原発は進化の遅い恐竜、小規模分散発電は進化の速い哺乳類
2011.07.25
原発の経済性に関して、とても有用な資料を見つけたので、ここで紹介する。
「POLICY CHALLENGES OF NUCLEAR REACTOR CONSTRUCTION, COST ESCALATION AND CROWDING OUT ALTERNATIVES」
というタイトルの論文で、主に米国とヨーロッパの原発の経済性を解析しているものだが、日本にも通じる話が多く、とても参考になる。
要点は以下のとおりである。
1.原発の建設コストは、物価の上昇分を差し引いても、上昇を続けている。
1kwあたりの建設コストを見ると、1970年代に今の物価に換算して1200ドルだったのが今は4000ドル〜6000ドルになっている。原因は色々とあるが、事故があるたびに安全基準が厳しくなること、大量生産や標準化によるコストダウンが効かないこと、失敗が出来ないから学習効果が薄いこと、大規模化してコストを下げようとすると工事期間が長くなり投資効率が悪くなること、などがあげられている。
2.原発の建設コストは常に当初の予想を大きく上回るし、工事期間も長くなる
原発の建設は、どの国でも国策として進められるため、政策の策定時には「代替エネルギーよりも安い」というイメージを作り出すために、どうしても見積もりを甘くしてしまう傾向がある。それに加え、原子力発電自体がまだ技術として成熟していないため、建設中の設計変更は日常茶飯事で、それもコスト増の原因となる。
3.原発を推進する国では代替エネルギーに対する投資が抑制される
原発は、政策上どうしても再生可能エネルギーなどの代替エネルギーと対立関係になってしまうため、原発に力を入れている国ほど、再生可能エネルギーへの投資が抑制され、他の国に比べて遅れる、という傾向がある。
イノベーションのジレンマにも繋がる話だが、一機あたりの規模が大きく、工事期間の長い原発は、小規模分散型の他の発電方法に、進化のスピードで太刀打ち出来ない。なので原発ばかりに力を入れる国は再生可能エネルギーの開発競争で出遅れてしまう、という話である。たとえ福島第一での事故がなかったとしても、使用済み核燃料の問題がなくとも、純粋に経済的に見て割に合わないのが原発なのである。
もちろん日本の場合、発送電を分離して発電事業者にコストを意識した経営をしてもらわなければ話にならない。なので、すべては債務超過状態の東電を破綻処理してから分社化する(参照)、というプロセスを経てからの話。この後におよんで東電を救済しようという不埒な政治家と官僚が幅を効かせている限り、そんなごく普通の経済原則にのっとったことも簡単にはできないのが今の日本だが。
原爆を2発も落とされるまでポツダム宣言を受けいれる決断ができなかった国ですよ。
原発がひとつぶっとんで国民がただちに害の無い被爆をした程度で何が動くものですか。
まだ外圧が足りない。
東電の解体がアメリカの国益になるとアメリカの政治家に納得させたうえで日本に圧力をかけさせるのが効果的です。
外圧さえあれば国民も政府も被害者づらして解体を受けいれる事ができる。同盟国が無理言うから仕方なく従ったのだと。
Posted by: kooga | 2011.07.25 at 09:25
圧力容器は、のっぺり巨大で不気味! 大きくても恐竜の方が断然かわいい!
(こんなに嫌ってかわいそうだけど・・・最後はちゃんと供養してあげましょう・・まだ早い!)
Posted by: Mary-Jane | 2011.07.25 at 20:48