東京新聞に見るジャーナリズムのあるべき姿
2011.08.05
今回の原発事故に関して、政府や東電からの発表が信用できないだけでなく、テレビ・新聞などの大手マスメディアの記事にもかなりバイアスがかかっていることが明らかになって来た。特に読売と産経の「経産省より、経団連より」のバイアスは目にあまるものがある。
こんな状況だから、今回の事故ではブログやYoutubeなどのパーソナル・メディアが情報源として多いに役に立ったと感じている人も多いとは思うが、これはこれであいかわらず玉石混淆であり、その中から信頼できる情報や意見を選び出すことは簡単ではない。
先日も、「福島第一原発の敷地。敷地内の土地のあちらこちらにヒビ割れが生じていて、そこから高温のどす黒い湯気が噴き出しているそうです。」というデマが流れていたが、パーソナル・メディアのみに頼るとこの手のデマに惑わされる危険があるのが難点である。
となるとやはり一時情報として頼りたくなるのはマスメディアだが、その中で私がもっとも信頼しているのが東京新聞。バイアスのかかっていない質の高い記事を書いているからだ。例えば、今回の経産省のトップ3人の更迭の件。8月4日から5日にかけて、2つの記事と1つの社説が書かれているので順番に紹介する。
原発3首脳更迭 問われる政治の責任(8月4日夕刊)
「松永氏は二〇一〇年七月に就任。わずか一年での交代は、よくある、不祥事の責任を取らせるための更迭にみせかけた定期異動ではなく、明らかな更迭であり、重い処分だ。」とこの更迭をきちんと評価した上で、「更迭によって官僚側だけを処分し、首相が辞めないのであれば、国民には今回の更迭が『トカゲのしっぽ』切りにしか映らないだろう。」と首相の責任もきちんと追求している。
経産3首脳更迭 与野党 退陣圧力に利用(8月5日朝刊)
冒頭の「海江田万里経済産業相が同省の松永和夫事務次官ら幹部三人を更迭する方針を表明したことを受けて、与野党から四日、『辞めるべきは菅直人首相だ』との声が相次いだ。依然退陣時期を明示しない首相を早く辞めさせようと、今回の更迭問題を辞任圧力に利用している格好だ。」が主旨だが、記者自身はあくまで第三者の立場から、政局を語っている点が高く評価できる。
経産首脳人事 これでは改革が進まぬ(8月5日 社説)
ここでは「海江田万里経済産業相が松永和夫事務次官を更迭し、後任に安達健祐経済産業政策局長を起用した。これでは旧来路線の踏襲が明らかだ。菅直人政権は原発・エネルギー政策を見直せるのか。」と後任人事が旧来路線の踏襲になってしまっていることを批判している。そして、「ところが、海江田経産相は省内の筆頭局長である安達氏の次官昇格を決めた。まさに年功序列の順送り人事である。本来なら、改革派官僚を抜てきするくらいの覚悟で臨むべきだったのに結局、省内秩序を優先してしまった。政官業が一体となって『原子力村』を構成している原発・エネルギー分野は既得権益の塊でもある。利権構造を打ち破るには相当な力業がいる。にもかかわらず、過去の政策立案に深くかかわってきた局長の昇格をすんなり認めるようでは、政策の見直しが進むとは到底思えない。」と的確な指摘をしている。
「原子力村 vs. 菅内閣」「菅おろしをしたくて仕方がない与野党」という構図の中で、どちらの側にも立たずに、きちんと事実関係を捉えて記事・社説を書いている東京新聞こそジャーナリズムのあるべき姿だ。
>東京新聞こそジャーナリズムのあるべき姿だ???
東京新聞は「反日左翼売国奴の団体」となっていますよ。
http://blogs.yahoo.co.jp/atcsikaku/62309126.html
中島さんも反日左翼売国奴なんですか?
Posted by: 柳生大佐 | 2011.08.05 at 19:08
須田慎一郎ブログ 「経産省3首脳人事は八百長!」
http://blog.livedoor.jp/shinichiro_suda/archives/2956600.html
Posted by: 柳生大佐 | 2011.08.05 at 20:08
やれやれ・・・・
「311が終止符を打った「反原発=左翼」の図式」への3つのコメントが削除されてしまったよ・・・
Posted by: 柳生大佐 | 2011.08.05 at 20:25
これ、中日新聞発の記事かもしれませんね。
Posted by: Suematsu | 2011.08.05 at 21:05
中島さんは「反原発オタク」ですね。
「健康になるためになら死んでもよい!」
という”健康オタク”が以前居ましたが・・・
さしずめ中島さんなら
「原発を廃止するためなら日本が滅亡してもよい」
というところでしょうか。
trade-offということが全然分かってないのですね。
Posted by: 柳生大佐 | 2011.08.06 at 02:43
取材力のない東京新聞を持ち上げた、ずいぶん軽薄な見方ですね。
Posted by: hansei | 2011.08.06 at 04:49
取材力のない東京新聞を持ち上げた、ずいぶん軽薄な見方ですね。
Posted by: hansei | 2011.08.06 at 04:49
東京新聞って、どう見ても反原発広報誌にしか過ぎないのだが。東電が公表した情報を根拠に「東電が隠蔽」とか騒ぐ劣悪新聞
Posted by: 通りすがり | 2011.08.06 at 05:19
ご本人の訂正が入らないようなので・・・一つ目の署名記事は中日新聞の記者、三つ目の社説は中日新聞の社説。
Posted by: Suematsu | 2011.08.06 at 05:44
10日ほど前に、加藤典洋さんが長谷川副主幹あてに、たぶん多くの人が思っている疑問、じゃあ菅がだめなら誰ならいいってんだみたいな事を、「教示乞う」とツイッターでつぶやいていますが、答えはないようです。その答えを示さないのは、他のマスメディアと同じですね。
答えを聞いてみたいです。
Posted by: ぷくり | 2011.08.06 at 05:48
東京新聞というのは中日新聞東京本社が発行する新聞で、多くの記事
・社説が共有されている新聞なんですね。関西に住んでいるとこの辺
の情報に疎いもので(^!^;)。
Posted by: yumeno_tocyu | 2011.08.06 at 07:10
間違いは、きちんと訂正をいれましょう。
それが、ジャーナリズムのあるべき姿では?
Posted by: 理系ネタないの? | 2011.08.06 at 08:49
東京新聞は中日の東京版だから関東の読者から見れば「東京新聞の記事」で間違いないですよ。本社の記事が地方版に載ってるってだけの話。
Posted by: 名古屋人 | 2011.08.06 at 11:43
訂正をと仰る方もおられますが、URLから判断いただけるようにこれはれっきとした東京新聞の記事ですよ。社説を始めとする多くの記事が中日新聞と共通なのは東京新聞読者は周知の事実です ^_^
東京新聞は、最近とみに脱原発のスタンスを強調していて、それについての賛否はあると思います。が、何より重要なことは、何が「事実」で、どこからが「記者や新聞の主張」なのかをきちんと分けて書くという新聞の基本中の基本をちゃんとできている点。産経と読売は、事実と主張が混在していて読んでいて混乱します。
東京新聞の唯一の不満な点は、紙面上には存在する多くの記事が(無料では)オンラインで読めないこと。特報面など興味深い記事が多いのですが、オンラインでシェアして情報の精度を確かめることができない。これは改善してくれないかな~。
Posted by: Daigo AKANE | 2011.08.06 at 15:52
訂正を求めるといっても、別にドヤ顔で間違いを指摘していると言うつもりでは無いんです。(確かに、そうゆう書き方をしたかもしれませんが。)スミマセン(^_^;)。
せっかく記事を褒めているのに、褒める相手が違ってるのはもったいないなあと思った程度ですので。
このエントリーを読んでる人みんなが東京新聞=中日新聞と理解しているのなら無問題ですね。
Posted by: Suematsu | 2011.08.06 at 16:48
記事より失礼します。お書きになっている内容は、メディアの定義の一部だけを理解しておられるようにお見受けしました。
そもそもメディアが複数存在する理由は何でしょうか?事実だけを流す事だけがメディアの役目なら、メディアは一つで十分です。国や企業の発信する情報を一手に引き受けて流すだけの発信会社が一つあればいい話です。それにも拘わらず、メディアが実際には複数存在します。
この世界のどんな事実でも、それを見る角度や分析する方法次第で、評価の在り方は変わってきます。そこにこそ、メディアが複数存在する理由があります。メディアの論調がそれぞれに異なるのは、そうした分析方法の在り方の違いであり、それこそ、価値観の多様性の証です。特定のメディアの存在のみを理想視したり「偏向」と決めつけて貶めるのは、思想言論の自由の否定にもつながりかねない危険な発想への入り口です。
どのメディアの考え方に自分が賛同できるのか、そこを考える事が大事なのであって、メディアの存在そのものを否定したり持ち上げたりすべきではないと思います。
Posted by: チャーリー | 2011.08.06 at 18:24
「冷戦」というのが20年ほど前まで約50年(半世紀)続いたわけだが・・・
有能な指導者が居ても「社会主義国」は全部失敗したし
無能な指導者が居ても「資本主義国」は全部成功している。
つまり
「答えは常に1つしかない」
ということ・・・
ゆえに
複数のメディアが価値観の多様性を報道しても意味が無い のである。
「本当のこと」を報道するメディアが1つあれば良いのである。
その結論が科学的合理的で論理的にも無理が無ければ・・・それが正しい報道だからである。
Posted by: 柳生大佐 | 2011.08.06 at 20:25
この手の読者コメントには書き込まない方針なんですが,
どうしても理解できなかったのでちょっとだけ。
>「本当のこと」を報道するメディアが1つあれば良いのである。
>その結論が科学的合理的で論理的にも無理が無ければ・・・それが正しい報道だからである。
その「本当のこと」が誰にも分からないから,複数のメディアが存在することに意味が
あるのでは?正解が分からないこの世界だからこそ,立場の違う複数メディアが
競合することに意味がある。
資本主義の成功うんぬんの件にしても,複数メディアが存在して競い合うことこそが
まさに資本主義の真骨頂だと思いますけどね。
Posted by: 通りすがり | 2011.08.08 at 07:36
>通りすがりくん
「本当のこと」は良く考えれば誰にでもわかるよ。
>「冷戦」というのが20年ほど前まで約50年(半世紀)続いたわけだが・・・
有能な指導者が居ても「社会主義国」は全部失敗したし
無能な指導者が居ても「資本主義国」は全部成功している
・・・と私が言ってるだろう!
その理由は
「努力する者が報われるのは”資本主義においてのみ”」
だからだ。
こんな高校生でもすぐ分かることが左翼に分からなかったのは「分かっていたけれど嘘をついていた」からであり
それ以外の人たちは 理性が欠けていたか・・・人生経験も知性も無いバカだったからにすぎない。
はははははは・・・・
バカが100人努力しても何も変わらないよ!
資本主義の長所は「目的合理的に経営や決定ができる」ことにある。
天才が天才の能力を最大限に発揮できる!・・・これが資本主義!
分かった?
おバカさん!
しょせん君のような凡才がいくら努力してもたかがしれてるよ・・・
カレーライスを食べようがハンバーグを食べようが大して変わりはないじゃないか・・・
Posted by: 柳生大佐 | 2011.08.08 at 18:55
コメントへのコメントで、Blogを汚してすみません。
柳生大佐 様
>有能な指導者が居ても「社会主義国」は全部失敗したし、無能な指導者が居ても「資本主義国」は全部成功している
・どこの国か、具体的に教えてほしいですね。
・中華人民共和国は、どちらに入るの?
・成功とは何ですか?
>「努力する者が報われるのは”資本主義においてのみ”」
・結果が出なければ、いくら努力しても報われないのが資本主義だと思うのですが。意味が違うのかな?
>資本主義の長所は「目的合理的に経営や決定ができる」ことにある。天才が天才の能力を最大限に発揮できる!・・・これが資本主義!
・何か「資本主義」の定義が違うみたい。
・「資本主義」を「社会主義」に置き換えれば、冷戦終結前のソ連に似ている。柳生大佐は社会主義者なのかな?
以上 まったく本筋と関係のない話で失礼しました。
私は、多様な意見表明ができる「民主主義」が好きです。
多様性を排除したり、自らその役割を放棄する者は、ジャーナリズムとは呼べないと思います。
Posted by: santa301 | 2011.08.09 at 01:51
>社会主義国は全部失敗した 資本主義国は全部成功した
・・と私が言ってるのだから具体名など無意味。それでも知りたけりゃ地図と歴史を見ればよい。
中華人民共和国は1949年10月1日に「社会主義」を宣言してるよ。
>成功???
この場合は「資本主義をずっと今まで放棄しなかったこと」だね。
「資本主義はだれでも成功する」などとは私は言ったことが無い。
怠け者とバカは如何なる国でも成功はしないからね。
アホに「資本主義の定義」など聞く必要などない。
「資本主義」を「社会主義」に置き換えることはできない。
私は何度も「市場原理主義者」で「資本主義絶対主義者」と言っている。ゆえに社会主義は大っ嫌い!
>多様性????
はははははは・・・・
中島聡さんはサッカー選手になっても成功出来るかね?
多様な職業がいくらあっても自分が成功できる職業はほんの少しだけ。
この世に女性が幾ら居ても結婚できるのは1人だけ・・・バツイチなどは除いてね・・・
迷わず最短距離を行くこと・・・
これを「合理的」と言う。
分かった?
おバカさんでもこれぐらいは分かるだろう?
え?
Posted by: 柳生大佐 | 2011.08.09 at 04:39