「地下で石炭を燃やしてガスを取り出す」発電方法
2011.08.02
興味深い発電方法が北海道新聞に紹介されていたので、紹介する。
道内地下に95億トン 眠る石炭をガス化し活用 三笠市、月内にも実験
ひと言で言えば「地下にある石炭を掘り出さずに、地下で部分的に燃やしてガスを取り出して、そのガスを燃やして発電する」という方法。実用化ができれば、石油と比べて豊富にある石炭資源を低コストで使うことができる。掘り出した石炭を単に燃やすよりもCO2の排出量を減らすことが可能だ。地熱や風力を利用した再生可能エネルギーが十分に低コストになるまでの、中長期的な(数年から数十年の)つなぎとして有望かも知れない。
石炭の採掘が難しいのは、炭坑内で人間が作業できるように空気を送り込む必要があるため、その空気が炭塵(石炭の細かな粉)や石炭から発生したガスと反応して爆発してしまう危険がある点。
工事の段階から一切地下には人を送り込まずに、地上からのリモート操作だけで、ガスや熱の形で取り出すことができれば、単にコストを減らせるだけでなく、石炭の採掘につきものの作業員の死傷者も大幅に減らせる。
今まで原発一辺倒だった国のエネルギー政策を見直し、こんな風に「色々な発電方法」を試しながら国のエネルギー・ポートフォリオをバランス良く作って行くことが大切。そのためにも、債務超過の東電を破綻処理して分割し、発電業者間に健全な競争原理が働く仕組みを作ることが必須。国民の負担を増やし、日本のエネルギー政策の転換を妨げる東電の救済だけはしてはいけない。
【参考資料】
小規模で特徴ある発電技術をベースとしたスタートアップがどんどん生まれるといいですね。そしてそれが世界中の各地方の事情に応じてお役に立てるのは素晴らしいことだと思うのですが。
Posted by: ebaera | 2011.08.02 at 11:27
これってどういう仕組みなのでしょうかね?リンク先を読んでもよく分からなかったです。
地下に酸素を送って燃やすと、2酸化炭素ノ他にメタンなどのガスが発生するから、それを回収して地上で再利用するということでしょうか。で、石炭を人間が掘るときのリスクが低いということ?
この理屈であれば、今ある石炭での発電設備からメタン等を取り出せるのでは?
Posted by: Nobuhito SATO | 2011.08.02 at 16:40
坑内火災とか、大丈夫なんでしょうかね。炭鉱の鉱脈に下手に火がつくと、数十年〜数百年燃え続けて甚大な被害を出します。アメリカ、ロシア、中国などで実際にそのような地域があり、温暖化ガスの数%は地下火災による、という説もあります。
また、下手にメタンが回収できずに大気に放出されれば、CO2以上の温暖化要因になります。
そもそも「あなたの家の下の鉱脈に火をつけますよ」といわれれば、大反対運動が起きるのは必至で、結局原発と同じ構図になりそうな気がします。
Posted by: 理系なら何事もまず疑え | 2011.08.02 at 18:34
コスト的に見合えば、とても画期的
それに国内の炭鉱であれば、輸入に頼らなくても済む
使える技術となることを、祈りたい。
このような、アイデアや技術がたくさんあるのでしょうね。取り上げられなかっただけで。
>炭鉱の鉱脈に下手に火がつくと・・
と心配される方もいるようですが、「酸素」を送るのを止めれば、原理的に「燃焼」(酸化)は止まるはず。
Posted by: santa301 | 2011.08.02 at 21:41
>セントラリアの坑内火災
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BB%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%A9%E3%83%AA%E3%82%A2%E3%81%AE%E5%9D%91%E5%86%85%E7%81%AB%E7%81%BD
「地下でくすぶり続ける火は雨が降っても消えることはなく、いつ鎮火するのかは全く分かっていない。火が燃え尽きるのには相当な時間を要すものと考えられ、鎮火するまでにかかる時間は100年とも200年ともいわれる」
・・・とさ。
お前が「酸素を止めて」来たらどうか・・・
Posted by: 柳生大佐 | 2011.08.02 at 22:44
素人なんで詳しいことは分からないけど、影響範囲が完全に把握できないものに火をつけるってのは恐ろしい。
70年代に原子力が推進された背景には石油危機があったわけだし、
「 〇〇はもうコリゴリだ! これからは脱〇〇の時代!」
という時ほど正気を失った判断をしがち。
変わらなきゃならないのは確かではあるんでしょうけどね。
Posted by: magnara | 2011.08.03 at 02:52
石炭の地下ガス化は、かなり昔からあります。
昭和44年1月発行の、小学館学習科学図鑑シリーズ10「エネルギーと原子力」に、当時のソ連でやられているとの記載がありました。
最近何か新技術が開発されたのかな?
Posted by: mori | 2011.08.03 at 05:53