Previous month:
September 2010
Next month:
November 2010

iPadアプリ開発日誌: 順調な滑り出しのneu.Draw

先日リリースした neu.Draw、なかなか順調な滑り出しだ。特に日本では、瞬間風速とは言え、無料iPadアプリのトップの座に輝くという快挙。エンターテイメント部門での部門トップは狙えると思っていたが、総合トップとはとても喜ばしい。

ユーザーからのフィードバックもおおむねポジティブ。例えば、これ(英国のユーザー):

Excellence - ★★★★★

by Tekked - Version 1.0 - 23 October 2010

Absolutely brilliant! This is amazing, showcasing a huge amount of SVG's functionality and giving incredible control! I've tried several of the *paid* vector apps out there but there's just no comparison (haven't tried Intaglio SP or TouchDraw just yet). Excellent app, all in all!

neu.Drawの設計の際に強く意識したのが、SVGの機能をフルに生かしたベクター画像の制作を可能にすること。そのあたりをキチンの評価していただけたのはとてもうれしい。グラデーションをどう記述しているかとか、グループ化したものをさらに座標変換した場合それをどうSVGにマッピングしているかなど、SVGを勉強したい人たちには良い勉強材料になると思うので、色々と実験していただきたい。

日本のユーザーからのものは、今のところ下の二つ。

まだまだ - ★★★

by ぐると - Version 1.0 - 27 October 2010

手軽に描けるのは良いのですが、まだまだバグが多いようです。 拡大縮小表示すると線幅がおかしくなったりします。 使い勝手は良い感じなので、バージョンアップに期待です。

最高のベクターアプリ - ★★★★★

by Thyriky - Version 1.0 - 26 October 2010

これが無料とは! 絵が少しでも描ける人は是非使ってみて下さい。 イラストレーターよりも直感的で使い易く、初心者でも玄人でも数分で使いこなせます。 写真フォルダから画像を配置できるので、他のアプリで下書きして、こちらのアプリで仕上げるという流れも可能です。 後はイラストレーター形式でのエクスポートやベクターの調整など、もっと細かく設定できると素晴らしいと思います。 今後のアップデート期待しています!

「拡大縮小表示すると線幅がおかしくなる」というバグはこちらでは再現できないので、詳しく現象を教えていただければ対処する(ユーザーにこちらからコンタクトできないのが、iTunesストアの欠点)。ちなみに、個々のエレメントを選択して拡大縮小すると、線幅は保持したままベクトルデータだけ拡大縮小するのは「仕様」なのでそこのところ誤解なきように。数学を厳密に適用すれば線幅も同じ比率で拡大縮小するべきなのだが、実際使ってみると線幅を保持して欲しいケースの方が多いので、こちらを採用した(このあたりの「数学的に正しい」と「ユーザーから見て直感的」が必ずしも一致しないのが、この手のアプリをデザインするさいに難しいところ)。

米国のユーザーからのフィードバックが今のところ一番多くて三つ。

Wonderful feature set! - ★★★★★

by microgram - Version 1.0 - 23 October 2010

This is a great app for basic vector drawing and for free! The library comes with 7 screens explaining the many well-thought-out functions and how to re-edit a basic shape into something more complex. A keeper!

Amazing - ★★★★★

by mexretroshore - Version 1.0 - 23 October 2010

This is an amazing beginning. I'm still trying to figure out how gradient works, but otherwise this is a joy.

Beautiful - ★★★★★

by jg6464 - Version 1.0 - 22 October 2010

I thought neu.notes was the best fast, handwriting note app in the store. But now the developers have done themselves one better. This is a remarkably easy to use though feature rich app for brainstorming, jotting down thoughts, taking notes... I'm sure if I had some artistic talent, I could use it for drawing, too. Amazing, beautiful and free.

とても良い励みになる。この手のフィードバックは、iTunesストアへのものであれ、このブログへのコメントであれすべて読んでいるのでこれからもよろしくお願いする。

ここからは細かなバージョン・アップを繰り返しながら、他のアプリとの連携を強め、有料オプションをリリースしてビジネスとして成立させる、というプランなのだが、いつものように「やりたいこと」が多すぎるので、そのプライオリティ付けが難しい。

ちなみに、neu.Notesとneu.Drawは共通の「描画エンジン」を使っているが、いろいろなアプリへの再利用を意図して設計しており、将来はサードパーティとの共同開発なども念頭に置いているので、そこにもご期待いただきたい(ビジネス・商品アイデア等は常に募集しているのでよろしく)。

 


iPadアプリ開発日誌:neu.Draw 1.0 リリース

Icon 少しアナウンスが遅れてしまったが、少し前からここでも紹介していた neu.Draw をようやくリリースすることができた(iTunesストアへのリンク)。

当初は有料アプリとしてリリースする予定だったのだが、neu.Pen LLC のビジネスモデルに関しては少し冒険をしてみようと、これもneu.Notesに引き続いて無料アプリとしてリリース(将来は有料オプションを追加する予定なので、その時はよろしく)。

neu.Drawの目指すところは、「誰でも使えるベクター・ドロー・アプリ」。カテゴリーとしては、Adobe Illustratorと同じジャンルだが、機能を絞って、基本的な操作が誰でも簡単に直感的にできるように、との思いでUIデザインをしてみた。

一番の特徴は、ベジェ曲線の編集方法が従来のものと大きく違う点。Illustratorが採用して以来、「アンカー・ポイントとコントロール・ポイントを独立して操作する」という方法がこのジャンルのアプリのスタンダードのようになっている。この方法は、自由度は高いのだが、初心者にはやたらと難しく、かつ直感的に操作できないという大きな欠点がある。そこで「直感的な操作」を実現するために、あえてこの方式に背を向け、全く新しい方式(私は「ポリゴン方式」と読んでいる)を採用した。

数学的には色々と難しいことをしているのだが、それを解説してもあまり意味はなく、実際に使っていただいて「直感的に思う通りの曲線が引けるかどうか」を試していただきたい。

しかし、考えてみると、私が25年以上前にPC-98向けに作ったCANDYというCADソフトは一本4万円で売っていたのに、それよりもはるかに機能が多いneu.Drawが無料とはなんだか不思議な話である。不思議な話ではあるんだが、それがまさに「ソフトウェア・ビジネス」の急速な変化を表していると思う今日この頃である。

 


koukouTV (孝行テレビ) for iPad

以前にここでUIEジャパンの「実家に孫が贈れる次世代テレビ」というタイトルでネット接続型のデジタル・フォトフレーム・セットトップボックスのモニターを募集したことがあるが、そのiPad版アプリがリリースされたので紹介させていただく。

iTunes ストアへのリンク:http://itunes.apple.com/us/app/id396633918?mt=8

手っ取り早く言えば、iPadをFlickr, Picasa, Facebook などのオンラインサービスに置いた写真を表示するデジタル・フォトフレームに変身させるアプリ。使わない時に、充電しながらスライドショーを表示させておく、という使い方を想定している。

ちなみに、このアプリの一番の強みは、ネットからリモートでiPadに表示する写真を設定できること。実家に設定しておいたiPadにリモートで子供の(つまり実家の親にとっては孫の)の最新の写真を流し込む、ような使い方が簡単に出来る。

定価は350円だが、今だけキャンペーンで無料とのことなので、お早めに。

ちなみに、UIEジャパンの本来の狙いはテレビ、セットトップボックス、車載機メーカーへのOEMビジネス(詳しくはこちらを参照)。アクトビラやGoogle TVのように「いかにもインターネット・テレビ」というものよりも、こんな風にすぐに価値が見いだせるものの方が家電向けだと思うんだがいかがだろうか?「フルブラウザー搭載のGoogle TV、Android OS搭載!」なんかよりも、「孫の写真がネット経由で自動的に送られて来る親孝行テレビ!」の方がずっと消費者にとって理解しやすいし魅力的だ。