アップルの30年ロードマップ
丸山ワクチンの過去・現在・未来、自然免疫と癌治療

GoogleはなぜAndroidやChrome OSを無料で配布するのか?

 先週「Androidと家電」というタイトルで講演をさせていただいた私だが、そのプレゼンのキーポイントは、「なぜGoogleはAndroidを無料で配布するのか?」。それを私なりに説明するための資料として作ったスライドが以下の二枚。

Android-1    まずこれは、MicrosoftとIntelがパソコン・ビジネスを育てるためにした「コモディティ戦略」を図式化したもの。IntelとMicrosoftで協力してCPUとOSを部品化・規格化することにより、誰でもパソコンを作れる様にしたのがそれ。これにより、パソコン・ビジネスへの参入障壁が減り、パソコン・メーカーが乱立。差別化がしにくい部分(つまりIntelとMicrosoftがほぼ独占的に提供するCPUとOS以外の部分)で激しいコスト競争が起こり、パソコンのコモディティ化が一気に進んだのは皆さんの記憶にも新しいはず。

 特筆すべきなのは、MicrosoftもIntelも、「CPUやOSを開発するのには金がかかるが、粗利益率は高い」というビジネスである点。そのため、パソコン市場が大きくなることが直接利益率の増加につながり、あれだけの企業価値を生み出した。

Android-2

 ところがネットブックやスマートフォンのような「ネット端末ビジネス」の場合には、それに通信事業者、ウェブ・サービス事業者、コンテンツ提供者が加わるため、パソコンビジネスとはパワーバランスが大きく異なって来る。

 ウェブ・サービス事業者であるGoogleとしては、できるだけ他の部分をコモディティ化してネットにアクセスしやすくすることにより自分たちのビジネスを大きくしたいのは当然。

 その結果、Googleが選んだ戦略は、(1)Android・Chrome OSを無料で提供することによりOSをコモディティ化すること、(2)それらのOSがさまざまなCPUで動くようにすることによりCPUをコモディティ化すること、(3)政府にネットのオープン化を迫ることにより通信事業をコモディティ化すること、の三つである。

 今年後半になってAndroidケータイが増えて来たのはまさにその結果だし、2010年にはChrome OSのためにネットブック・ビジネスへの参入障壁が下がり、競争原理によりもっと値段が下がる。それどころか、Chrome OSのために、ネットブックにおけるIntelアーキテクチャの牙城がくずれ、ARMベースのネットブックが売れ始める可能性さえある(参照)。100ドル・パソコンの時代は目前だ。

Comments

matu

いつも楽しみに拝見させてもらってます。

最近Googleが自社開発の携帯電話を販売するというニュースが流れております。
Googleは自ら薄利多売で携帯端末を販売して、ウェブサービス事業で収益を回収するなのでしょうか?

Verify your Comment

Previewing your Comment

This is only a preview. Your comment has not yet been posted.

Working...
Your comment could not be posted. Error type:
Your comment has been posted. Post another comment

The letters and numbers you entered did not match the image. Please try again.

As a final step before posting your comment, enter the letters and numbers you see in the image below. This prevents automated programs from posting comments.

Having trouble reading this image? View an alternate.

Working...

Post a comment

Your Information

(Name is required. Email address will not be displayed with the comment.)