Google WaveがHTML5ブラウザーへのシフトを加速する
2009.10.08
Internet Explorer 3.0/4.0 の開発に関わっていた人間として言うのも変な話だが、そろそろIEには主役の座を降りてもらった方が良いと思っている。いろいろな要因がからみあって今の状況があるわけで、その部分について今さらここであれこれ言うつもりはないが、実際のところ、
- IEが他のブラウザー(Safari/Firefox/Chrome/Opera)と比べてHTML5やCSS3のサポートに関して大きく遅れている
- そもそもIEの進化のスピードが(というかMicrosoftから出る製品すべての進化のスピードが)遅すぎる
- にもかかわらずIEのシェアが大きいため、業界全体の足を引っ張っている
という現状があることは誰にも否定できない。
HTML5やCSS3の新しい機能により可能になる新しいウェブアプリをどんどんと作って行きたいと考えているエンジニアは私だけではないわけで、その意味では「鶏と卵状態」を作り出して業界の足を引っ張っているIEの存在は本当に「迷惑」。
Googleが自分自身がブラウザーを出したのも、決して「Microsoftからブラウザーのシェアを奪う」なんてちっぽけなことが目的ではなく、「(自分たちが得意とする)ウェブアプリの進化を加速したいから」である。
そんなGoogleがホームページを使った「軽いジャブ」のように繰り出したのが、Techcrunchでも取り上げられた「Sexy Button」。FirefoxやSafariを使ってGoogleのホームページを尋ねた人にだけ少し見栄えの良いボタンを表示する、というものだ。
しかしこんなものはまだまだ序の口で、そろそろ「このサービスを使うにはHTML5準拠のブラウザー(つまりIE以外のブラウザー)が必要です」とどうどうとうたったサービスがいろいろなところから出て来ても不思議ではないタイミングである。
まずは(すでに複数のブラウザーを走らせている)開発者向けのサービスから始まり、(ブラウザーの切り替えに抵抗のない)アーリーアダプター向けの新規サービスが「IEを捨てる」もしくは「IEユーザーには機能限定のサービスのみ提供する」という勇気ある行動に出始めると私は見ている。
その先頭に立つのがGoogle Wave。Google WaveはHTML5の新機能をふんだんに使っており、ターゲットユーザーを考慮しても、Googleのこれまでの行動から判断しても、「IEをばっさりと切り捨てる」行動に出ても全く不思議はないし、それだけの影響力はある。
MicrosoftがExcelをGUI OSへのシフトの戦略兵器として使ったのと同じ様に、GoogleがGoogle WaveをHTML5へのシフトへの戦略兵器として使い、よりモダンなブラウザーへの切り替えを加速してHTML5の普及を促すのでは、とひそかに期待している私である。