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iPhone OS 3.0 に関してひと言

 米国のPR会社に勤める知り合いに「iPhoneの新しいOSに関してひと言」というテーマでインタビューを受けた。要約するとこんな感じ。


インタビュアー:3.0 に関してどう思うか

:Big Canvasのビジネスにとって一番プラスになるのは間違いなくPush Notification。昨年の9月にリリースされるはずだったので、その時から首を長くして待っていた。PhotoShareのようなコミュニケーション型のサービスにとって、Push型で情報を届けることは、携帯電話にふさわしいおもてなしを提供するという意味でも必須。3.0向けのSDKを入手し、開発をしているところだ。

インタビュアー:3.0でApp Storeはどうなると思うか

:私は常日頃から「AppleはGoogleやMicrosoftの18〜24ヶ月先を走っている」と言っているが、今回のアップデートで、Appleは業界のリーダーシップのポジションをまだしばらくは走り続けることを明確にした。Big Canvasのようなベンチャー企業にとって「適切なマーケットにタイミングよくものを出すこと」は何よりも大切。iPhoneと他のプラットフォームの差がこれだけ開いてしまうと、私のような開発者に「少なくともここ数ヶ月は他のプラットフォームのマーケットに目を向けなくても大丈夫」という安心感を与えてしまう。これがAndroidとかWindows Mobileのアプリ市場のスムーズな立ち上げをさまたげ、さらに差が開いてしまうという悪循環を起こしかねない状況だ。別の言い方をすれば、iPhoneは社運をかけてアプリを開発する魅力があるが、AndroidにもWindows Mobileにもそんな魅力はない、というのがベンチャー企業の経営者としての正直な感想だ。

 この手のインタビュアーは、はっきりとした意見を言ってあげると喜ぶので、多少誇張した面もあるが、それにしても最近のMicrosoftはどうしようもない。シアトル近辺にとびかう噂では、iPhoneの登場でWindows Mobileチームは完全に浮き足だってしまい、せっかく立ち上がりかかったエンタープライズ・ビジネスからコンシューマー向けに大きく舵取りをして、混乱の極みだそうだ。Windows Mobileにだけは手は出さない方がよさそうだ。

Appleが打つべき次の一手

 先日、宿題の形にしてあえて私の意見を書かなかった「Appleが打つべき次の一手」。さまざまな意見が集まって私自身にとってもとても良い勉強になったが、やはり戦略として重視すべきなのは

・iTunes storeという武器をいっそう強力なものにして誰も追いつけないところまで持って行く
・iPhone 向けのアプリの開発者が増えていることをアップルにとっての最大の武器にする
・$200〜$300という低価格のnetbooksがMacBookに与える値段圧力に対する戦略を立てる

の三点である。

 現在のAppleを見る限り「(Apple TVとかiCameraのような)新しい市場を開拓してビジネスを広げる」という戦略よりも、まずは「世界最大のデジタル・コンテンツ・ストアであるiTunes store」と「急激に増えつつあるiPhone向けのアプリの開発者」という二つの強みを徹底的に強化し活用して行くという戦略をまずは優先すべきように思える。

 しかし、そのためには稼ぎ頭であるMacのビジネスが他のパソコンメーカーの値段競争に巻き込まれないように細心の注意を払いつつ、パソコン業界のBMW(ルイビトンでも良い)の位置を確固たるものとして、キャッシュフローを生み出し続けるように保つことがとても大切である。

 上の三つの戦略に基づいて戦術レベルまで掘り下げるとこんな感じになる。

iTunes storeの強化
  • 映画の品揃えをNetFlixやAmazonに対抗できるレベルまで増やし、本気で「ビデオレンタルビジネス」の市場を奪いに出る
  • 米国のスタバでやっているような「無料WiFiを通して今流れている音楽をその場でiTunes storeから買える」というサービスを全世界の人の集まる場所で展開する (「iTunes store in the air」戦略)。
アプリの開発者の支援・活用
  • アプリの開発者の収益をさらに増やすような仕組みを次々に追加して行く(iPhone OS3.0がアプリ内課金や月額課金をサポートするのはこれが理由)
  • xCode/Cocoaに慣れたアプリの開発者がiPhone以外の端末でもビジネスが展開できるような仕組みを作る (↓下記参照) 
netbooks対抗
  •  MobileMe専用端末としてのnetbookを発売する
  • 「MobileMeを通じてMac本体とデータを共有する」 というシナリオに特化して設計する
  • CPUはIntelのATOM、OSはiPhone OSを元にしたものにする
  • キーボードはBluetoothでの外付け。 キーボードなしでも使える。 
  • 本体価格は$300程度に抑え、その代わりMobile Meの年会費$99を必須とする
  • この端末向けのアプリの販売をiTunes storeから行う
  • Amazonと提携し、Kindleの代わりにAmazonにこの端末を販売してもらう 
 ちなみに、これは「もし私がApple内部にいたらこう考える」というだけの話なので、決して「これが正解」と言っているわけでも、実際にAppleがこういう戦略を取るだろうと予想しているわけでもないので注意していただきたい。この業界で働く誰もが常にしておくべき「頭の体操」の一つだと思っていただければ良いと思う。

Appleの将来について考えてみる

 昨日のエントリーで、SWOT analysisという話をしたが、SWOTはStrength(強み)、Weakness(弱み)、Opportunity(ビジネスを延ばす機会)、Threat(ビジネスをおびやかすもの)の頭文字をとったもの。既にStrengthとWeaknessに関しては書いたので、今日はOpportunityとThreatに関して。


Opportunity

 この業界をとりまく環境でAppleにとって最も好ましい現象は、若い人たちのライフスタイルの変化。パソコンや携帯を使いこなし、CDやDVDはもう買わずにiTunes storeや携帯サイトから音楽をダウンロードし、TVの前に座っているよりもパソコンや携帯をいじっている方がはるかに長いという「デジタル・コンテンツ時代世代」が急速に増えていること。

 この手の不連続な変化のことをパラダイム・シフトと呼ぶが、これこそがアップルにとって「家電の主役交代」を起こす大チャンスである。家電業界での現在の主役はPanasonic・Sony・Sumsungなどだが、彼らのビジネスはこのパラダイム・シフト前のライフスタイルに会わせたもの。パナソニックの開発陣がせっかくネットに繋がるテレビを作っても、「ネットに繋がるなんてよけいなことを言うと団塊の世代の人たちは買ってくれなくなる」という販売網と顧客ベースに立脚しているビジネスをしている限り、パナソニックのテレビのネットへの接続率は低迷したままだ。アクトビラが成功すると思えないのも同じ理由だ。

 もう一つのOpportunityはハードと販売チャンネルがばらばらなために世界規模のコンテンツ・ビジネスを展開することが難しくなってしまい成長が止まっている携帯コンテンツ業界の現状iPhoneで携帯業界に大きな風穴を空ける可能性。iPhoneのマーケットシェアは携帯電話全体で見れば高々1%だが、アプリケーションのダウンロード数という意味で言えば、既にJavaアプリすべてを会わせた数字を上回っているというデータもある(参照←これは米国のケース)。既に「iPhoneが売れているからアプリを作る面白いアプリが沢山あるからiPhoneを買う」というサイクルが始まっており、少なくとも市場規模でSony PSPやNintendo DSと並べるプラットフォームになることは目に見えている。

Threats

 Threatsの一つ目はnetbook。Macのビジネスが着実に伸びている理由の一つはiPod/iPhoneの成功によるブランド・イメージによるものだが、注目すべきは「主にネット・写真・音楽をするんだから、Windowsアプリなんて不要」というユーザーが増えているからこそ、Macへの乗り換えがスムーズに行われている点。そんなユーザーにとっては、「格好悪いWindowsマシンよりはクールなMacBook」はコストパフォーマンスをちゃんと考慮しても魅力的だ。そこに穴馬的な存在で表れたのが、netbookと呼ばれる$200-$300の超小型で低価格のミニノートブック。容量も処理能力も高くないが「主にネット・写真・音楽をするんだから、Windowsアプリなんて不要」というユーザーの一部がこちらに流れる可能性もあるし、それが間接的にMacBookの値段に圧力をかける可能性は十分にある。

 もうひとつのThreatsはandroid。スマートフォンだけでなくnetbookにも使うことが考慮されているようだが、「ハードやソフトでは儲けなくて良い」というビジネスモデルのGoogleがOSを提供しはじめた、というのは少しやっかいだ。Androidの存在は、ただでさえ低価格化が進んでいる携帯電話やパソコンの値段にさらに下降圧力をかけることになるので、その値段競争にまきこまれないようにうまく立ち回って今の粗利益率を保つことがAppleにとってはとても大切だ。

次の一手は?

 ではこのSWOT Analysisの結果、私がたどりついた「アップルが打つべき次の一手」はなんだろうか。せっかくなので、「宿題」としてこのエントリーではまだ書かないで置こうと思う。ぜひともコメント欄なりトラックバックなりでの活発な議論をしていただきたい。


AppleをAppleにしているもの

 ワシントン大学で受講しているMBAの授業もあと3ヶ月を残すばかり。来週から始まるクラスの一つが「General Management & Strategy」というクラス。Microsoftの戦略コンサルタントを勤めるCharles Hillというやり手の教授の授業は、スピード感とテンションの高さで大好きなクラスの一つだ。

 最初の授業が「Apple 2008」と題したケーススタディ。Appleの歴史を勉強した上で、Appleの長所・弱点、そしてそれを取り巻く環境を解析する(SWOT analysis)というクラスだ。妻が「あなたが教えるべき」というぐらい楽しいテーマなので、水を得たさかなの様にレポートを一気にまとめて準備完了。せっかくなので、キーポイントをここに書いてみる。

 Appleの強みはいろいろとあるが、「他の企業がそうかんたんにはまねできない強み」という意味で絞り込めば、以下の2つになる。

1. デザイン重視のカルチャー

 「Steve Jobsが商品のデザインの細かなところまで口を出す」という話は有名だが、単にそれだけの話ではなく、Jonathan Iveが率いるデザイン・チームの商品開発に関しての特権を与え、それを開発陣が許してしまうカルチャーを作ってしまったところにSteve Jobsのすごさがある。これが、iPod nanoやMac Book Airのような「ただただセクシー」なデバイスを作ることを可能にしている。

 一般のハードウェア・メーカーは、「デザイナーはケースだけ作っていればいいから、中身は俺たちにまかせろ」的なもの作りのカルチャーがしみついているので、デザイナーが「コスト度外視でネジが見えないようにして」とか「重くなってもいいからアルミの削り出しのケースを使いたい」などと言ってもなかなか通らない。「中身よりも外身が大事」「デザイナーの方がエンジニアよりも最終決定権を持つ」ぐらいの大きな変革を社内に起こさない限り、Appleのような製品はなかなか作れない。

2. iTunes Store

 iTunes Storeはその仕組みやコンテンツの充実度で既にMicrosoftやNokiaの2年先を走っているが、根本的な強みはそこにではなく、「既に数百万人のユーザーがiTunes storeでいろいろなものを抵抗なく買っている」という事実にある。だからこそiPhone向けのApp Storeはあっというまに成功をおさめたわけで、そんなユーザーを抱えていないMicrosoftやNokiaは仕組み作りだけでなく、ユーザー集めから始めなければならないから大変だ。特筆すべきは、iPhone向けのアプリの販売が、通信キャリアの課金システムを使わずに成り立っている点で、それが世界規模でのアプリの流通コストを極端に下げ、開発者を夢中にさせているのだ。

 そして弱みと言えば、この一点に限られる。

Steve Jobsの現実歪曲空間を作る力に頼ったビジネス

 Jobsがすごいのは、新商品の発表を一手に引き受けて見ている人を酔わせるプレゼン能力(Marketing)、とことん細部までこだわったデザインを追求するリーダーシップ(Design)、音楽業界や携帯電話業界の常識を塗り替える契約を交わしてしまう交渉能力(Business Development)の三つを持ち合わせ、文字通り業界を乗り越えたビジネス革新を起こしてしまったこと。Jobs抜きでどこまでファンをつなぎ止められるか、どこまでデザイン重視のカルチャーを維持できるか、業界の壁を乗り越えた革新を起こし続けることができるか、がこれからのAppleを担う鍵となってくる。

 レポートには、これからAppleはどんな戦略のもとにどんな商品・サービスを展開しているべきか、という話も書いたのだが、それは別のエントリーで書こうかと思う。

SamsungがWidgetプラットフォームをオープン化

 MicrosoftやNokiaがもたもたしている間に、あっというまに「開発者にとって最も魅力的なモバイルプラットフォーム」の座に付いてしまったiPhoneだが、他の会社も黙って指をくわえているわけではない。


 今回のCTIAで興味深かったのがSamsungのTouchWIZというプラットフォーム(詳細)。HTML+Javascriptベースのウィジェットを待ち受け画面で複数走らせるという、iPhoneとは大きく違うアプローチである。

 JavaやC++でSamsung端末向けのPhotoShareを提供しろと言われても「ちょっと勘弁」だが、HTML+Javascriptならば考えても良いかな、というのが正直なところ。そろそろパソコンやブログ向けのWidgetも作りたかったのでちょうど良い機会かも知れない。

 ちなみに、Samsungから開発キットが出るのだが、それを作っているのが私が取締役を勤めるUIEvolution。これまでは、独自の描画エンジンUIEngine向けのビジネスだけをしてきたが、これをきっかけにもう少し広い意味での「デバイスに依存しない形のアプリ開発環境」を提供しようという試みだ。

「戦略的OS」の開発がことごとく失敗している点に関する一考察

 90年代にIBM、Microsoft、Apple各社が巨額の開発費を投じて作っていた「戦略的OS」がすべて失敗してしまったことを皆さんはご存知だろうか?

 IBMが作っていたのはOS/2。元々はMicrosoftとの共同開発だったが、途中で仲違いをしてしまい、最後はIBMだけが細々とサポートしていたことすら覚えていない人が多いとは思うが、Windows95の成功であっというまに市場から消えてしまったのがOS/2。具体的な数値は公開されていないので分からないが、両社が数百人体制で数年間開発していたので、少なく見積もっても日本円で数百億円は投じられたことは間違いない。

 しかし、OS/2は少なくともリリースまで結びついたから良い方だ。悲惨なのは、Microsoftが開発していたCairoとAppleが開発していたTaligent (=pink)。

 Cairoの方は私自身が初期のころにいたこともあるし、最終的には「Chicago(Windows95のプロジェクト名) vs. Cairo」の戦いの最前線にいた私としては知りすぎている点も多いのだが、一つだけ確かなのは、プロジェクトとして最初からトップクラスのエンジニアを集めすぎて「船頭多くて船進まず」の状況になってしまった点。それに対して、「Cairoまでの場つなぎ」的な存在だったChicagoが少人数で経営陣の注目を浴びずにもの作りに集中できたのはラッキー以外の何ものではない。

 TaligentはMac OSに続く「次世代OS」としてAppleが'88年から開発しはじめ、途中でIBMとのジョイントベンチャーとしてスピンアウトしながらも空中分解してしまった幻のOS。開発はかなりの難産だったようで、'96年にNeXTを買収せざるを得なかったのはこのプロジェクトが失敗したことに加えてその後のOS(Copland)の開発までもが難航してしまったから、というのは有名な話。そのNeXTがOS Xという形で世の中に出たのは5年後の'01年のこと。MicrosoftがWindows95+WindowsNTで大攻勢をかけた90年代の後半にApple側のOSの進化が止まっていたというのは、Windowsがなぜあれほど成功できたかを説明する上でも歴史上の重要な事実。

 そして今のOSの市場を見ると、Linus Tolvaldsという個人がが作ったLinuxと、Steve JobsがAppleを追い出されて作ったNeXTを元にしたOS Xと、Cairoまでの場つなぎに過ぎなかったWindowsと、企業の中核戦略からはかけ離れたところで作られたものばかりが使われている、というのがなかなか面白いところ。

 「日の丸OS」だったはずのB-Tronもどこかに行ってしまったし、そもそも「戦略的OS」を意図的に作るってことにかなり無理があるんじゃないかと思える。結局のところ、ソフトウェア作りはアートに近くて、大企業が資金力にまかせて優秀なエンジニアを集めても無理があって、少人数で作ったものが市場原理で自然淘汰されてこそ良いものができると思うんだがどうだろう。


 

米国AppStoreのTop100に載るのに必要なダウンロード数はいつくか

ColorCanvasBasic アプリの数も2万5千を超え、まさにRed OceanとなったiTunes app store。こうなってくると、NTTドコモの iモードと同じで、トップランクに載るかどうかが勝負の分かれ目。


 一体どのくらいダウンロードがあればトップ100に入れるのか、というのはどの開発者も興味があるところ。

 今回、PhotoShareユーザーを増やす目的で意図的に無料で配布したColorCanvasが首尾よく米国のApp Storeのトップ100に入ってくれたので、ダウンロード数(米国のみ)を公開してみようかと思う。

3月26日 4117
3月27日 4632
3月28日 5557
3月29日 8227
3月30日 6145 
3月31日 6021 ←この日からランク入り
4月1日  6039

 アップルがランキングを決める時に何日前まで遡るかが明白ではないので、大体の目安でしかないが、過去の経験から見るに過去の2〜3日を見ているようなので、「過去三日の平均ダウンロード数が6000を超えたあたりでランク入りする」と考えて間違いはないようだ。

 「どうやったらそんなに沢山のダウンロードをしてもらえるのか」という質問が来そうなので先に答えておくと、「試行錯誤で学んでいくしかない」というのが正直な所。「どう作るか」の部分よりも「何を作るか」「どう見せるか」が大切なことだけは間違いないので、とにかくアプリを作って人に使ってもらって、そこから学んで行くしかないと思う。

 ちなみに、ColorCanvasは「iPhoneのPhotoShop」の地位を目指して開発しているPhotoCanvasの派生物。機能が多い分だけ「何ができるのか」が説明しにくくなってしまったPhotoCanvasのごく一部の機能を切り出して、より分かりやすい形にまとめただけの話だ。無料だからというのはもちろんだが、やはり「何ができるアプリなのかが明白」な部分が沢山の人にダウンロードしてもらえている理由だと思う。

AppBankインタビュー

 ここしばらくこのブログのアカウント(Typepad)の調子が悪くブログの更新ができなかったのだが、ようやく復活。サイドバーの問題もこれで解決できた。April Foolのジョークができなかったのが残念だが、しかたがない。


 ということで、復活第一弾は、日本にいた時に受けた、iPhone・iPod touchラボ×AppBank共同インタビュー」の話。

 仕事でもスポーツでもなんでも、新しいことを始めること利点の一つは、人との出会い。Big Canvasを立ち上げてから、いろいろと新しい知り合いが出来たのだが、その中でも極めつけの人たちがAppBankの二人。いろいろな意味で「正のオーラ」を出しまくっている人たちなので、そのエネルギーをもらうためだけでも日本に行く価値があるとも言える二人。

 私が3日しか日本に滞在しなかったにも関わらず、そこにNPO法人「ドリームワークス」の記者発表(参照 )と、「iPhone・iPod touchラボ×AppBank共同インタビュー」(参照 )を押し込んでしまう機動力は本当にすごいと思う。会社を二つ立ち上げ、MBAの授業を一通り受けてから、ようやく理解したのは、会社にとって一番大切なのは人だってこと。戦略だとかビジネスモデルとかは大切だけど、それだけでは絵に描いた餅。それを実際のビジネスに結びつける機動力・実行力を持った人材こそが会社の成功のためには必須。そんな力を感じさせてくれる二人だ。

 それはさておいて、インタビュー記事の副題が「生きてるだけで丸儲け」になっているのに笑った。これはもともとは明石家さんまの言葉で、「人間、生まれた時には何も持っていないんだから、後はひたすら得ることばかり。人生楽しまなければ損」というさんま独特の人生哲学。最近、歳をとるとともにますます好き勝手なことばかりしている自分の行動を説明するのにぴったりの言葉だから、便利に使わせてもらっている。

 ちなみに、インドに行って、いろいろな人に会ったり、さまざまな場所を訪れるうちに強く感じ始めたのが、いろいろな宗教だとか人生哲学すべてに普遍的に存在する共通項目のようなもの。

・「生きるためにしなければならないこと」と「やりたいこと」を同じベクトルに置くことができれば人生が楽しくなる
・「人のためになること」と「自分のためになること」を同じベクトルに置くことができれば人生が満ち足りたものになる
 
どちらも簡単には実現できる話ではないが、そういう形を求めていろいろと試行錯誤する過程そのものも楽しむことができれば、それこそ「生きてるだけで丸儲け」だと思うんだがどうだろうか。