「強制避難区域」はどこまで広げるべきか?
2011.08.03
文科省が放射線等分布マップというのを公開しているが、別紙6の地図を見ると、汚染地域がかなりの広域に広がっているのが良く分かる(30キロ圏を超え、皮肉にも米国が事故当日に避難勧告をした80キロ圏まで広がっている)。
ピンク色の線で囲まれた地域が空間線量3.8μSv/h (年間20mSv)を超える「計画的非難区域」だが、これだけでは全く安心できないというのが実情だ。
チェルノブイリでは年間5mSvの地域が強制退去になったこと、日本の法律でも年間5.2mSv以上の場所は「放射線管理区域」に指定され、放射線を扱う専門家およびその施設で働く人のみが立ち入ることが許されている領域だということは、多くの人が知るところ。地図で緑色のドットの地域がそれにあたる。
子供を持つ人たちが「国はそんな危ない地域で子供を育てろというのか」と怒るのももっともだ。
福島でボランティア活動をしている知り合いによると、そんな地域では「やむをえず、子供たちを自費で租界させる」人たちが増えているそうだが、そんなことができる余裕があるのは一部の人たちだけだ。自費で避難する金銭的余裕のない人たち、なんらかの事情で避難できない人たちの中には「いっそのこと強制避難区域にして欲しい」と嘆く人たちも多いそうだ。
何とも悲しい話だが、だからと言ってやたらと強制避難区域を増やせば良いわけでもないのが難しい。
「任意避難区域」のような緩衝地帯をもうけて、そこからの避難は自主判断でしてもらうが、その費用と当面の生活費は国が東電に代わって立て替える、などの措置も必要かも知れない。しかし、そんな地域がしだいにゴーストタウン化してきた時に、残った住民に生活インフラをどう提供し続けるかなどの問題もあり、簡単な話ではない。
s/租界/疎開/g
緩衝地帯を設けるというのは良いアイディアだと思います。
Posted by: m_yanagisawa | 2011.08.03 at 23:49
よく「チェルノブイリでは年間5mSvの地域が強制退去になった」という数字を見かけますが、これは嘘ですよね。除染などを行い、事故後5年たってもまだ年間5mSv以上の線量がある地域が移住ゾーンとされたはずです。ちなみに1年目の基準は年間100mSv以上です。このようにチェルノブイリのやり方は、かなり乱暴なものであまり例として比較するのはどうかと思います。
除染の行程など広く知らせ今後の線量の見通しを示した上で、避難を判断してもらえるようにするとよいのではないでしょうか。とにかく除染が急がれるべきではないかと考えます。
放射線管理区域は「放射線を扱う専門家のみが立ち入ることが許されている領域」ではありませんよ。専門外の人、普通の人、いわゆる掃除のおばちゃんも自由に出入りできます。ただ、専門の管理者がいて、立ち入る人が管理されているということです。それほどものものしい場所ではありません。
つまり、これから多数の管理者を養成し、現在の福島周辺には一定の人口あたりの“管理者”を設定すべきではないでしょうか。取り扱う線量はそれほど多くありませんので第3種放射線取扱主任者レベルで十分かと思います。
Posted by: Nao | 2011.08.04 at 01:29
故郷の二本松が被爆フロントラインになってしまったのですが、このまま推移すると最悪の場合は50マイル圏内は住めなくなりそうです。解決策は唯一、圏外避難しかありません。圏外に仕事があれば家族全員移住したいと思っている人が大勢います。
政府も再生エネルギービジネスに投資して積極的に原発被災者の雇用対策を進めて欲しいと思います。中島さんの夢のあるブログ力(?)に期待しています。
Posted by: Symon | 2011.08.04 at 09:25
そう、まずはフクシマです。
Posted by: Nashville | 2011.08.04 at 11:19
こちらはチェックされたでしょうか?
「放射線の健康への影響」参考人説明より
児玉龍彦(参考人 東京大学先端科学技術研究センター教授 東京大学アイソトープ総合センター長)
http://www.youtube.com/watch?v=O9sTLQSZfwo
Posted by: pojiro | 2011.08.05 at 09:53