候補者のエネルギー政策を知りたい有権者の会
2011.04.06
海外のメディアでも、しばしば「国民の声が政策に反映されにくい日本では...」と引用される日本だが、さすがに今回の原発事故では自分の意見を表明する人たちが出て来ており、とても良いことである。
この「候補者のエネルギー政策を知りたい有権者の会」は「票」という国民の持つ最大の道具を使って、「国民の声を政策に反映してもらおう」というとても興味深い試み。賛同の意味も含めてここに紹介する。
海外のメディアでも、しばしば「国民の声が政策に反映されにくい日本では...」と引用される日本だが、さすがに今回の原発事故では自分の意見を表明する人たちが出て来ており、とても良いことである。
この「候補者のエネルギー政策を知りたい有権者の会」は「票」という国民の持つ最大の道具を使って、「国民の声を政策に反映してもらおう」というとても興味深い試み。賛同の意味も含めてここに紹介する。
私が2000年8月に米国で設立したUIEvolutionですが、2004年にスクエニによる買収、2007年末にMBO(マネージメント・バイアウト)でスピンアウト、と紆余曲折を繰り返して来ましたが、去年あたりから日米ともにビジネスが順調に伸びはじめ、今年は本格的な成長の年と見ています。そこで、その成長を担う元気の良いエンジニアをUIEジャパンで二人ほど雇いたいと考えています(応募要領)。
今や、パソコン・ケータイ・フマートフォンに限らず、私たちの身の回りのあらゆるデバイスがネットに繋がりつつあり、クラウド側にあるウェブサービスと各種デバイスを常時接続することにより可能になる「常時接続・ライフスタイル・サービス」が私たちの生活を大きく変えようとしています。UIEvolutionはそんな時代のユーザー・エクスペリエンス(おもてなし)設計に特化した会社です。まともなOSも載っていないような組み込みデバイス向けのプログラミングから、ウェブサービスまで幅広くカバーしなければならないので、日々勉強を重ねなければならないし、簡単な仕事ではありませんが、「最新のテクノロジーに触れる」「誰もまだ実現していないようなものを作る」機会にはあふれている会社です。
必ずしもこの分野での経験は必要ありませんが、「プログラミングが三度の飯より好き」で「頭が良くてやる気のある」エンジニアを募集しています。また、シアトルオフィスのエンジニアと英語でやりとりする仕事も多いので、「英語を身につけて世界で通用するエンジニアになりたい」と考えている人には良い環境だと思います。
UIEvolutionが目指している「すべてのデバイスがネットに常時接続した時代のライフスタイル」を良く表したビデオをCorning社がYoutubeで公開しているので、下に貼付けておきます。AppleのiPhoneも、UIEvolutionがトヨタとデンソーとで共同で開発しているEntuneも、「はじめの一歩」に過ぎません。まだまだやらねばならないことが沢山あります。
子供のころはテレビで放送されていることは100%正しいと信じていたが、大人になるにしたがい、(1)専門家の中でも意見の食い違いがあること、(2)マスコミは勉強不足でしばしば間違える事、(3)危機の際に政府とか企業は悪いニュースをオブラートにつつんで伝える傾向があること、などを学んだ。
そこで問題となるのが、今回の原発災害のような時に、「誰をどこまで信じて良いのか」ということである。(a)日本政府は30キロ圏内が危険地域であると言い、(b)米国政府は80キロ圏内に米国人は立ち入っては行けないという。原発から北西方向にある飯舘村などは、30キロメートル以上離れていても、空間の放射線量も土壌の放射線汚染度も高いが、(a)日本政府は「ただちに健康に影響はない」と言い続けているが、(b)IEAE (International Atomic Energy Agency)は住民を避難させるべきと言う(この警告はその後取り下げられている)。
福島県に住む人たちは「一体誰を信じていいのだろう」と本当に悩んでいると思う。自主避難するとなれば、避難先は自分で見つけなければならないし、そのコストも自分で負担しなければならない。仕事を持っている人ならなおさらである。私自身、福島県に住んでいたら仕事を投げ出してまでは避難しないし、できないと思う。しかし、自分の家族や親戚が特に放射線量の高い飯舘村、福島市、郡山市にいたら、放射線の影響を受けやすい子供と妊婦だけは東京もしくはそれより西に疎開させることを強くすすめる。
放射線による健康への影響は以下のような特徴を持つ。
中部大学の武田教授が警告するように、福島市のような毎時2マイクロシーベルトという「ただちに健康に影響を与えない」放射線量の地域であっても、その環境に1年という単位で暮らしていると、癌になる確率は少しだが上昇する。武田教授によると、100人の児童の0.5人に放射線障害が出るとのことだが、この数字に関しては専門家の間でも意見の違いはあるので必ずしも絶対的な値ではない。ただ、放射線量の高いところに長く暮らしていると「癌になる確率が少し増える」ことだけは誰もが指摘するリスクである。
イギリスのChris Busbyという学者は、二つの手法を使って福島第一原発から100キロ以内にこれから1年間住むリスク(原発からの放射線のために10年以内に癌にかかる確率)を計算している(参照)。ICRPという団体の計算式に従って計算すると約3000人の癌患者が増えるが、ECRRという団体の計算式に従って計算すると約10万人の癌患者が増えるという結果になっている。
3000人と10万人ではかなりの開きがあるが、これが先に述べた「専門家の間でも意見が異なる」という点である。100キロ圏内には300万人の住民が住んでいるので、確率で言えばそれぞれ0.1%、3.3%の癌発生率の上昇となる。
いずれにせよ、そういう放射線の高い地域に住む事により、子供が10年以内に癌になったり、これから生まれる子供に障害が生ずる可能性が上昇することに関しては専門家の間でも意見が一致しているわけで、その確率がたとえ0.5%であれ0.05%であれ、影響を受けやすい子供や妊婦にはそんなところには住んでいて欲しくない思うのは人間の心情である。
ここのところマスコミはこんな風に「眼に見えない放射線を恐れる」「万が一のことを考えて立ち入り禁止区域以外からも離れる」ことまで「風評被害」と呼んでいるが、風評とは「根拠のないデマ」のことであり、これは違う。それなりの根拠を持って、「直ちに健康には影響を与えないが、長く暮らしていると癌にかかる確率が高くなる」地域から、万が一のために少なくとも子供たちや妊婦を避難させるのは、(子供や妊婦を発癌リスクのあるタバコの煙から遠ざけるのと同じぐらいの)ごくあたりまえの行動だと思うのだがいかがだろう。
【追記】コメント欄で、「放射能漏れに対する個人対策」という比較的冷静で具体的な方法を書いたページの存在を教わったのでここにリンクを張っておく。本来ならば、こういう行動指針を(原発推進派の経済産業省配下の原子力安全・保安院ではなくて)厚生労働省あたりが出してくれればありがたいのだが。
【追記2】放射線治療をされている方からコメントをいただいて、放射線の健康への影響に関するブログエントリーをご紹介いただいたので、リンクを張っておく。「100mSvで癌になる危険度が1%上昇する」という数字をどう解釈するかはそれぞれだと思う。
典型的な「理科系少年」として育った私にとっては、原子力発電は宇宙旅行や人工知能とならぶ「人類の英知を集めた科学技術の結晶」であり、あこがれでもあった。ブルーバックスの相対性理論に関する本はすべて読んだし、アインシュタインの書いた e=mc2 という式は私にとってはまさに「人類の英知」を象徴するシンボルであった。高校時代の前半までは、自分は物理学者になると確信していたぐらいだ。ひょんなきっかけからコンピューターの世界に足を踏み入れ、ソフトウェア・エンジニアとしての道を歩むことになったが、科学技術全般に対する情熱は今でも持っている。
そんな私なので、今までは当然のように「原子力発電」の支持者であった。資源の乏しい日本にとって「石油が不要で、二酸化炭素を放出しないクリーンな原子力発電」こそ日本にふさわしい発電方法であると信じていたし、自動車・エレクトロニクスに続く輸出産業としての原子力に期待もしていた。
一部で原発反対運動が起こっていることは知っていたが、それは単に「核アレルギー」な人たちの過剰反応かでしかないと他人事のように見過ごして来た。
3月11日の地震と津波で、福島第一が危機に陥った時も、「こんな事故一つで日本の原発がストップしたら困るな」という思いが最初に頭に浮かんだ。「この事故を教訓として、より安全な原発を作って欲しい」とすら考えていた。
そうは言っても、私にとって「あこがれの原発」があんな状態になってしまっては、黙ってニュースを読んでいるだけでは気が済まない。まずは原子力発電の仕組みから調べ、冷却水のポンプが動かなくなるということはどんな意味があるのか、最悪の事態とはどんな事態なのかを勉強しはじめた。
すると今まで知らなかった色々なことまでが見えて来た。原子炉には5つの壁があるとか、核燃料は原子炉の停止後も冷やし続けないと危険だとか、危険きわまりないプルトニウムを使ったプルサーマルとは何かとか、高速増殖炉とは何でどんな意味があるのか、などである。
そしてわずか2週間ほどで、理解度をかなり深める事ができたのだが、その結果、明らかになって来たことは私の期待を大きく裏切るものであった。簡単に言えば、(1)原発というのは、ちょっとしたミスや事故で大惨事になりかねない、とても不安定なシステムであること」、(2)原発がクリーンというのは全くの嘘で、毎年1000トンもの放射性廃棄物を生み出している、の2点である。
つまり私があこがれていた「人類の英知を集めた」はずの原発は、エンジニアリングという観点から見て「とうてい実用化のレベルに至っていない未熟な技術」だったのである。
(1)システムとしての安定性に欠ける原発
原子炉には、放射性物質を外界から遮断する役目を果たすの5つの壁があるが、原発の致命的な欠陥は、この5つの壁が正常時にはうまく働いているが、異常時には次々に壊れて行くという点である。それも、「冷却ポンプの停止」というたった一つの事象が、その引き金になるのである。
福島第一では、まさにこの通りのことが起こりつつあるわけだが、注目すべき点は、これは福島第一に限った話ではなく、世界中のすべての原子炉が「冷却水のポンプ」を停止しただけでほぼ同じような状態に陥るという欠点を持っているという点だ。つまり、今起こっている問題は、たまたま福島第一に起こってしまった事象ではなく、冷却水さえ止まればどの原発でも起こるごくあたりまえの事象なのだ。
原発を設計したエンジニアたちもその欠点は良く認識していたようで、原子炉には必ず、冷却装置側にいくつかのバックアップが用意されている。本来ならば「万が一冷却水による冷却ができなくなっても安定して止まるようなシステム」が作れるまでは実用化すべきではなかったのだが、「冷却水さえなんとかできれば最悪の事態は避けられる」という理論で突っ走ってしまったのだと予想できる。
(2)クリーンではない原発
原発のもうひとつの問題は放射性廃棄物である。日本の原発は、毎年1000トンもの放射性廃棄物を生み出すが、これが放射能を持つだけでなく、使用後も数年間熱を出し続けるというやっかいなしろもの。しばらくはプールに入れて冷やしておかないと上に書いたような溶融を起こして放射性物質をまき散らすし、熱が収まったあとも何十年も(場合によっては永遠に)、人が近づけない地中深くに埋めておかなければ危なくてしかたがないという危険物である。
原子力に手を染めたどの国もこの放射性廃棄物には頭を悩ましているというのが実情だが、日本の場合、それをさらに分かりにくくしているのが「核のリサイクル」という仕組み。もともとは、再処理場で使用済み燃料からウランの燃えかすであるプルトニウムを抽出し、それを高速増殖炉で活用することにより同じ量のウランから取り出せるエネルギーを何十倍にもしようという試みだったのだが、これはまだ実用段階にはほど遠く、現状では再処理の結果大量に作られることになったプルトニウムをしかたなく既存の軽水炉で燃やしているのである(これをプルサーマルと呼ぶ)。一見リサイクルの形をとってはいるが、本来の高速増殖炉と比べれば資源の有効利用とは呼べない上に、リサイクルの仮定で生じる放射性廃棄物の問題も解決できておらず、単に問題を先送りにしている、というのが現状である。
◇ ◇ ◇
長くなってしまったが、エンジニアの眼から見て「今の原発は危険すぎる」というのが私の導き出した結論である。冷却システムが止まっただけで炉心溶融を起こし、5つの壁が簡単に破られてしまうようなシステムを安全とは呼べない。「どんな津波が来ても冷却システムが止まらないようにしよう、そうすれば炉心溶融は起こらない」という発想そのものが間違いである。現に福島第一で起こったように、絶対ということはありえないのだ。万が一冷却システムが完全に止まってしまっても暴走しないように作るのがエンジニアの仕事である。それをお怠り、今の形の原発の運用を続けて行けば、どんなに地震対策や津波対策を施そうと、再び同じような事故は必ず起こる。
どうしても日本で原発をやりたいのであれば、「冷却システムが止まっても、電源系統がすべて止まっても、自然に冷えて安定して行くようなシステム」を実現してから実用化すべきである。福島第一での原発事故は、こんな簡単に炉心溶融を起こす不安定なシステムをそのまま実用化してしまったから生じた人災なのである。
最後に、この文章を眼にした、日本のすべての科学者・エンジニア・理科系人間にお願いがある。少しだけで良いので時間をつかって原発とはどんな仕組みで動いているのか、そして安全性という意味で今の原発が実用化に耐える設計なのかどうかを自分の頭で考えて見て欲しい。日本の将来を考える上で、理科系頭が今こそ役に立つのだから。
【追記】ちなみに、この件に関して集めた資料等は、Facebookページに集めてあるので、詳しく知りたい人、意見を交換したい人は、そちらを参照願いたい。参照だけならばFacebookアカウントは必要ない。あと、細かな質問や他の人に読んで欲しい資料の投稿もそこで可能である。