「組織と人と法律」を根本的に変えずに、再稼働などありえない
2012.04.16
ウォールストリート・ジャーナル日本語版が原発の再稼働についてアンケートを集めたところ、反対票が92%だったそうである(参照)。
ここまで反対派が多いのは、問題が単なる「100%安全な原発などありえない」という「科学的」安全神話の崩壊から、「日本政府には原発のような危険なものは任せられない」という「組織的」安全神話の崩壊に達しているからである。
今回の事故を通して分かった、日本の行政機関の欠点を箇条書きにしてみる。
- 過酷事故への準備を全くしていなかった(それは今でも変わらない)
- 住民の安全よりも「パニックを起こさない」ことを優先する
- 東電に変わって事故を収束させる能力など全くない(これから先もない)
- 放射性物質を含む食品の流通を止めることができない
- 資本主義の原則に基づいて東電の破綻処理をすることすらできない
- これほどの事故が起こったとしても「責任」を取る役人はいない
- 原子力安全保安院の一番の役目は「国民に原発は安全だと思ってもらうこと」である
- 原子力安全委員会はたんなる名誉職で、保安院のやったことを「確認」するだけである
- 「すぐにはできない安全対策」を再稼働の条件になどできない
- 東電による周辺地域の住民への補償を速やかに行わせることなどできない
- 周辺地域の生活や経済を元通りにすることなどできない
- これから起こる病気の因果関係を解明して、きちんと補償することなどできない
- 放射性廃棄物の最終処理場はいまだに決まっていない
- 原発のプールは、使用済み燃料で満杯である
- 政権交代をしても何も変わらないのは、実質的に国を動かしているのが霞ヶ関の官僚だからである
全く情けない話である。こんな信用できない連中に原発のような危険なものは任せられない。「組織と人と法律」を根本的に変えずに、再稼働などありえない。
痛快です。
Posted by: Hideki | 2012.04.16 at 21:23
武田教授の話がYouTubeにアップされているのでごらんになってみては?
概ねおっしゃるとおりなのですが、今回、明らかになったのは「一度GOサインを出すと、そのGOサインを出した官僚の名を汚すわけにはいかないのでGOと認めたものを引っ込められない」ということ。
ミスが許されない官僚の昇進制度と事故原因が密接に関係していることがわかります。
同じことは、過去にゆとり教育でもあって、ますます顕在化したなぁと感じます。
Posted by: やました | 2012.04.17 at 02:43
今回の事故は、事故後の対処の問題も含めて根本的には技術の問題ではなくマネジメントの問題であると、僕は3.11以降考え続けています。
『「科学的」安全神話の崩壊から、「日本政府には原発のような危険なものは任せられない」という「組織的」安全神話の崩壊に達している。』まさにその通りだと思います。
Posted by: tarosan9 | 2012.04.17 at 15:27