iPadに最適化したPDFファイルの作り方
2010.05.22
iPad向けにPDF/マンガリーダーCloudReadersを発表してから、いままで直に付き合いがなかった出版業界の人たちからちょくちょくコンタクトをいただくようになった。その中で良くある質問の一つが、「iPad向けに最適化したPDFファイルの作り方」。そこで今日は、そのあたりのノウハウをまとめて書いてみる。
まもなく日本でも発売されようとしているiPadは色々な意味で画期的なデバイスだが、あくまで位置づけはモバイル・コンピューターであり、パソコンではない。画面も大きく、CPUも高速になったとは言え、搭載するメモリ(RAM)の量はiPhone 3GSと同じだ。
そのため、メモリがふんだんにあるパソコン用に作ったPDFファイルを読もうとすると、メモリ不足でアプリが落ちたり、極端に遅くなったりしてしまう。アプリを作る側もいろいろと対応はしてはいるが(参照)、やはり快適にiPad上でPDFファルを読もうとするのであれば、それなりの最適化は必要である。
1. 一度プリントアウトしたものをスキャンしてPDFファイルを作るのではなく、オリジナルのドキュメント(=文書)から直接PDFファイルを生成する。
これは当然、「オリジナルのドキュメントにアクセス可能」なことを前提にした話だが、一度プリントアウトしてからスキャンしたものと、オリジナルのドキュメントから直接PDF化した場合では、ファイルの大きさも違うし、画面に表示した時にきれいさも大きく違う。どうしてもスキャンする場合は、150dpi 程度の解像度にとどめておく(200dpiとか300dpiにしたところで、iPad上できれいに見えるわけでもなく、ただ無駄にメモリを消費する→表示が遅くなる)。
2. 画像を含んだドキュメントをPDF化する際には、画像をダウンサンプリングする。
Adobe InDesignでPDFファイルを作る際、特になにも指定しないとInDesignはドキュメント中に貼付けられた画像は、たとえ縮小して貼付けたとしてもオリジナルの解像度のままでPDFファイルにしまうように設計されている。最近のデジカメで撮影した画像は、数メガピクセルの大きさなので、そんな画像を含んだPDFファイルをiPad上で見ようとするとメモリ不足になってしまう。これを防止するためには、ダウンサンプリングというテクニックを使って、解像度を落として(ただし、iPadに表示するには十分な程度に)PDF化する必要がある。詳しくは、Adobeの解説ページの「PDFファイルサイズの低減」を参照していただきたい。
3. すでにPDF化されたものしか無い場合(オリジナルのドキュメントにアクセスできない場合)、Acrobat を使ってダウンサンプリングする(ドキュメント→ファイルサイズを縮小、もしくは、詳細→PDFの最適化)。[追記: OS-XのPreview→SaveAsのQuartz Filterで圧縮も可能。ただ、PDFファイルによっては写真の色がただしく変換されないケースがあるので要注意]
4. それでもダメな場合は、各ページをJPEG化し、それをZIP圧縮してiPadで読む。
これは最後の手段だが、CloudReadersの場合だと、これがもっともサクサク読む方法でもある。変換の方法は色々とあるが、いずれにせよ各JPEGファイルの大きさを1400x1000以下に押さえておくことをおすすめする。ちなみに、MACを持っている人の場合、以下のステップでこの変換が可能。
(1)PDFファイルをPreviewで開き、ファイル→プリントを選択する
(2)ここでPDFメニューから "Save to iPhoto(iPhotoにセーブ)" を選ぶ
(3)iPhotoを立ち上げて、(2)でセーブされた各ページの画像を選択した上で、ファイル->エクスポートを選ぶ。表示されたダイアログボックスで、JPEG/高解像度(もしくは、JPEG/カスタム/1400)を選んでエクスポートする(フル解像度のままだと大きすぎる)。
(4)エクスポートされたファイルをファインダーを使って圧縮する。
iPad発売まであと6日。iPhoneの登場以来、久しぶりに画期的なデバイスが世の中に出る。それも同じアっプルから。
2段落目、「という際〜」は「搭載」ですね。
iPad用に軽いPDFを作る方法ですが、こちらのページにMacのデフォルトアプリ「プレビュー」を
使った方法が紹介されてます。(残念?なことに、iPadでの閲覧用アプリはCloudReadersでは無いのですが。。。)
http://desireforwealth.com/diary/201005_scansnap_pdf_trans.shtml
PDFの縮小や、(4)で説明されてる、PDFから縮小JPEG->ZIP変換もワークフローで一括変換する
方法が載ってます。私も28日にiPadを手にする事が出来る予定で、凄く楽しみです。
Posted by: K.K | 2010.05.22 at 07:44
現在海外駐在中です。2~3年毎に数百冊の蔵書を抱えて国際引越する(船便到着まで1~3ヶ月間アクセスできない,途上国では汚損紛失のリスクあり)ことが苦痛でしたので,現在,scansnap S1500 + 断裁機で片端からPDF化しており,日本の実家で予約済の iPad を入手次第 CloudReaders を愛用したいと心待ちにしています。縦書の蔵書が多いので,scansnap, iPad, CloudReaders が私にとって3種の神器となる見通しです。
ただ,画像や動画のデジタル保存に際しては「将来の技術向上も見据え,現時点で可能な限り高精度なものを保存する」というポリシーでいたので,scansnap のスーパーファイン(300dpi, 600dpi相当)でPDFファイルを作成しています。白黒の活字のみの本であれば1冊10MB程度,フルカラーの本であれば1冊200MB程度です。今回の記事を拝見し,iPad 用にこれらのPDFファイルを「Acrobat を使ってダウンサンプリング」または「各ページをJPEG化し、それをZIP圧縮」する必要があると分かり,慌てています。
たとえば,手元の196MBのPDFファイルを acrobat 9 (WinXP) で「ファイルサイズを縮小」すると46MBになりました。同じ196MBのファイルをjpegで保存した上,フリーソフト「縮小専用。」で「サイズは1024×1024以内,量子化率92%(デフォルト)」で縮小し,zip にまとめると53MB,同じく50%でまとめると20MBになりました。50%まで下げると,情報を確認するという目的であれば使えますが,鑑賞やプレゼンには使えない画質でした。
(中嶋様へ)CloudReaders での利用を目的とする場合,同じファイルサイズであればPDFよりもjpeg-zipの方が良いことは分かりましたが,PDFであってもファイルサイズが小さければよいのか(何MBを超えるファイルであればメモリ不足になるのか),jpeg-zipであればファイルサイズが大きくても(無理に圧縮しなくても)メモリ不足にはならないのか,目安がありますでしょうか。今はお忙しい時期と思いますし個々のコメントに回答する義務もないことは承知していますが,もし将来に何らかの言及があれば参考にさせて頂きます。
(Winユーザーの読者の方へ)Acrobat で重いPDFをjpegで書き出すにも時間がかかり,jpegをiPad用にリサイズして圧縮するにも時間がかかり,それをzipにまとめるにも時間がかかります。数百あるファイルの全てに3段階の手間をかけるのが困難なのですが,この3段階を簡略化できるソフトをご存知の方はご教示下さい。
Posted by: europiccola | 2010.05.22 at 21:06
どこかのブログで試してましたが、縦1600くらいまでのjpgは快適に見られるそうです。
拡大して見ることも考えると、jpgの場合1600くらいが丁度良いのでは?
Posted by: ななしさん | 2010.05.23 at 03:51
ChainLPとか。
PDF/JPEGフォルダ/ZIPなどを読みリサイズ等してまた書き出します。
http://no722.cocolog-nifty.com/blog/
Posted by: ななし | 2010.05.30 at 14:09
国産他ソフトは、本棚に沢山追加していったら当初問題なかった本まで開けなくなってしまいました。今のところCloudReadersが唯一の選択肢です。
>> 拡大して見ることも考えると
確かにA4のムック本などで拡大する必要が生じます。幸いCloudReadersでは大きなファイルでも動作が遅くはなっても落ちないので、無理に縮小・圧縮はしないことにします。ありがとうございました。
>> ChainLPとか。
喜んで試用してみましたが、モノクロ変換(Kindle用?)でした。書籍も表紙はカラーなので、カラーが選択できないのは残念ですが、論文等には使えそうです。ありがとうございました。
Posted by: europiccola | 2010.06.02 at 07:41
お気に入りの雑誌のページをスキャンして電子化しています。CloudReadersでも読んでみるのですが、400dpiでスキャンした場合でも、文字があまり視認性が高くありません。画像の一部を拡大しても文字がぼやけた感じになります。
一方で同じファイルを「写真」アプリで見ると、文字の視認性が高くなります。画像の一部を拡大すると、さらに文字の視認性がよくなります。
jpegフォルダの圧縮したものをcloudReadersで見るのと、jpegフォルダそのものを「写真」アプリで見るのでは解像度が異なってくるのでしょうか?
jpegフォルダ圧縮はMacOSXの機能を用いています。
Posted by: y | 2010.06.08 at 05:52