iPadアプリ開発日誌: neu.Notes 1.3 リリース
2010.08.03
8月3日付けで「AppBankの2010上半期ベストiPadアプリのまとめ。超厳選した20個!」が発表されたが、CloudReaders と neu.Notes の両方が入っており、開発者としては正直うれしい。アプリを使っていただいているユーザーの方々にもAppBankの人にも感謝の気持ちでいっぱいである。
アプリの平均起動回数がわずか1.5回という短命なiPhone/iPad向けアプリの中で、「長期間にわたって使ってもらえるアプリ」を作るには、やはり「本・マンガを読む」「手書きメモを取る」などのごく基本的なシナリオを押さえたアプリを、必要最低限の機能は提供しながらも、初心者でも使える様にシンプルに、かつサクサク動く様に作るしかない、という発想で作ったのがこの二つのアプリである。
他にも作りたいアプリはたくさんあるし、既にリリースしたアプリのアップデートもしなければならないし、CloudReadersのOEM版(参照)の話もいくつか並行して進んでいるし(8月の中旬にはその第一弾が発売される予定なので、乞うご期待!)、大忙しである。
こんなことを書いている間に、アップルから neu.Notes 1.3 がAppストアに並んだとのメールが入る。今日はなかなか良い日だ。バージョン 1.2 の時にリリースノートを書き忘れていたので、この機会に合わせて書いてみる。
バージョン 1.2 に追加した機能
・外部モニターへの出力(別名「手書きプレゼン」機能)
これは、少し前にGoogleのオフィスに行ってプレゼンをしたときに「せっかくならばiPadを使ってしよう」と作ったプロトタイプを進化させたもの。iPadをVGAケーブルでプロジェクターに繋いでneu.Notesを立ち上げると、現在操作しているキャンバスがリアルタイムで外部モニターにも表示されるというものだ。
使い方としては、前もってベースとなるパワポの資料を画像化してneu.Notesに取り込んでおき、それをプレゼンの資料として見せながら、重要な部分をハイライトしたり、手書きで注釈を加えながらインタラクティブな「手書きプレゼン」をするのだ。会社でのミーティングや、学校の授業で使う場合は、最後に手書きメモ付きのPDFを資料として参加者にメールで送ることもできるので、とても便利だと思う。
・タイトル
各ノートにタイトルを付けられる様にした。開発当初は「最初のページにタイトルを手書きで書けば十分」と感じていたのだが、多くのユーザーからの要望で追加した。結果的には、このタイトルがそのままメールで送る時のSubjectにできるなどの別の効果もあり、要望していただいたユーザーには感謝である。
バージョン 1.3 に追加した機能
・ペンパレット
「さまざまな色や太さのペンを組み合わせてメモを取るときに毎回ペンの設定をするのが面倒」というフィードバックを受けて付けた機能がこれ。メニュー上に7つのペンパレットを用意し、それぞれを自由にカスタマイズできるようにした。実際にメモを取る際には、使いたいペンを選んで描くだけだ。実際に使いこなしてみると「あって当然」の機能に感じるから不思議だ。
・タグとタグフィルター
ドキュメントが増えて来た時にどうマネージするか、というのは多くのアプリで問題になるテーマ。ここは「フォルダー嫌い」の私の意見を採用して、CloudReadersと同じ「タグ方式」を採用した。WindowsのそれもWindows Explorerを作った私が言うのもなんだが、WindowsのUIを設計する上で最大の失敗はFolderによる階層構造という複雑なコンセプトをユーザーに押し付けてしまったことだと感じている。階層構造はエンジニアにとってはなじみのある概念だが、一般ユーザーにとって決して利便性の高いものではない。フラットなストレージに雑多にファイルを置いてもらう代わりに、タグやサーチの機能を強化した方がずっと利便性が高かったと思う。その一番の証拠が、最近はウェブ上の記事(例えばWikipediaのページ)をGoogleで探す方が、ローカルマシン上のファイルを探すよりも簡単、という皮肉な事実。パソコンはいまさら別の形の進化をさせるのは難しいが、iPadアプリぐらいは「脱階層構造」を目指すべき、というのが私の考え。
・アノテーション機能(CloudReadersなど別アプリとの連携)
この機能は、現在アップルによる審査中のCloudReadersのバージョン1.14がリリースされるまでは一般ユーザーには使えない機能だが、実はバージョン1.3の目玉機能(開発の経緯に関してはこちらを参照)。詳しくは新しいCloudReadersがストアに並んでから解説するが、CloudReadersで読んでいる本やマンガのページをタップ一つでneu.Notesに渡し、そこで手書きのメモ(アノテーション)を加えてメールで送ることが出来る様になるのだ。アプリ間の連携プロトコルは、オープンなので(別途解説する)、CloudReadersだけでなく、他のアプリからも任意の画像をneu.Notesに渡すことが出来る仕組みになっている。
◇ ◇ ◇
ということで、着実に進化しているneu.Notes、CloudReadersともどもよろしくお願いする。ダウンロードはこちら。ちなみに、まもなくiPhone版もリリースする予定なので、そちらもよろしく。
いままでpdf readerって機能は違っても表示能力は同じだろうとたかをくくっていましたが、CloudReadersがとびきり美しく他を圧倒しています。これ非常に重要ですよね。あと、unixのパイプのように、小さなことができるアプリが連結して いろいろできるようにこれからじゃんじゃんアプリを出してください。
CloudReadersで読んでいる本やマンガのページをタップ一つで どっか に渡して 手書きじゃなくてソフトキーボードでメモを書いてそれをメールで送ることが出来るようになりませんかね。アプリにメモを貼ることができてもはったまま どこかに情報を一元管理できるような仕組みがないような気がします。(勉強不足かも)
あと、メールだけでなくてevernoteにも送れるとよいですね。メールでevernoteに送ればよいのかな。
これからも期待しています。
Posted by: Tomo | 2010.08.03 at 19:38
こんにちは。
アプリ...
有料な物はともかく....
無料の物は、数分で....
あ!
だめだ〜
となる物が、よく有りますね!
Posted by: rainmans DS & iPad | 2010.08.04 at 05:08
neu.Notes 料理のレシピの書き込みに大活躍です。
http://blog.enviro-studio.net/?eid=421
3つ要望があります。
・編集を不可にするロック、アンロック機能があると便利だと思います。
・拡大表示中に、つい1本指でスクロールしようとして、線を書いてしまいます。今は2本指でスクロール?していますがやや不自然。3本指でスクロールとか、何か簡単にスクロールできる方法が欲しいです。
・タグはノートブックだけでなく、各ページにもつけることができると、便利だと思います。
Posted by: shigeyama | 2010.08.12 at 19:48