CESレポート:「おもてなし」アワード2011
2011.01.08
来る予定などなかったのだが、ひょんなことから来る事になったCES。初日の感想に代えて、数多く見た展示物の中で、「これは良い」と感じたもの二つをピックアップする。
1. ベスト・ユーザー・インターフェイス:Samsung i-Function
私自信、Canonのデジカメ一眼レフを使いはじめて2年ほどたつが、操作が面倒で結局使いこなせていないというのが正直なところだ。特に夕焼けのように「今しか撮れない」ショットを撮影しようとした時に、明るさやホワイトバランスを微調整している間にその「魔法の瞬間」が終わってしまう。しかしフルオートではやはり満足のできる写真は撮れない。そんなジレンマをついに解決する「おもてなし」を提供してくれるのが、SamsungのNX11に搭載された i-Function。
i-Functionは、レンズ側にある1つのボタンとリングだけで構成されているのだが、その二つだけで、明るさ、ホワイトバランス、シャッタースピードなどの微調整がLED画面から目を離さずにすることが可能なのだ。
鍵は、従来型の一眼レフレンズではピントやズームの調整に使われていたリングを、ユニバーサルなボリュームコント・ローラーとして使うことにより、操作すべきボタン等の数を極端に減らしたことにある。
「わずかな使い勝手の改良にすぎない」と言う人もいるとは思うが、「使い勝手が悪い機能は存在しないのも同じ」なので、この手のおもてなしはやたらに解像度や機能を増やす事よりももっと大切。
2. ベスト・ベンチャー:Dynamics, Inc.
日本で大きく広まったお財布ケータイも、スイカを広めたJRのような存在のない米国にとっては、インフラが「鶏と卵」状態でなかなか立ち上がらないと見ている人も少なくない。そんな中で、このDynamicsの "Dynamics Card" は、既存のクレジットカード・インフラに直接乗る事が出来るという点で画期的。
左の写真を見ただけだと分かりにくいかも知れないが、ひと言で言えば「クレジットカード型のコンピューター」である。それも、単に「大きさがクレジットガードサイズ」だけでなく、厚さ(財布に入る)・柔らかさも(少しぐらい曲げても大丈夫)・耐久性も(水に落としても大丈夫)のすべてがクレジットカードと全く同じ。
何と言っても感動的なのは、 このデバイスの出力装置が磁気ストライプであるという点。内蔵されたアプリケーションから、自由にこの磁気ストライプの内容を変更することが可能だ。
もちろん、入力装置としてのボタン(写真では、CとRボタン)もあるので、複数のクレジットカード番号を格納しておいたり、暗証番号を入れないと使えない様にしたりと色々な応用が考えられる。
すでにシティー・バンクがトライアルを始めているらしいが、「暗証番号を入れないと使えない落としても安心なクレジットカード」というふれこみだけでもこのカードにスイッチする人はたくさんいるだろう。
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