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Googleのandroidは通信事業者にとって本当に正しい答えなのか?

 5月に、「UIEジャパン、映像配信サービス「ひかりTV」において、GUIの“ユーザー・エクスペリエンス”を演出」という奥歯にものがはさまったようなアナウンスをしたUIE。その時に寄せられた「ユーザー・エクスペリエンスの設計だけで、UIEngineは採用されてないの?」という質問に対する答えが今回のプレスリリース。

UIEジャパン、映像配信サービス「ひかりTV」のGUI開発に、「UIEngine™」によるIPTVソリューションを提供

 ちなみに、一方では「ハードウェアに依存しない、サービス指向のGUI開発」をサポートするUIEngineを作っておきながら、iPhoneという特定のハードウェアに最適化したアプリケーションを作っている私の行動を不思議に思っている人もいるようだが、これは私なりの「来るべきハードウェアの二極化」に対する答えである。

 つまり、ハードウェアは、Appleのように強いブランド力を持ったメーカーがサービスも含めたすべてのおもてなしを提供してしまうiPhoneに代表される「付加価値の高いデバイス」と、上の「ひかりTV向けのSTD」のように、サービス事業者がUIEngineのようなミドルウェアを通じておもてなしを100%サーバー側からコントロールするためだけの箱の役割をする「コモディティ化されたデバイス」という二極化である。

 言い換えれば、これはサービスの提供者とハードウェアメーカーの間で、どちらが付加価値の高いポジションをとるか、という主導権争いでもある。通信事業者は「ただの土管」にはなりたくないし、ハードウェアメーカーは「ただの箱」にはなりたくない。

 私が見る限り、androidベースの携帯電話の発売が遅れている原因の一つは、Googleとコモディティ化されたくない通信事業者とハードウェアメーカーとの間のすれ違いだ。GoogleにOSを無料で提供してもらうのは良いが、そのためにGoogleに主導権を取られて自分たちが「ただの土管」「ただの箱」になってしまっては本末転倒だ。どのソフトを端末に入れるかでSprintとGoogleの間でもめているという話も聞こえて来るが、十分に考えられる話だ。


ビル・ゲイツの引退と「ソフトウェア・ビジネスの興亡」と

 シアトルでの先週の一番の話題は、やはりビル・ゲイツの引退。すでに一年前から予告されてたと言え、シアトルの経済発展にこれだけ貢献したマイクロソフトを作った男だけに、メディアは大騒ぎだ。

 ビル・ゲイツが成し遂げたことの偉大さを最も顕著に表すのは、「Fortune Favors the Bold(邦題:知識資本主義←とても良いビジネス書なので一読をお薦めする)」の中の次の一文。

 Bill Gates stands as the symbol of this new era. For all of human history the richest person in the world has owned natural resources - land, gold, oil. Bill Gates owns no land, no gold, and no oil. Owning neither factories or equipment, he is not a capitalist in the old-fashioned sense. He has become the richest person in the world by controlling a knowledge process. As such he marks our fundamental shift to a knowledge-based economy. For the first time in human history it is possible to be fabulously rich by controlling knowledge (p.30-31).

 つまり、ビル・ゲイツは「人類の歴史始まって以来初めて、土地・金・石油などの天然資源ではなく、知的プロセスをコントロールすることより世界一の金持ちになった」という点で特異な存在だというのだ。

 確かに考えてみると、ビル・ゲイツの一番の功績はWindowsやOfficeを作ったことなんかではなく、それまではハードウェアのおまけ同然に配布されていたソフトウェアがビジネスになるということを身を持って証明したこと。それゆえに「帝国」とまで呼ばれるまでにマイクロソフトを大きくすることが出来たし、世界一の金持ちにもなれたのだ。

 しかし、そのビル・ゲイツの引退する2008年の状況を見ると、オープンソースの波は主流になりつつあるし、Googleは明らかに「パケージ・ソフトウェアの販売ビジネス」を破壊に来ている。純粋なソフトウェア・ビジネスの将来は必ずしも明るくない。

 90年代中頃のネットスケープの誕生から始まった「パッケージ・ソフトウェア・ビジネスの終焉」。それがとうとう最終章に入ろうという段階でのビル・ゲイツの引退はなんとも象徴的だ。


「iPhone開発者支援プログラム」と進化圧と

 先日の「iPhone開発者支援プログラム」に関するエントリーに対しては、予想以上のたくさんのフィードバックをいただいた。やはり「もっと日本のエンジニアが活躍する場があるべき」という進化圧のようなものが高まっているのだろう。

 支援プログラムに関しては、まだまだ詰めなければならないことがたくさんあるのだが、形としては純粋なNPOでは息が続かないし(そもそも資金が集められない)、かといっていきなり人をたくさん抱え込むのもの得策ではない。やはり受け皿として小さな事業会社を用意して、そこから私が外部のスタッフを交えたいくつかの開発プロジェクトを見る、という形が良いのではと考えている。

 ちなみに、最近の私だが、UIEvolutionには週に一日ぐらいしか顔をだしておらず(CEOは去年の10月に辞任、今は単なる取締役)、他の時間はmasuidriveの増井くんと4月に設立したBig Canvas Inc.という会社でもっぱらiPhone向けのアプリを開発している。その意味では、Big Canvasがプロジェクトの受け皿の事業会社としては最適なのかもしれないが、なにぶん私がiPhone側の開発担当、増井君がサーバー側(もちろんRailsで)の開発担当、というできたてほやほやのベンチャー企業なので、あんまり欲張って手を広げすぎないように気をつけなければならない。

 AppleとのNDAがあるので、あまり具体的な話は出来ないのだが、7月のapp storeのオープンに向けては、SNSアプリケーションを開発中なので、iPhone 3Gを手に入れることができた方々はぜひともお試しいただきたい。私がこのブログでしているような「ゆるいコミュニケーション」をそのアプリを通じて数多くのiPhoneユーザーたちと結ぶことができれば良いと考えている。

 知り合いから「それって直球ど真ん中じゃん」と言われるぐらい「誰かが作るに決まっている」SNSアプリだが、まずは一つ会社の看板となるアプリを持っておきたいので、小手先のゲームなんか作るよりもまずは直球で勝負。Googleあたりが出してくるアプリとガチでかぶりそうな気もするが、Google Video対Youtubeの前例もあるし、ここは頑張るしかないぞ、と。


iPhoneが作り出す「小さな現実歪曲空間」

 iPhone登場以来すっかりAppleファン(=マカー:ただし、この呼び方を蔑視と見る人もいるので要注意→コメント欄参照)になり、しまいにはメインの開発マシンまでMacにしてしまった私だが、この「アップル教」とまで呼ばれるApple好きの人たちの言動と、それ以外の人たちがAppleファンに対して持つ違和感をどう説明したら良いものかと考えていたら、良い答えを見つけた。

Apple社は,Don Norman氏の教えの信奉者であるようにも見える。有名な認知心理学者で,Steve Jobs氏が復帰する前のApple社に勤務していたNorman氏は,「感情に訴えるデザイン(emotional design)」を主張している。デザイナーは,消費者と製品の間に感情的な絆を作り上げるべきとの発想である。これに成功すれば,消費者は製品の様々な欠点を見逃してくれるようになる(関連記事)。Steve Jobs氏が描くMacBook Airのビジョンは,「軽くてフルサイズの体験」で消費者を喜ばすこと。これが消費者に伝われば,有線のEthernet端子がないといった弱点を許容してもらえる,とみなしているのではないか。【Appleファンの怒りが示す設計思想の根本的な違い - 日経エレクトロニクス - Tech-On!より引用】

 つまりAppleが製品作りで心がけていることは、多少の欠点は「目をつぶる」どころか「そこが逆にかわいい」と思えてしまうぐらい強い所有者と製品の間の感情的な絆を作り上げてしまうこと。確かにMacBook Airに有線のEthernet端子がないことは欠点だが、「そのくらいの欠点は(必要に応じてUSB/Ethernetケーブルを持ち歩くことによって)俺が補ってあげよう」と所有者に思わせてしまう力を持っていれば、全く問題にはならないのである。

 それは「僕の彼女は思いっきり運動音痴なんだけど、そこがかわいくて」という感覚と同じく、はたから見れば「あばたもエクボ」もしくは「恋は盲目」状態。それを人工的に作り出す力を持つのがAppleである。MacBook Airを発売と同時に買った私の知り合いが、「うちのAirはわがままで」と目を細めながらうれしそうにMacBook Airの欠点を語っていたのだが、まさにこれがそうである。

 iPhoneがユーザーの満足度90%以上という前代未聞の数字をたたき出しているのも、まさにこのユーザーとiPhoneの感情的な結びつきのなせるワザである。ある意味で、iPhoneそのものが「小さな現実歪曲空間」をそのまわりに作り出しているのだ。「おサイフケータイなんて機能を持ってない自分勝手さがイイんだよね」とユーザーに言わせれば勝ちだ。


「iPhone開発者支援プログラム」に興味がある人、この指とまれ

 シリコンバレーのエンジニアと比べて日本のエンジニアがの労働環境や待遇の面で冷遇されているということは常々言って来たことだが、その原因の一つがベンチャー企業を支援する仕組みが日本に圧倒的に不足していること。私なりになにかできないかと色々と考えて来たのだが、やはり私としてできることはもの作り面での支援だと思う。

 そこで、読者に質問だが、もし私が「iPhone開発者支援プログラム」のようなものを立ち上げたら、エンジニアとして参加することに興味のある方は何人ぐらいいるだろうか。漠然と考えているイメージはこんな感じ。

ステップ1:プログラミング・コンテスト
 作ったiPhone用のプログラムを「投稿」していただく。審査に通った人はステップ2に進んでいただく。
ステップ2:開発支援
 審査に通った人に対し、資金・企画・技術・デザイン面での開発支援を行う。必要であればウェブ・サーバーも提供する。
ステップ3:マーケティング支援
 完成したソフトウェアのマーケティング支援を行う。特に数が多いと予想される北米を中心とした英語圏でのマーケティングを重点的に行う。

 原則としては、プログラミングができる学生・社会人が対象で、いきなりベンチャー企業を作って人生をかける勇気も資金力もないが、まずは自分の自由になる時間を使ってiPhone用のプログラムを書いてみて、ビジネスになるようであればそれを独り立ちの足がかりにしたい、と考えているような人たちである。

 学生時代もしくはNTT時代の私だったら喜んで飛びつきそうな話だが、私の価値観だけで一方的に提案してもうまくいくはずもないので、まずは意見を集めてそれに基づいて企画作りをしようかと思う。コメント欄にでもフィードバックをいただけるとありがたい。


ソフトバンクに拍手:iPhone向けサービスの通話料+通信料は7,280円

 ついさっき、先日のエントリーにコメントをいただいて知ったのだが(参照)、ソフトバンクからiPhone 3G向けのサービスの詳細が発表された。

 結果から言えば、

  • 本体価格:実質23,040円 (私の予想を24,000円を下回る価格)
  • 通話料+通信料:7,280円 (私がお願いした8,000円を下回る価格)

ととても妥当な価格。孫さんえらい。

日本では「実売価格2万4千円。ソフトバンクに対する月々の支払いが、音声+データ+端末月賦のすべてをあわせて8千円」というのが妥当な落としどころ。【Life is beautiful: ドイツのT-MobileはiPhoneをわずか1ユーロで売るらしいより引用】

と言って来た私としては大満足^^。

 ちなみに、本体を分割で払うことになるが(月々980円を24回払い)、本体価格の定価は69,120円で、そこから特別割り引き46,080円(1920円x24ヶ月)が引かれてトータルで23,040円となる。ちゃんと24ヶ月使い続ける人には問題ないが、途中で解約するとこの特別割り引き分の一部が消えてしまうので注意した方が良い。

 この料金体系のおかげで、ソフトバンクがAppleからiPhoneを仕入れる時の価格が6万円程度だということが分かるところが興味深い(米国のAT&Tでは、この部分は曖昧にされている)。

 ちなみに、iPhone向けの「パケット定額フル」が月額5,980円であることを、今までの携帯向けの「パケ放題」の価格より感じる人もいるかも知れないが、それは誤解である。こと通信に関して言えば、iPhoneは携帯電話ではなくパソコン。普通に使っていれば、月々何メガバイトではなく月々何百メガバイトのオーダーで通信しまくることになるので(経験者語る)、通信網にかける負担ははるかに高い。月額5,980円はとても妥当な価格だ。

 いずれにせよ、消費者の声をちゃんと聞き入れて、このとても魅力的な価格でiPhoneを提供することをしてくれたソフトバンクに拍手。約束通り、iPhone用のアプリはどんどんと作って行くのでよろしく!

 


ジャパネットたかたは日本のスティーブ・ジョブズか?

 高田社長は、商品の性能を細かく説明するより、その商品を購入することで、一家にどんな幸せが訪れるかをイメージさせることに心を砕くのが常だ。【【12】ジャパネットたかたの本当のすごさ:NBonline(日経ビジネス オンライン)より引用】

 二人に共通するのは、「持つ喜び」「それによってもたらされるライフスタイルの変化」にちゃんと注意を払ってセールストークをすること。見習うべきところはたくさんある。次の本のタイトルは「おもてなしの販売術」にするか。ジャパネットたかたさん、スティーブ・ジョブズとの対談入りで。

 


日経BPが永久機関の話にだまされちゃ困るだろう

 「水からエネルギーを生み出して走る車」の話はあまりにも子供だましなので、スルーをしようと思っていたのだが、日経BPまでが軽率にも報道してしまったために(参照1参照2)、米国の朝のニュースでも報道される始末。

 日経エレクトロニクスの愛読者として日経BPにはいろいろとお世話になっている私だが、今回のは完全なミスなので日経BPのためにも指摘しておきたい。こんな詐欺のような話は頭から無視すべきなのは明々白々。こんなくだらない話を記事にした記者には厳重注意を与えるべき。日経BPとしてこれ以上の権威失墜を避けるためにも、ここから先の報道は控えた方が良いだろう。できることならば、「なぜこの手の永久機関が不可能なのか」を丁寧に解説して、不幸にも誤解してしまった読者を救済すべき。

 エネルギーを使わずに触媒だけで水素と酸素を分解することはできないのは当たり前の話(エネルギー保存の法則)。化学反応を使って水を分解することは可能だが(例えばナトリウム)、その場合は「化学エネルギー」を消費しているわけで、決して水からエネルギーを取り出しているわけではない。

 そもそも「水から発電する新エネルギー」という言葉使いがうさんくさい。日経BPの記者ならば、その言葉を聞いただけで「まやかし」だと見破らなければだめ。「水と空気だけで発電し続けます」という記事のタイトルも完全にミスリード。今回の話が可能であれば、「特殊なバネを使って『石』を高いところに持ち上げて、それが落下するエネルギーを使って発電する『石エネルギー車』」が可能になる。

 まあ、どんな科学の法則でも絶対に覆せないわけではないのだが(ニュートン力学に対する相対性理論が良い例)、ニュートン、アインシュタイン以来の革新的な科学の進歩が、突然大阪のベンチャー企業によって達成されたとは信じがたい。

 ちなみに、どうしても理解できないのがこの「ジェネパックス」社の狙い。ベンチャー企業として投資家からお金を集めようとしているのかも知れないが、ベンチャー投資であろうと全く科学的根拠のないエセ科学をうたって投資家からお金を集めれば詐欺罪は成立するわけで、そんな見え透いた犯罪に、こんなにおおっぴらに手を染めて来るとは考えにくい。作っている本人たち自らが勘違いをしてしまっている可能性がない訳でもないが、なんらかのエネルギーを注入しなければ車が走らないことは本人たちが一番良く知っているだろうから、それもありえないし。

【追記】何人かの人たちに、「すでに永久機関ではないことを認めているから良いのではないか」との指摘を受けたが、私が問題にしているのは、ジェネパックスが使っている「コップ一杯の水が、地球を支えるエネルギーに」「水が生活エネルギーに変わる」「水からエネルギーを取り出す過程で...」という、あたかも「水からエネルギーを取り出す技術を持っている」ように表現している部分。彼らのウェブサイトにある、「発電の仕組み」というアニメーションにも水が触媒と反応して水素と酸素に分かれるという表現があり、これも意図的なミスリーディング(「触媒」という言葉を使っている点に注目)。

 化学反応を利用した水素電池を発明したのであれば、最初からどうどうと「画期的な電池を発明しました」と言うべき。そこを「水からエネルギーを取り出す」という言葉を使っては投資詐欺と指摘されてもしかたがない。


自分で考える前にググっていませんか?

 つい先日、興味深い話を聞いた。ある大学の授業で「デジタル・コンテンツ・ビジネス」というテーマで小論文を宿題として書かせたところ、同じような内容の小論文ばかりが集まったという。その原因を調べたところ、「デジタル コンテンツ ビジネス」のキーワードでググると上位に来る私の過去のエントリーの内容がほぼ丸写しにされていたという。

 日本の学生の勉強に対する態度なんてそんなものなのかも知れないが(それはそれで憂うべき話だがその話は別の機会に)、少し心配になるのがどんな気持ちでその手の「コピペ」をしているのか、という点である。確信犯的に「徹底的に手を抜きたいからコピペしているだけ」ならまだ許せる。私が問題視するのは「自分で考える前にまずググる」習慣であり、「ググれば答えが見つかるにちがいない」という錯覚である。

 暗黒時代とも呼ばれる中世ヨーロッパで科学の進歩があんなにも長い間低迷した原因の一つは、あの時代の人たちが聖書に書いてあることすべてを絶対的な真実として受け入れてしまい、自分で考えることをやめてしまったこと。地動説を主張したガリレオが弾圧されたのも、天動説を絶対的な真実として受け入れて思考停止をしてしまった社会のなせるわざだ(このあたりの話に関しては、「古典力学の形成」に詳しく書いてある。ちなみに、この本は理科系の人たちにとってはすばらしいエンターテイメント)。

 問題は、上に書いたように自分で考える前にググって「手っ取り早く答えを見つけてくる」ことを習慣的にやってきた学生が社会に出た時に、ちゃんと自分で考えることができるのだろうか、ということ。自分で考える努力をせず、ネットで見つけた情報を頭から信じて行動することは、聖書に書いてあることを頭から信じ込んで思考停止をしてしまった中世ヨーロッパの人たちの行動と同じだ。

 ということで、今日のメッセージは「宿題を手っ取り早く終わらせるためにググってコピペするのはかまわないが、あくまで確信犯としてやってほしい」ということ。特に仕事でネットを使う時には、ネットにはでたらめな情報・勝手な意見があふれている、ということをキチンと認識した上で使いこなしてほしいということ。

 難しい問題に直面したときに、自分で考える前にまずググって答えを探してしまっていませんか?ネットで見つけた解決方法をろくに考えずもせずに採用してしまっていませんか?


ドイツのT-MobileはiPhoneをわずか1ユーロで売るらしい

 Wireless Weekの報道によると、ドイツのT-Mobileは、AppleのiPhoneをわずか1ユーロ(約170円)で販売することにしたらしい。

Deutsche Telekom’s mobile unit T-Mobile announced it will sell Apple’s next generation iPhone for 1 euro ($1.54) with a 69 euro ($107) monthly contract in Germany. Along with the handset’s 3G upgrade, Apple announced changes to its business model, including abandoning exclusive carrier contracts and allowing carriers to subsidize the handsets.

  T-Mobile to Sell iPhone for 1 Euro in Germany より引用】

 ただし、月々69ユーロ(1万円強)のプランに入らなければならないというのがミソ。

 以前から何度も書いているが、日本では「実売価格2万4千円。ソフトバンクに対する月々の支払いが、音声+データ+端末月賦のすべてをあわせて8千円」というのが妥当な落としどころ。月額1万円超は高すぎる(→ソフトバンクの中の人)。

 ちなみに、「日本ではiPhoneは二台目の携帯にふさわしい」という勝手な評価をしている人がいるようだが、iPhoneを唯一の携帯として1年ほど持ち歩いている私としては(もちろん、米国内にいるときの話)まったく同意できない。マスコミはマルチタッチなどのiPhone特有の機能ばかりをもてはやすが、電話をかける、テキストメッセージを送受信する、送受信履歴を見る、留守番電話を聴く、写真を撮る、などの携帯電話としての基本機能がマニュアルなど見なくても誰でも使えるようにキチンと実装されているのがiPhoneの特徴。「床屋の満足」で必要もない機能をてんこ盛りにした日本の携帯よりはずっと使いやすい、というのが日本の携帯とiPhoneの両方を使っている私の正直な感想だ。