今週のメルマガ「週刊 Life is Beautiful」の配信準備が整ったので、簡単に内容を紹介する。
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今週のざっくばらん
new iPad
ブログにも書きましたが、すでにリリース済みのアプリを新しい iPad 上で走らせるといくつか細かな不具合が生じることがユーザーの方々から報告され、先週はそれの対応に追われました。新しい iPad は画面の解像度は4倍になりましたが、CPU や GPU の性能がそれに比例して上がったわけではないので、既存の iPad や iPhone 向けに施したチューニングが必ずしも新しい iPad には適していない、というのが一番の原因です...
アップルの配当
アップルの配当の意味に関しては、「エンジニアのための経済学」のコーナーに書きましたが、理由はなんであれ、これまで配当に反対していたスティーブ・ジョブズがこの世からいなくなってしまったことが、この決定に至らせたのかと思うと、なんとも複雑な気持ちになります...
私の目に止まった記事
Prospective Employees Are Now Being Asked for Facebook Login Details
Facebook アカウントのパスワードまで要求するというのは極端な例だと思いますが、企業が面接する際に、その人の Facebook アカウントのタイムラインを読みたいと思うのは当然だと思います。私も UIEジャパンで人を採用した際には...
Another Crystal Clear Sign That OS X Is Going to Die Really Soon
iOS の方がアップルのビジネスにとってはるかに重要になっていることは事実です。結果として OS X の「iOS化」が進むことは十分考えられますが、iOS が OS X をリプレースしたり、iPad のために MacBook がいらなくなったり、ということは少なくとも近い将来には起こらないと思います。しかし...
Apple and Intel Signal New Era for Chip Makers
2011年に iOS デバイス向けに1億7600万個のチップ(ここでは CPU のこと)を出荷したAppleは、Intel に次ぐ二番目に大きなモバイル・チップの会社になったという記事。モバイル・チップの定義が少し曖昧なので、その定義しだいでは Qualcomm が1位になったりする世界ですが...
How The New iPad Creates 'Signaling Storm' For Carriers
新しい iPad が無線通信網に大きな負荷を与えることになるだろうと予測する記事。日本でも、スマートフォンが発信する大量のシグナルのために交換機に障害が出るという事件がありましたが、「使い放題プラン」の値段を大幅に引き上げる、シグナルの量を制限する、などの工夫をしないとこんな事故はまた起こると思います...
Zynga Buys Competition, Highlights Weakness
Zynga による OMGPOP の買収に関して、いかに iOS 用のソシアルゲーム市場の参入障壁が低く、Zynga のような会社がその地位を維持するのは簡単ではない、という話。私自身も iOS 用のアプリを作っているので分かりますが、参入障壁が低く、かつ、何が成功するのかを予想するのがとても難しい今の状況は...
Mystery of lost Fukushima radiation emails a major cover-up
せっかく受け取った SPEEDI のデータを福島県の職員が消してしまった事件に関する海外メディアの反応。原発事故以来、日本政府は秘密主義な上に誰も責任を取らない、という批判は良く見ます...
Mark Zuckerberg’s Letter to Investors: ‘The Hacker Way’
Mark Zuckerberg が上場に際して株主に対して書いた手紙です。「会社とは何のためにあるか」を考えさせてくれるとても良い文章なので、ぜひとも原文で読んでください...
Windows95誕生ものがたり(15):32-bit API
Cairo との軋轢はさておき、Windows Explorer の開発は順調に進んでいた。Namespace extension の仕組みも順調に動き、File Manager、Control Panel、Program Manager を統合する、という当初の目的は十分に達成できていた。94年に入ったある日、Chicago チームの開発マネージャである David Cole が私とChris Guzak を呼び出した。David のオフィスに行くと、32-bit 版の API の開発に問題があると言う...
エンジニアのための経営学
Apple が発表した「キャッシュの使い道」
アップルがiPod、iPhone、iPadからの利益で貯め来んだ $97.6 billion (日本円で約8兆円)キャッシュをそろそろ株主に還元すべきというプレッシャーは日に日に高まっていたが、ようやく今月の19日に、配当も含めた「キャッシュの使い道」を発表した...このアナウンスメントに関しては賛否両論が飛び交っているが、それも含めて少し解説してみる......この利益余剰金は、経営者のものではなく株主のものなので、経営陣が勝手に使うことはできない。利益余剰金の使い道が決められるのが「経営会議」ではなく、株主を代表する取締役の集まりである「取締役会議」なのはそれが理由である。取締役の大半が経営陣で構成される日本の企業の場合は、その二つにあまり違いはないが、コーポレートガバナンスが働いている健全な会社においては、その二つの会議には大きな違いがある...
ブログには書けない話・書かない話
私が Internet Explorer の開発に関った理由: その19
Internet Explorer 4.0 の開発も佳境に入った96年には、Windows Shell チームと Internet Explorer チームは完全に一体となり、「まずは Internet Explorer 4.0 をリリースし、次に Windows 98 をリリースする」という開発体制のもとに、あたかも一つの製品を作るかのように開発を進めた。そのため、本来ならばシステム側のモジュールである Comctl32.dll を Internet Explorer のために変更し、Internet Explorer 4.0 と同時に配布する、などの後から考えるとかなり乱暴なことをし始めた...
読者からの質問コーナー
まずはこの質問から。
福島の原発であきらかになった議事録事件ですが、マイクロソフトなどでは、こうした議事録の作成はどのように実施されていたのでしょうか?
一見、小馬鹿にした質問に見えますが、大規模なプロジェクトでは、言った、言わないといったトラブルを避ける必要があると思います。人間関係をいたずらに悪化させないためにも必須と考えています。
マイクロソフト時代に限らず、重要なミーティングの際には議事録を書く様にしていますが、あまり事細かに「誰が何を言った」ということは書かず、「どんな意思決定がなされたか」だけを簡潔に書くのが米国では一般的です...
次の質問です。
1995年にHPの計測ソフトでVEEというものを触ったことがあります。このソフトは、Visual StudioのようにコーディングするのではなくXcodeのStory Boardのようなイメージで操作モジュールをおき、フローの順番に結線していきます。結線後、スタートボタンを押せば実行できます。後にインタープリタ機能だけでなくコンパイラも付属して高速化されました。コードを書く作業がなくなるとは思いませんが、今後、こうした可視化が増えていくのでしょうか?
あらゆるアプリケーションの開発にこの手の手法が使えるとは思いませんが、ある程度ユーザーとのやりとりの流れが定まったアプリケーションの開発に関しては、さまざま開発効率を上げる手法が今後も開発されて行くと思います。ただし...