本当にストレステストが必要なのは原子力安全保安院
2012.01.23
「関西電力大飯原発3、4号機をめぐり、経済産業省原子力安全・保安院がストレステスト(耐性評価)の1次評価を『妥当』とする審査書の素案を提示」との報道がされているが、やはり今の段階で「妥当性」を評価すべきは、原子力安全・保安院そのものだと思うのは私だけではないはずだ。
そこで、原子力安全・保安院の妥当性を評価するための質問リストを作ってみた。
まずは「原子力村症候群」度をはかる16問の質問。
- 福島第一で事故は、「想定外の巨大津波」により引き起こされた「天災」だと思っていませんか?
- 「想定外の巨大津波による天災」なので、東電にも保安院にも責任はないと思っていませんか?
- 経産省の「原子力発電を利用した電力の安定供給」に協力するのが自分たちの職務だと思っていませんか?
- 自分の仕事が「国民の安全を守る事」ではなく、「国民に原発は安全だと思ってもらうこと」だと思っていませんか?
- そのため、多少の「やらせ」は国民の理解を得るためには必要だと思っていませんか?
- 自分が保安員に在職中に福島第一の事故が起きたのは単に「運が悪かった」と思っていませんか?
- SPEEDI のデータの公開が遅れたのはすべて政治家の責任で、自分たちには責任がないと思っていませんか?
- 反原発を叫ぶ人が多いのは、「単に彼らが一時的なヒステリーに陥っているだけ」だと思っていませんか?
- 国民が放射能による被曝に必要以上に神経質になっているとは思いませんか?
- 国民が早く原発事故のことを忘れてくれると良いと思っていませんか?
- 福島第一で事故が起こった時に、自分の親戚だけには「出来るだけ遠くに避難しろ」と連絡していませんか?
- 自分自身が福島第一の廃炉作業に関わることだけは何としてでも避けたいと考えていませんか?
- 電力会社やその関連企業を自分自身の退職後の天下り先として考えたことはありませんか?
- 電力会社やその関連企業に天下りした先輩からなんらかの圧力を受けた事はありませんか?
- 電力会社から接待を受けたり、お中元・お歳暮を受け取ることはありませんか?
- あなたの息子や娘が電力会社やその関連企業に就職していませんか?
つぎに「霞ヶ関エリート症候群」度をはかる16の質問。
- 退職して行く先輩や同僚の受け皿としての特殊法人を作る事に加担したことはありませんか?
- 早期退職してもらう人たちの再就職先を見つけるのは役所の義務だと思っていませんか?
- 自分たちは国民の中から選ばれたエリートだと思っていませんか?
- 日本の将来を決めるのに一番ふさわしいのは自分たちだと思っていませんか?
- 第三者委員会をコントロールするには人選が鍵だと思っていませんか?
- 色々な委員会が出来ても、事務局さえ自分たちがコントロールしていれば大丈夫だと思っていませんか?
- 民主党の「仕分け」が形だけに終わってほっとしていませんか?
- 市民運動は社会秩序を乱す「左翼活動」だと思っていませんか?
- 「小さな政府」という発想は幻想だと思っていませんか?
- 消費税の引き上げと公務員の給与削減や公務員改革をセットにするのはやめて欲しいと思っていませんか?
- 菅直人元総理が「ストレステスト宣言」をした時には、「この人には辞めてもらうしかない」と思いませんでしたか?
- 「総合資源エネルギー調査会」の人事に口を出そうとした鉢呂氏が大臣を辞任する事になってホッとしませんでしたか?
- 古賀茂明は経産省の裏切り者だと思っていませんか?
- 河野太郎が自民党の総裁になることだけは何とでも阻止したいと思っていませんか?
- みんなの党がこれ以上大きくなることは霞ヶ関にとっては良くないと思っていませんか?
- 政治家は政局ゲームをしていれば良く、実際の国を動かすのは霞ヶ関だと思っていませんか?
どちらも半分以上の設問にYESと答えたとすれば、かなりの重症で、国民の安全を守るべき原子力安全保安院としては失格である。
ここまで国民の信頼を失ってしまった保安院が何と言おうと、「国民の理解」は全く得られない。個々の原発のストレステストをする前に、日本のエネルギー政策を担う組織そのものに大きなメスを入れるべきである。
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