果だけを考えても立ち行けることことが原因だと思います。
もちろん、それ以上の上を目指すには結果から導き出される理由が大事だということは火を見るより明らかです。
Posted by: TETSU | 2008.02.09 at 09:13
先のコメントに補足。原点に戻った形での回答は「炭素14は大気上層では生成されるが,植物内部では生成されないため」になるでしょうか。
大気中にある炭素原子の多くは,陽子が6つ,中性子数が6つである「炭素12」ですが,実際には陽子が6つ,中性子数が8つの「炭素14」がわずかに交じっています。炭素14は大気上層で生成されるもので,具体的には宇宙から降り注ぐ宇宙線から生じた中性子が,大気中の窒素14と反応して炭素14と水素が生じます。この炭素14は,半減期約6000年で窒素14に壊変します。ここ数万年は炭素14の生成量と壊変量がつりあっているため,大気中の炭素に占める炭素14の割合はほぼ一定です。
植物がCO2の形で取り込んだ炭素に占める炭素14の割合は,もちろん大気中の炭素に占める炭素14の割合と同じです。ただ,植物が生命活動を止めた後,炭素14は壊変して減り続けますが,地上には宇宙線がほとんど届かないので,植物中の窒素14から炭素14が生じる反応は起きません。結果,炭素14は一定時間に一定の割合だけ減り続けます。このため,植物中の炭素に占める炭素14の割合を量れば,現在の割合(正確には核実験が盛んになる前の1950年時点の割合)と比べれば,植物が生命活動を止めた年代を特定できます。
Posted by: n-asakaw | 2008.02.09 at 14:59
インド式算数などが一時話題になりましたが、本を読んで計算する人は、同じ計算方法を自分で思いつく人には絶対にかなわないし、追いつけない。
数学の得意な人だったら、おおむね自分で解き方を見つけてますね。
Posted by: まお | 2008.02.10 at 15:33
ただ、暗記で済むところを原典での説明を先生に要求して、周りのことを考えずに授業の進行を妨害するような輩がいることも事実。
それ後で自分でやんなさいよ、10倍でも100倍でも時間かけて。
何かにこだわる人は、周りがちゃんと見えてないことが多くて困ることがあります。
興味があったり大事だったりすることは人それぞれみんな違うんだから、それ周りに押し付けちゃダメ。
Posted by: Mu | 2008.02.11 at 14:31
> ただ、暗記で済むところを原典での説明を先生に要求して、周りのことを考えずに授業の進行を妨害するような輩がいることも事実。
それは妨害なんですか...? 授業を進行させるために学校はあるのですか?
> 何かにこだわる人は、周りがちゃんと見えてないことが多くて困ることがあります。
そういう人を追い出したら、たぶん、日本は壊滅でしょう。そういう人をうまく使いこなすのも教育の一環ですよ。
Posted by: yukichi | 2008.02.11 at 15:22
> それは妨害なんですか...? 授業を進行させるために学校はあるのですか?
授業は高速道路みたいなもんで、一度一気に通過する必要があるでしょう。
小さなお花をじっくり見たい人は交通を妨害しないところで好きにやりなさいということです。
リソースを占有していることにもうちょっと気を配りましょうねということです。
Posted by: Mu | 2008.02.12 at 13:15
リソースを共有していることは意識しないといけないかもしれないですけど、授業を予定通り進行させることが最優先事項というのはどうなんでしょう?
黙って聞きなさい、言われたとおり暗記してればいいんですよ、って言うのであればわざわざ授業に出席する意味ってありますかね?
それこそ一人でビデオ講義聞いておけば済むのではないかと。
Posted by: atueda | 2008.02.12 at 18:10
学校というのがマスを相手にしているのでマスからはみ出る少数を相手にすることは不可能かと.
これは良い悪いではなくシステムの問題
マスの効率を下げる要因は外しておいて別の機会を設けるではまずいですか?
ちなみにわたしも歴史の年号や数学の公式を覚えられないので,その出来事に関わった人の
伝記を読み漁って「なぜそれが必要だったのか?」を調べるようにして勉強してました
こうすることで時系列に整理されるので出来事が時系列順になるので,そのとき「何が足りなかったのか」「どうして足りないのか」とか
同時並行的に起こった出来事がなんとなくつかめたりします
まあ,テスト期間には間に合いませんでしたがw
Posted by: humu | 2008.02.12 at 19:46
そう言われりゃ、本当にできる人は、授業は聞いていようがいまいが関係ない人なんだろうね。
Posted by: Mu | 2008.02.13 at 10:19