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PhotoShare1.10の新機能とTwitterとのさらなる連携


Screenshot 2009.05.22 14.02.26 PhotoShareというサービスを開始して10ヶ月以上立つが、かなりユーザー数・投稿される写真も増えたので、そろそろ「人力によるカテゴリー分け」を試す時期が来たと判断して、Version 1.10 にいくつかの新機能を追加した。

 ピーク時になると、PhotoShareには一時間に500以上の写真が投稿され、「最新の写真」はあっという間に流れてしまい、しょっちゅうPhotoShareを立ち上げている私でも大半の写真を見逃すことになる。そこで少し流れの遅い「人気の写真」というものも用意してはあるのだが、「誰もが見たいだろう写真」を選び出そうという行為そのものに無理があるのでこれは根本的な解決にはならない。

 そこで、投稿者にある程度のカテゴリー分けをお願いしすることにより、自分の興味に合った写真を見つけやすくしようと導入したのが「コミュニティ」という機能。写真を投稿する際に、投稿者が「どのコミュニティ向けか」を指定できるようにしただけのとてもシンプルな機能だ。

 投稿先のコミュニティを指定するためには、まずは「コミュニティに参加」しなければならない仕組みにしてあるのだが、これはコミュニティの総数が増えた時に簡単に選べるようにという意味もあるが、他のユーザーがどのコミュニティに属しているかを見て、そこから自分が属したいコミュニティを発見できるように、という意味もある。

 ちなみに、今回のバージョンではまだユーザーが自由にコミュニティを追加できるような機能は提供していないが、今後のバージョンアップで順次対応して行く予定である。

 もう一つは、閲覧者がタグ付けできる「エモタグ」(Emotion Tagの略)という仕組み。「何に関しての写真か」はコミュニティの仕組みである程度把握できるので、ここは割り切って、閲覧者には「写真を見てなにを感じたか」という感情表現をすることにより別の角度からのカテゴリー分けをしてもらろうという仕組みだ。とりあえずは、Pretty!, Cool!, Adorable!(可愛らしい), LOL!(爆笑), Artistic!, Beautiful!, Yummy!(おいしそう)の7つのタグのみを用意しているが、後々追加できるように、サーバー側の変更だけで自由に追加できるようにしてある。

 まだこの仕組みを公開して日が浅いのでタグの数はそれほど多くはないが、すでにこの仕組みのおかげで、「Pretty!タグの付いた写真だけを見る」という楽しみ方ができるようになっており、今後の展開が楽しみだ。

 ちなみに、最近米国のマーケティング業界では「Twitterを使ったマーケティング」の話題で持ち切りなので、その勉強も含めて、7つのエモタグが付いた写真(もちろん「全員に公開」と指定したものだけ)のストリームそれぞれにTwitterの擬人アカウントを作り、そこに写真のタイトルとリンクを流す、という仕組みを作ってみた。Twitterユーザーの方はぜひともお試しいただきたい。
 これが果たしてPhotoShareのユーザーを増やすことに役に立つかどうかはしばらく効果を測定しないことには何とも言えないが、こんな形でTwitterとの連携ができることを実証できただけでもとても良い勉強になったと思う。

PhotoShare の Atom/JSON/JSONP Feed の正式発表

 PhotoShareの写真のFeedに関しては、少し前に実装が完了していたのだが、「サンプルをきちんと整えてから」などと考えているといつまでたっても発表できないので、とりあえずFeedのURLのみ発表してしまうことにした。


 PhotoShareの場合、ユーザーごとにユニークなIDが当てはめられている。iPhone上のPhotoShareからメアドを登録後に通常のブラウザーからログインして、"My Photo"を開いた時にURLバーに表示されるURLの最後の部分がそれだ。例えば私の場合、それが"http://www.bcphotoshare.com/photos/67"なので、"67"がユーザーIDとなる。

 そのユーザーIDを利用して、指定したユーザーの公開写真のフィードを Atom/JSON/JSONP の三つの形式で取得が可能である。以下が私のユーザーIDから生成した各種フィードのURL。


 アクセス回数制限のようなものは特にもうけていないので、ブログパーツを作るなり、RSSリーダーに読み込ませるなど自由に使っていただいてかまわない。何か面白い活用が出来た場合には、トラックバックなりコメントで知らせていただけるととてもありがたい。


外国為替相場取引(FX)で確実にもうける方法(必勝法)

 ワシントン大学で受講しているMBAもあと1ヶ月を残すところまで来たが、最後の期に受けている授業の一つが "International Finance" という外国為替に関する集中講座。今までいろいろと疑問に思ってきたことが一気に解消されたので大好きな授業の一つだ。

 その授業の中で、金利の低い外貨で借金をして家を買った結果巨額の借金を抱えることになってしまった人たちがアイスランドにたくさんいる話だとか、リスクを十分に理解せずに為替リスクを100%負って金利の高い外貨預金に走る日本の主婦たちなのど話が出たので、日本の事情に関して少し調べてみた。

 その結果分かったのは、為替相場にあまり詳しくない一般人にすべてのリスクを追わせて、自分たちだけは手数料で荒稼ぎしている業者が横行しているということ。

 たとえば「FXはハイリスク? - FX徹底比較!初心者が失敗しないFX業者の選び方」というサイト。書いてあることは一見まともだが、許せないのは

十分にリスクを把握して、損失を抑えて取引すれば 国内の好不況に関わらずに安定して利益を出す事も可能です。


という部分。まったくのでたらめだ。外国為替相場はすでに徹底的な効率化が進んでいて、頭を使ってリスクを負わずに確実に儲けられる部分(アービトラージュと呼ばれるもの)は24時間相場に張り付いているプロの相場師たちが数秒で吸い取る仕組みになっており、しろうとができることは運に頼ったギャンブルだけ。「安定して利益を出す事」など誰にもできない。

 ルーレットの赤黒に賭け続けるのと同じで、「長くやっていれば手数料の分だけ必ず損をする」のがしろうとにとっての外国為替相場。短・中期的にみれば儲ける人も損をする人もいるが、たまたまある時期勝ち続けることできた人を「安定して利益を出した人」とは決して呼ばない。

 ではなぜこれだけ多くの人がFXや外貨預金に手を出してしまうかというと、その複雑さ故に「頭を使いさえすれば儲けられそうな気にさせる」魅力があるからだ(パチンコの「確率変動」が「システムの裏をかいて大もうけが出来そうだ」という幻想を生み出すのと同じ)。

 たとえば、外貨預金が良い例だ。ゼロ金利で資金の運用先に困っている主婦に、

「10パーセントの金利が付くニュージーランド国債を買いませんか」

と持ちかけるのだ。

「為替のことは良くわからないから」

という主婦に、

「為替のことなら当銀行には専門家が沢山いるのでまかせてください。ちなみに、これが過去5年間の円とニュージーランド・ドルの相場の変動をグラフにしたものです。若干短期的には上下していますが、長期的にみれば安定しています。よほどのことがないかぎりこの傾向が続く可能性が高いと専門家たちは見ています。ニュージーランドの政権はとても安定しているので、イラクとかアフガニスタンとかの通貨に投資するよりは何十倍も安全です。10パーセントの金利ですから、100万円を5年間預けていただいた場合、相場に変動がなければ161万円になって戻ってくることになります。もちろん、ニュージーラン・ドルの相場が下がれば若干それよりは低くなりますが、元本割れする可能性はかなり少ないのは分かりますよね。それよりも魅力的なのはニュージーランド・ドルの相場が上がった場合。その場合、為替利益も上乗せされるので180万円とか200万円とかになって返ってくる可能性もあるわけです。」

「でも最近は円高の傾向にあるって新聞で読んだこともあるし」

「確かに一時的にはその傾向もありましたが、すっかり戻ったじゃないですか。知らない人も多いんですが、実は日本政府が積極的に介入して為替相場を安定させているんです。ソニーやトヨタのように輸出に頼った企業が多い日本としては、円高が進むとそういった企業の業績が悪くなり、国内の景気が悪くなってしまうんです。そこで日本政府としては為替相場をできるだけ安定させなければいけないんです。日本政府がこの金融政策を取り続ける限り外貨預金は安全、と見る専門家もいます。」

「日本政府がついているなら安心ね。じゃあ、まずは100万円お願いします。」

という感じだ。「過去の相場のグラフ」を見せたり「日本政府の介入」という言葉で説得力を増せば、経済知識のあまりない一般の人をだますことはそれほど難しくない。銀行とかには一応「説明義務」が課せられてはいるが、ほとんど役に立っていないのが現状だ。

 そもそも「ニュージーランド・ドルの金利がなぜ高いか」という経済原則に立ち戻って考えてみれば、通貨としてのリスク(=将来下がる可能性)が高いから金利が高いわけで、期待値は日本で預金していたのと同じ。本当にニュージーランド・ドルの魅力が高ければ機関投資家のお金が流れるので、為替と金利の両方が自動的に調整されているはず。その調整がされていないということは、市場全体が「ニュージーランド・ドルは将来下がる可能性が高い」と感じているという証拠。銀行のセールスマンが「今後の為替の見通し」に関して何を言っても耳を貸してはいけない。彼らは手数料を稼ぐことを目的に甘い言葉を投げかけているだけだ。

 結局のところカジノのルーレットと同じで、外貨預金を長期的に何度も繰り返していれば、リターンは日本で預金したのと同じことになり、トータルでは為替手数料分だけ損をするということになる、というのが経済の原則だ。

   ◇ ◇ ◇

 じゃあ為替相場で儲ける方法が全くないか、というとそんなことはない。一番手っ取り早いのは、人のお金を預かって、それで相場で勝負をすることだ。たとえば「利益がでた場合利益の20%を手数料としていただき、損失が出た場合は手数料はいりません」という条件で人からお金を預かって相場で勝負をし続けたとしよう。もちろん、ギャンブルなので利益が出る場合もあるし損失が出る場合もあるが、長くやっていれば平均して2回に一回は利益が出せるので、それで十分な手数料が稼げる。

 もちろん、長期的に見ればその手数料の分だけ客が損をすることになるが、かならずしも全員が損するわけでもないので、たまたま利益を出すことができた顧客だけをリピーターとして確保して残りは切り捨て、新しいカモを次々に見つけてくれば良いだけのことだ。

 香港あたりにはこんな形で巨額の利益を出し続けている相場師がいるそうだが、たぶん日本にもいるだろうから気を付けた方が良い。まあ広義では株式ファンドやヘッジファンドのマネージャーもほぼそれと同じことをしている訳で、その意味では決して最近始まった話ではないが。

【追記】参考までに以前に私がギャンブルについて書いた考察へのリンクをここに張っておく。FXとギャンブルの共通点を理解する上で役に立つと思う。