Steve Jobsの三つの偉業と現実歪曲空間と
2011.08.24
Steve Jobsの引退が正式に決まったそうだ(参照)。これからは会長として新CEOのTim Cookをサポートする役に回るとのこと。
Steve Jobsの功績はいくつもあるが、特に注目すべきは、次の三つ。
一つ目は、iPod/iPhone/iPadというすばらしい商品を作り出し、多くの人たちのライフスタイルを大きく変えたこと。Jobsの徹底的なまでのこだわりとリーダーシップがなければ、あれだけの完成度の商品は作れなかっただろう。
二つ目は、違法コピーで悩んでいた音楽業界を説得し、オンラインで音楽を売るという新しいビジネスモデルを成立させたこと。これはJobsの現実歪曲空間とまで呼ばれる交渉力のたまもの。
三つ目は、倒産寸前だった会社をライバルのMicrosoftから資金を引き出すというウルトラCで救済した後、全米一の株価総額を持つまでの株主価値を生み出した事。
このうちどの一つを達成しただけでも「歴史に残る偉大なCEO」と呼ばれても良い話だが、これを三つとも、それも癌と戦いながら達成したのだ。1970年の後半から始まった情報・デジタル革命が生み出した数多くのCEOのうちNo.1を選ぶとしたら文句なくSteve Jobsだろう。
多くの人が指摘するように、Appleは長期的なロードマップに従って、戦略的に付加価値の高い商品だけをリリースすることにより、高い利益率を維持し続けている点が他のメーカーと大きく違う。Mac/iPod/iPhone/iPadという4つの商品ラインそれぞれが、株価総額でソニー4つ分づつぐらい株主価値を生み出して来たのだ。
これからのことだが、既に iPhone7 ぐらいまでの青写真は描かれているだろうし、Apple TVを「ホビー」からiPhone/iPadに並ぶ本流の商品にまで育てる準備は着々と進んでいると予想できる。
唯一の懸念は、音楽業界に起こしたようなビジネスモデルの大変革を、まだ映像・放送業界に起こせていないこと。これだけはJobsの現実歪曲空間がなければ難しいかもしれない。
pixarに投資してCG映画界を花開かせたとかはないのでしょうか
Posted by: kuni | 2011.08.25 at 01:50