プレゼン資料:iPhone Phenomenon
2008.10.26
今週は火曜日からノルウェーのオスロに飛んで、ワイアレス関係の会議でプレゼン。ようやく話の流れも決まって来たので、頭を整理する意味でも、ここにプレゼン資料を貼付けてみる。
最初の二枚は基本的に自己紹介。まずは、2000年に起業したUIEvolutionのビジネスを簡単に説明して、私とワイアレス業界の関わりを理解してもらう。
スライド3と4は、私の得意な「技術革新」と「人々のライフスタイル」のギャップの話。技術は日進月歩で進んでも、人々のライフスタイルの変化はすぐには訪れない。ライフスタイルの変革には必ずキーとなる役割を果たす製品やサービスが必要で、そこにこそ開発者としての面白みがあるしビジネスチャンスがある、という話。
5枚目のスライドが、今回のプレゼンの主要なテーマでもある、この「人々のライフスタイル革新」プロセスにおけるiPhoneの役割。携帯用のJavaやブラウザは一部の人々のライフスタイルを変えることには成功したが、テキストメッセージ(日本ではiモードメール)に相当するほどのインパクトは与えていないという話。これは、Windows Mobileに代表されるスマート・フォンも同じ(Blackberry以上のインパクトは与えていない)。その意味では、すでに存在している3Gだの高機能端末などから本来享受出来るうるメリットを世界中の人が受けているとはまだまだ言えず、そこにチャンスを見いだしたのがAppleでありiPhoneの登場だ、という話。
6枚目のスライドは、後のBig Canvasのビジネスモデルの話に繋げる伏線として提示する、音声通話・テキストメッセージに続く「何か」とはなんでしょうか?という問いかけ。ちょっとここの部分の話の流れが悪いので、再考中。
7枚目のスライドは、「ハードウェアが増えるとソフトウェアが売れ、ソフトウェアが増えるとハードが売れる」というエコシステムの話。8枚目のスライドで、携帯向けのJavaのエコシステムがなぜうまく機能していないかについて解説。これに関しては、反対意見を持つ人も多くいるとは思うが(特に、Sun Microsystemsとか、DoCoMoの人とか)、こういう現実直視の厳しい言葉をストレートに投げかけてこそ、わざわざプレゼンをする価値があるというもの。
そして9・10枚目がiPhoneのエコシステムの話。10枚目のスライドは、iFund VC Blogから拝借したのだが、わずか1200万台しか市場に存在しないiPhone向けのアプリの方が、米国市場に2億5000万台あるJava端末向けのアプリより遥かに多くダウンロードされている、という話には説得力がある。
11・12枚目が、iPhone向けとJava端末向けのビジネスの違いを目に見える形にしたもの。Java端末向けのビジネスの場合、市場の端末数はiPhoneよりも遥かに多いものの、ちゃんと世界市場を取りに行こうとすると、端末ごとの違いを吸収するコストや世界中のキャリアと交渉するという余計なコストが生ずるため、iPhoneのみをターゲットにしたビジネスよりも黒字化するに必要な売り上げが遥かに大きくなってしまう、という話。
13枚目は、「Javaはだめだとしても、他のプラットフォームはどうなの?」という疑問に答えるためのスライド。ただし、全体の講演時間は45分しかないので、たぶん深く突っ込んで話す時間はないと思うが、時間があまればここで10〜15分は余裕で話せる。講演時間の調整のためにこの手のスライドを最後の方に入れておくのは、私が良く使うテクニック。
そして14・15枚目は、今年の4月に起業したBig Canvasのビジネスの話。せっかくプレゼンの機会をいただいたのだから、宣伝・宣伝、と。
そして最後がまとめ。結局のところは、開発者にとってアプリを売るのが容易で、ユーザーにとって買うのが簡単、という環境を真剣に整えないとAppleにすべておいしいところを持って行かれちゃいますよ、という話。そして、技術革新とライフスタイルのギャップを埋めて本当の「常時接続ライフスタイル」を実現するために、色々な商品やサービスを作って行きましょう、というメッセージ。