福島で作られつつある異様な「空気」
2012.02.13
知人にすすめられて「子供たちを放射能から守る福島ネットワーク」というボランティア団体のメーリングリストに流れるメッセージを読んでいる。これを読んでいると「放射能による被害をできるだけ小さく見せよう」としている政府と、「子供たちだけは放射能から守りたい」と感じている親たちとの間に大きなギャップがあることが伝わって来て、心が痛む。
たとえば、こんな感じだ。
現在福島市から山形に夏から避難し、現在福島をたびたび往復している者です。最近福島に流れる異様な雰囲気に恐怖を感じます。これは最近益々強くなったと感じています。医者や病院、役所や学校あらゆるところで福島は安全だとのメッセージが流れ、同じ方向に進まないと生きていけない空気を感じます。
放射能を気にする発言をすると、放射能を気にし過ぎることで子供の健全な成長が阻害される、母子避難することで家族崩壊が招かれる、との情報で「もう子供の心の健康と家族を思い、放射能の事はもう考えません」と言い出す方達があちこちででてくるようになりました。
国や自治体からの発表に疑問を持つと過激な反体制と疑われ、避難を口にしようものなら、地元を見捨てるエゴの塊と見なされる。狭い狭い偏狭な方向へと導かれているように感じるのです。今この場がどんな状況で、何が起こっているかを何の偏りもなく、ただ冷静に知りたい、過去の事実から学んで活かしたいとの思いは、危険と見なされる不思議さ。肌で感じ取り、目で見て、情報を分析して考えること、異なった考えを議論することその全てを一切禁止されているような感覚があります。
自分の子供がいつ癌や白血病になるか心配しながら生きて行くような生活を地元の人に押し付け、かつ、その心配を口に出す事すらはばかれるような「空気」を作る政府。まるで戦時中の日本だ。
政府としては、年間1〜20ミリシーベルトぐらいのところからまで人を避難させていては膨大なコストがかかって仕方がないから、住民には戻って欲しいのだろうが、だからと言って事故前には立ち入り禁止になっていたような放射線量を持つ地域にまで「ただちに健康に影響はない」から戻れと言っても、まったく安心はできないのが親の心情である。
もう事故は起こってしまったのだから、ここは素直に「年間5ミリシーベルト以上の所は強制避難、年間1ミリシーベルト以上の所は自主避難」として土地を買い上げるなり、新しい土地での仕事を探してあげるなどの責任を国(=東電)が果たすべきだ。そんな「ごく当たり前のこと」も出来ない国に、原発の再稼働をする資格はない。
年間被曝量が5mSvを越えたら白血病になるに違いない。1mSvを越えたらきっと悪いことが起きるに違いないという思い込みが精神的な苦痛になってるように思うんですけど。被害を小さく見せようにも福島県内は至る所にモニタリングポストが設置されてるし、食品にしても線量測定とか流通制限がかかる位機能してるんだから、過剰に神経質にならなくても好いんじゃないかと思う。健康被害がいつか出るかもしれないが本当だとして、被曝と結びつけられるのかどうかはわからないレベルの被曝だというのは信じてはいけない事なんだろうな。被曝させないって事は重要だと思うけど、疑い出したらきりがない。チェルノブイリハートなんてのを信じてれば心から救われる事は決してないと思う。東京の汚染が深刻だから関西に避難するって人も居るくらいなんだが、自然放射能は関西の方が高いんだし。交通事故とか自殺とか、深刻で直接的な問題の方が深刻なようにも思う。放射線だけを気にして生きて行けるならそれはそれで幸せなんだと思う。そういう生き方を選択したんだから。
Posted by: plutob4 | 2012.02.14 at 00:22
他人のあげ足取りが好きな人と、使命を持ってる人は、ここでの発言を控えて下さい、ここのコメント欄が「異様な空気」になりますので。
私は子供を持つ親として、家族のリスク管理をする責任があります、
実際、放射能の危険度の定義は色々とありまして定かで無い様ですが、
政府と東電とその愉快な仲間達から出てくる情報に疑惑感が強く感じられるので、
リスク管理する上で、最悪の状況を想定するのがベストだと思います。
誰も未来の事は解りませんから、気休めでも安全ですよとは言えません。
Posted by: 三十浪 | 2012.02.14 at 02:41
plutob4さん
その通りだと思います。あなたが仰るように、そして中島さんも仰るように、放射能や交通事故、心のストレスなど、どのリスクがどのくらい高いかを一人一人が歴史や事実を元に考えて、住み続ける、避難する、を選ぶのが、正常な社会だと思います。
上記メルマガは、それが許されない空気になっていることを警告しているのだと思います。「国や自治体からの発表に疑問を持つと過激な反体制と疑われ、避難を口にしようものなら、地元を見捨てるエゴの塊と見なされる」社会は非常に危険と思いますが、いかがでしょうか。
私も3月以降、放射線がもたらす健康被害について時間をかけて調べましたが、安全とも危険とも判断はできませんでした。調べる過程でたくさんの嘘は見つけましたが、確実な結論はどこにもありませんでした。なので、私個人は放射能をできるだけ避けながら、周りにはあまり強くは言わず、福島の皆に水俣病のような大きな公害が降りかからないことを密かに祈っています。
Posted by: M | 2012.02.14 at 06:07
放射線による健康被害は正確に分からない部分もあります。
ですが、放射線を正しく理解して、精神的なストレスを軽減する事も大事です。
ようはリスクをどうとらえるかであり、我々は常に大小いろいろなリスクを取って行動している事を忘れるべきではありません。
例えば街に買い物に行くだけで、ウィルス感染や交通事故などのリスクを無意識にとっています。行動する事の意義の方が遥かに強い為にそのリスクを無い物として行動しています。
人は時にリスクを忘れる事ができます。(良い意味でです。)
リスクを正しく理解し、忘れる事のできる、無視できるリスクは無視することも大事です。
話はブログの内容にもどり、
「ごく当たり前のこと」← これは言い過ぎだと思いました。
Posted by: toppo | 2012.02.14 at 09:11
「当たり前」とか「当然」とかいった言葉に、異様な空気を作り出す原因があるように思います。
Posted by: gack | 2012.02.14 at 14:59
ガレキ処理に対するヒステリックな反応を見ると、日本に異様な空気が作りだされている気がしますね。
Posted by: カリガリ博士 | 2012.02.14 at 17:19
日本人の特性なのか…どこで耳にしたか忘れましたが、原発問題は小さな安心を得るために大きな安全を犠牲にした結果だという話を聞きました。
福島の現状にしても同じ文脈で読める部分もあると思います。日常生活を取り戻すための安心のゴリ押し。その結果、数年後の子供たちの健康にどのような事がおこるのか…ヒステリックな反応ではなく理性的な判断と基準を設けて、その結果一部地域に住めなくなったとしても、それを受け入れる強さが必要になりますね。
Posted by: koyaman | 2012.02.14 at 17:24
>ガレキ処理に対するヒステリックな反応
被災地に処理施設を作れば済むことを、わざわざ広範囲にまき散らすのが不自然、警戒して当然。
Posted by: こっこ | 2012.02.14 at 18:33
>ガレキ処理に対するヒステリックな反応
インターネットで流布されている以下の内容。
現在、詳細なエビデンスを調べている最中ではありますが、これが事実であれば、ガレキ処理にステリックになりそうです。
山形県の吉村美栄子知事が「47人の知事で少しずつリスクを抱えてはどうか。」と提案。政府主催の全国知事会議が11月21日に開かれ、野田佳彦首相が東日本大震災で発生した岩手、宮城両県の震災がれきについて「政府も安全性の確保に万全を期していくので、さらなる協力をお願いしたい」と広域処理に理解を求めた。
文部科学省が公表している放射線モニタリング情報の定時降下物の調査結果によると、平成23年12月21日9時~12月22日9時採取に採取された山形市の定時降下物から放射性セシウムが134、137をあわせて41MBq/km2(メガベクレル/km2)検出されている。47都道府県で21日~22日の降下物から放射性セシウムが検出されているのは山形市と福島市だけで、山形市は福島市の.9MBq/km2よりも多く、約14倍。
Posted by: 未来 | 2012.02.15 at 18:10
やっぱり、このコメント欄が異様な空気になちゃった。
Posted by: 三十浪 | 2012.02.15 at 22:52
「コメント欄が異様なな空気」?どこが?
どれもまともな意見だと思うが。発言を控えろなど書き込む貴方のほうがよほどどうかしてると思うよ。
Posted by: 通りすがり | 2012.02.16 at 00:41
>肌で感じ取り、目で見て、情報を分析して考えること、異なった考えを議論することその全てを一切禁止されているような感覚があります。
>他人のあげ足取りが好きな人と、使命を持ってる人は、ここでの発言を控えて下さい、ここのコメント欄が「異様な空気」になりますので。
>やっぱり、このコメント欄が異様な空気になちゃった。
異様な「空気」の作り方を再現したのですね。
Posted by: 萬斎 | 2012.02.16 at 03:24
少なくとも日本国内に居住していれば、この「異様な空気」を醸し出して
いるが果たしてどちら側なのかぐらいは判断できそうなものですがね。
Posted by: yumeno_tocyu | 2012.02.17 at 17:35
はじめまして。
神奈川県真鶴町の町議・村田知章さんがこのブログ記事をツイートしていて、
そこからお邪魔しました。
コメント欄ですが・・・
ここに書き込んでいる皆さん、放射性物質に寛容ですね・・。
放射性物質は目に見えないということを忘れているようです。
このブログ筆者様のおっしゃる、
『そんな「ごく当たり前のこと」も出来ない国に、原発の再稼働をする資格はない。』
という部分に私は同意です。
チェルノブイリ事故から学ばないのは、愚かです。
Posted by: ゆうこ | 2012.04.29 at 08:16
福島が、というよりもう日本全体が狂ってますよね??
チェルノブイリを経験し苦しんだ人達の警告を日本人はもっと真剣に聞くべきです。
放射能を甘くみたツケは全て自分とその子孫に。もう、時間がありません。
今まさに日本人が存続出来るか、という危機的状況だということを認識してください。
「チェルノブイリは見た目は派手でしたが、福島よりもはるかに小規模です。私は多くの日本人、特に子供たちは、私の姉よりもずっと早く病気になるのではないかと思います。心からの助言ですが、どうか避難してください。長期的な影響は計り知れません。 」
http://fukushima-diary.com/2011/10/news-%e3%83%81%e3%82%a7%e3%83%ab%e3%83%8e%e3%83%96%e3%82%a4%e3%83%aa%e3%81%ae%e8%a8%98%e6%86%b6%ef%bd%9e%e5%8e%9f%e7%99%ba%e3%81%8b%e3%82%891300km%e5%9c%b0%e7%82%b9%e3%81%a7%e3%81%ae%e9%bc%bb/ …
Posted by: BQN_yachiyo | 2013.02.27 at 07:43