Googleのandroidは通信事業者にとって本当に正しい答えなのか?
2008.06.30
5月に、「UIEジャパン、映像配信サービス「ひかりTV」において、GUIの“ユーザー・エクスペリエンス”を演出」という奥歯にものがはさまったようなアナウンスをしたUIE。その時に寄せられた「ユーザー・エクスペリエンスの設計だけで、UIEngineは採用されてないの?」という質問に対する答えが今回のプレスリリース。
UIEジャパン、映像配信サービス「ひかりTV」のGUI開発に、「UIEngine™」によるIPTVソリューションを提供
ちなみに、一方では「ハードウェアに依存しない、サービス指向のGUI開発」をサポートするUIEngineを作っておきながら、iPhoneという特定のハードウェアに最適化したアプリケーションを作っている私の行動を不思議に思っている人もいるようだが、これは私なりの「来るべきハードウェアの二極化」に対する答えである。
つまり、ハードウェアは、Appleのように強いブランド力を持ったメーカーがサービスも含めたすべてのおもてなしを提供してしまうiPhoneに代表される「付加価値の高いデバイス」と、上の「ひかりTV向けのSTD」のように、サービス事業者がUIEngineのようなミドルウェアを通じておもてなしを100%サーバー側からコントロールするためだけの箱の役割をする「コモディティ化されたデバイス」という二極化である。
言い換えれば、これはサービスの提供者とハードウェアメーカーの間で、どちらが付加価値の高いポジションをとるか、という主導権争いでもある。通信事業者は「ただの土管」にはなりたくないし、ハードウェアメーカーは「ただの箱」にはなりたくない。
私が見る限り、androidベースの携帯電話の発売が遅れている原因の一つは、Googleとコモディティ化されたくない通信事業者とハードウェアメーカーとの間のすれ違いだ。GoogleにOSを無料で提供してもらうのは良いが、そのためにGoogleに主導権を取られて自分たちが「ただの土管」「ただの箱」になってしまっては本末転倒だ。どのソフトを端末に入れるかでSprintとGoogleの間でもめているという話も聞こえて来るが、十分に考えられる話だ。