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今週の週刊 Life is Beautiful : 5月29日号

今週のメルマガ「週刊 Life is Beautiful」の配信準備が出来たので、簡単に紹介する。

今週のざっくばらん

VoicePic

ブログにも書きましたが、UIE Japan から「音声付き写真共有」という新しいジャンルのソシアル・ネットワーク・アプリ VoicePic をリリースしました。私自身もPhotoShareというサービスをローンチして色々と学びましたが、この手のサービスは、使う人たちの「感情」の部分にどこまで訴えられるかが鍵です...

教育アプリ

アプリそのものの機能はかなり充実して来たので、先週は Facebook API を活用した「ソシアル機能」の追加を開始しました。いまさら強調するまでもないとは思いますが、スマートフォン・アプリを多くの人たちに使ってもらおうとする場合、Facebook や Twitter との連携は必須と言える時代になりました。これは Google vs. Facebook という巨大広告市場がかかった大バトルとも関係するとても興味深い話ですが...

私の目に止まった記事

Facebook Adds “Good Enough” File Sharing To All Groups. Dropbox Should Worry About Growth 

私は最近、Facebook のグループを仕事で使うことが増えているので、このファイル・シェアリングの機能にはとても期待しています。まだまだ API が充実しているとは言えませんが、ちゃんと進化させて行けば Dropbox や Basecamp にとっては驚異的なライバルに...

Navajo Group Fights Aquifer Mine

原子力発電というと、日本では、安全性と使用済み核燃料の問題(バックエンド)ばかりが注目されていますが、世界的に見ると、ウランの採掘(フロントエンド)も環境に多大な影響を与えており、これを問題視する人たちが増えています。1000年後の未来にも...

Apps vs. Mobile Web Will Be Decided by the Natives

特定のOS向けに作ったアプリかHTML上に作ったウェブアプリか、という議論は相変わらず続いていますが、結局のところは、技術論ではなくて、ユーザーの行動パターンが決める、というのがこの筆者の意見です。私自身は、2000年ごろから「最終的にはすべてウェブアプリになる」と言って来ましたが...

7 Reasons Why Facebook IPO Was A Bust - Forbes

Facebook 株の実際の取引価格が公開時の株価を下回ることになってしまったことに関しては、多くのメディアが批判的な記事を書いています。先週も書いた通り、「Facebookの株ならばいくらであろうと買う」という非合理的な投資家があまりにもたくさんいたために、起こるべくして起こった現象だとも...

How Facebook Knows What You Really Like

開発中の教育アプリにどうFacebook APIを活用しようかと考えていたところだったので、とてもタイムリーな記事でした。インターネット上の情報により多くの意味を持たせようという発想は以前からありましたが、そんなサイトが増えなければそれを活用するツールも作られず、ツールがなければ...

The Facebook Fallacy

IPO 後の株価が下がったせいか、Facebook のビジネスモデルに関する批判的な記事が目立つ様になってきました。この記事はその中でももっとも辛口なもの。必ずしも100%同意はできませんが、インターネットやスマートフォンアプリの広告ビジネスに関わっている人には一読の価値があると思います。私が同意できない部分は、この記事の筆者が「Facebookはネット広告ビジネスの会社」と...

Windows95誕生ものがたり(18):OLE

Tony Williams と何度か話しているうちに、Windows の extension も OLE を使ってロードすべきだと説得されてしまった私は、それまで独自の仕組みを捨てて、OLE を使った仕組みに変更する作業を開始した。アプリケーション・グループで開発されたOLEをWindows95の一部として採用するかどうか、というMicrosoft 全体にとって非常に重要な戦略的な決断ではあったのだが、例によって...

エンジニアのための経営学
ベンチャー投資(2)

創業者自身もしくは家族や友人から集めた資金を使ってどこまで出来るのか、というのは会社によって大きく違います。簡単なウェブ・サービスやiPhoneアプリ程度であれば、それだけでサービスやアプリのローンチまで持って行くことも十分に可能です。ハードウェアビジネスであるならいざ知らず、ソフトウェアであれば、少なくともプロトタイプぐらいはこの段階で完成していないと次の段階には進めません...

読者からのご質問・ご意見コーナー

今週は、この質問から。

私は技術者で開発者が作ったツール(アプリケーション)を使用してデータを作る立場にあります。しかしツールの仕組みは難解でかなり勉強しなければ使いこなすことができません。また操作方法も難しく、多くの技術者がそれに時間を割かれてしまい本来しなければいけない仕事になかなか手が回りません。この問題は開発者と実際にツールを使用する技術者との部門が分かれていて、実際のツールを使う人の操作性を考慮されていないことが原因だと思います。逆に開発部門では中島さんがメルマガで書かれていたようにエゴや立場や試行錯誤など色々な苦労はあると思いますが、このままでは溝は深くなり会社の利益を大きく損なってしまうのではないかと思います。もうすでに損なわれていますが。このような事態を解決するため、開発者と使用者の距離感を縮めるためのよい方法はありませんでしょうか?中島さんの経験なども踏まえてご回答をよろしくお願いいたします。

まず第一に、開発部門の人たちに「使う人がツールを使いこなせない場合の責任は100%開発者にある」という認識...

次の質問です、

.NETのシンプルさに比べると、COMは難解で複雑なイメージがありましたが、今週のOLEの記事を読んでイメージが変わりました。このようなレガシーの技術は、今からでも教養として勉強しておく価値はあるでしょうか? あるいは、新しい技術の習得に集中した方が良いでしょうか?

何を目的に勉強するのかによりますが、特に現在の仕事に関係がないのであれば...


マヨネーズの瓶と2杯のコーヒーと原発事故と

Mayonnaise_jar_250_ml

前にも一度、読んだことがあるのだが、"The Mayonnaise Jar and Two Cups of Coffee" という文章がFacebook経由で再び回って来た。とても良い文章なので、翻訳してみる。

ある大学教授が哲学の授業に何やら色々なものを用意してやって来ました。授業が始まると、まずは空っぽの大きなマヨネーズの瓶を机の上に取り出して、中にゴルフボールを詰めはじめます。ゴルフボールが一杯になると、「この瓶はもう満杯だと思いますか?」と生徒たちに質問します。生徒たちはそろって「満杯です」と答えます。

次に教授は小石が入った袋を取り出すと、その瓶の中に入れはじめます。瓶を時々揺らすと、小石はゴルフボールの間に入って行きます。瓶がゴルフボールと小石で一杯になると、教授は「この瓶は満杯だと思いますか?」と再び質問します。生徒たち全員がうなずきます。

次に教授は砂が入った袋を取り出すと、その瓶の中に入れはじめます。砂は小石の隙間をサラサラと流れ、瓶はゴルフボールと小石と砂で一杯になります。教授は、もう一度「この瓶は満杯だと思いますか?」と質問します。生徒たちは、「はい、満杯です」と答えます。

次に教授は、コーヒーカップに入った2杯のコーヒーを取り出すと、瓶の中に注ぎ込みます。コーヒーは瓶の中の砂に吸い込まれるように入って行きます。生徒たちはとうとう笑い始めます。

笑いが落ち着くと、教授が言いました。「この瓶は皆さんの人生を表しています。ゴルフボールは、大切なものを表しています。家族、子供、健康、友達、情熱などです。もし他の全てのものを無くしたとしても、そういった大切なものさえ持っていれば、あなたの人生は充実したものと言えます。

小石は、それほど重要でないけれど、人生にとって意味のあるものです。仕事、家、車などです。

砂は、その他の些細なものです。もし、先に砂を瓶の中に入れてしまうと、小石やゴルフボールを入れる場所がなくなってしまいますよね。それと同じで、些細でどうでも良いものに人生の貴重な時間やエネルギーを費やしてしまうと、あなたにとって大切なものの場所がなくなってしまいます。

あなたの幸せにとって本当に大切なことに注意を払ってください。自分の子供たちとはできるだけ多くの時間を過ごしてください。健康診断は毎年受けてください。奥さんをディナーに連れて行ってあげてください。ゴルフをもう一ラウンド楽しんでください。家を掃除したり、壊れたものを直す時間は後でもあります。あなたの人生にとって大切なものを常に優先してください。他のものは単なる砂に過ぎないのです。」

生徒の一人が手を上げて、コーヒーは何を表しているのかと質問します。

「良い質問ですね。人生がいかに満ち足りたものであったとしても、常に友達とコーヒーを楽しむ余裕ぐらいはある、という意味です。」

原発事故が福島県の人々から奪った「土にまみれて遊ぶ子供の笑顔」、「自分の庭で育てた野菜で作った夕ご飯」、「祖父の時代から改良に改良を重ねて育んで来た畑の土」は、まさに福島に暮らす人々とって何よりも大切なもの(ゴルフボール)。確かに電気ポットやオール家電は便利だけど、そんな些細なもの(砂)のために地方の人たちを危険にさらしてまで原子力発電を稼働させる必要が本当にあるのかどうか、もう一度考えす必要があるとつくづく思う。

【追記】ちなみに、日本中の電気ポットを昔ながらの魔法瓶に取り替えるだけで、原発三基分の電力が節約できる。真夏の電力ピーク時に日本中のテレビを消せば、原発十基分の電力が節約できる(参照)。電気ポットを捨て、真夏の一番暑い時間帯にはテレビを消す。たったそれだけの小さな努力で、日本の原発への依存度を大きく減らすことができる。


今週の週刊 Life is Beautiful : 5月22日号

今週のメルマガ「週刊 Life is Beautiful」の配信準備が整ったので、簡単に内容を紹介する。

◇ ◇ ◇

今週のざっくばらん

教育アプリ

先週は二つほど新しい機能を追加しました。一つは「音楽を聴きながら勉強する」という iPhone ならではのスタイルを支援するために、アプリから音楽の演奏を指定できるようにしました...

私の目に止まった記事

Facebook Will Have The Biggest Tech IPO Ever, Raising $16 Billion With $38 Share Price

Facebook の上場は、もちろん社員や既存の株主たちにとってはすばらしいニュースですが、まわりの熱狂ぶりは少し異常だと思います。私のところにも、知り合いから「Facebookの株は買いますか?」「Facebookの株は買うべきだと思う?」という質問がいくつか来ました...

 Open Letter to New Facebook Millionaires: Pay off mom’s mortgage! (And 5 other tips)

Facebook の上場により、社員の中から約1000人の億万長者(millionairs)が誕生すると予想されていますが、その人たちへのお金の使い道に関する助言が書かれた記事です。記事の内容もそれなりに面白いとは思いますが、注目していただきたいのは、その1000人の大半が、重役でもなんでもない平社員エンジニアだという点です...

Here Are 10 Reasons Not to Buy Facebook Before You Buy It Anyway

この記事でも触れていますが、FacebookのIPOに関しては「株価に関係なく買う」人が実にたくさんいるようです。Facebookというサービスそのものを使っている人が多いこと、GoogleやApple の株価の上昇に「乗り遅れた」と感じている人たちがたくさんいることもそうですが、それよりも...

Previously Classified Documents Unveil Potential Fire Dangers At San Onofre

福島第一での事故後も、何事もなかったかのように続けられている米国の原発ですが、市民団体からの圧力は高まる一方です。この流れを見る限り、米国では政府として「脱原発」はしないにも関わらず、市民団体からの圧力が高まる→安全基準が一層、厳しくなる→安全のためのコスト増で原発の運営が苦しくなるという流れで、結果的に緩やかな脱原発が進む...

This Might Be Apple's Biggest Opportunity Yet

iPod、iPhone、iPad と立て続けに人々のライフスタイルを変えるほどのヒット商品を出した Apple ですが、この三つの商品に匹敵するほどのインパクトを持つ次の商品としては、iTV(Apple TV を内蔵したテレビ)しかないだろうというのが多くの人の予想です。テレビ・ビジネスの一番の問題は、その利益率の低さです。常に40パーセント近い粗利益率でビジネスをしているアップルにとって...

Windows95誕生ものがたり(18):OLE

ちなみに、namespace extension を含めたさまざまな shell extension を動かす仕組みの土台には OLE(Object Linking and Embedding)という仕組みを使っていた。OLE は元々は Microsoft Office グループで作られたテクノロジーで、Excel で作った表やグラフを Word に貼付ける時に、単なる文字や画像として貼付けるのではなく、Excel というアプリケーションが紐づいたままのオブジェクトとして貼付けることにより、後から表の中の数値を変更して再計算させたりを可能にする、という仕組みである...

エンジニアのための経営学
ベンチャー投資(1)

 先日、楽天によるPinterestへの投資が発表されましたが(参照)、私にはこれは「足元を見られた高値づかみ」にしか見えません。Instagram の Facebook による$1 billion ですらバブリーな価格だと言われているのに、単なる投資の段階で $1.5 billion というのはどう考えても「足元を見られた」としか言い様のない価格です。なぜ私が、この投資を「高値づかみ」だと思うのかは、そもそも米国でのベンチャー企業への投資がどんな風な仕組みでされるのかを理解していないと分かりにくいので、まずはそれを...

読者からのご質問・ご意見コーナー

今週は、読者の一人の方からの質問三つに答えてみます。

質問1 4月10日のメルマガで、ソースコードレビューを実施できなかったため、"code review by Janitor Joe" (掃除人夫 Joe による code review 済み)と書いた。というエピソードが紹介されています。もし、このとき中島さんがレビュアーを依頼するとしたら、どういう人を選ぶのでしょうか?弊社でもビジネス携帯は異なりますが、レビュアーが必要となるので、5件以上の製品開発リーダーを担当したデザイナーに依頼するのルールになっています。これだと、経験に偏りが出るように思えます。中島さんがレビュアーに期待する資質を教えてください。勤務してきた会社でのレビュアーの基準も教えていただけないでしょうか?

私がレビュアーに求めるのは...

質問2 最近、メルマガでITゼネコンに関する質問がでてきていて、顧客不在のソフト開発を指摘する声が多くなってきています。どう考えても仕様書だけをみて開発した顧客不在のソフトを購入した経験があります。こんな会社からは2度と購入したくないと思います。こうした状況はよくわかるのですが、海外のオフショアの開発では、こんな開発丸投げで、大変なことになった事例などはあるのでしょうか?

海外のオフショア開発でも同じような問題は生じます。私の見る限り、問題は開発を委託する...

質問3 IntelとARM陣営の記事で気になったことですが。IntelはMSのVisual Studioを始めとしたプログラミング環境があります。一方、ARM陣営には、gccを始めとしたプログラミング環境がメインです。ARMもgccを改良してDS5というIDEを用意しています。私はARMの方がIntel-CPUに比べてプログラミング環境が脆弱であるという印象を持っています。ARMがもし、Intelから更にシェアを取ろうとした場合、プログラミング環境はどう対策を実施すれば、Intel-CPUのプログラマーをARMに変えることができると思いますか。

私は最近はもっぱらiOS向けのアプリケーションの開発をしていますが、ARMだから開発環境が貧弱と感じたことはありません...


原発を止めてもリラッキングされた使用済み燃料プールの危険はなくならない

Arnie Gunderson 博士は以前から3号機での爆発は水素爆発ではなく、使用済み燃料プールの燃料が臨界を起こした臨界爆発(prompt critical explosion)だったと主張している。彼の主張は下のビデオを見ていただくのが一番良いが、その中で彼は「去年の3月に NRC Reactor Safety Team によって書かれたレポートには、使用済み燃料プールから爆発により飛び出して来たと思われる核燃料が1マイルも離れたところで発見された、と書かれている」と述べている。

その資料は、本来は非公開情報だが、すでにリークされており(参照)、誰でも読むことができる(読みやすいコピーをここに置いておく)。注目すべきは、10ページ目の以下の記述。

Fuel pool is heating up but is adequately cooled, and fuel may have been ejected from the pool (based on information from TEPCO of neutron sources found up to 1 mile from the units, and very high dose rate material that had to be bulldozed over between Units 3 and 4. It is also possible that the material could have come from Unit 4). [RST Assessment of Fukushima Daiichi Units. 3/26/2011]

使用済み燃料プールの核燃料が飛び散ったとすれば、それは単なる水素爆発ではなく、プールの中の核燃料が再臨界を起こしたとしか考えられない、というのが Gunderson 博士の主張だ。

ちなみに、このビデオでもっと気になったのは、Gunderson博士が「最近はどこでも使用済み燃料プールには臨界ギリギリにまで使用済み燃料を詰め込んでおり、万が一地震などでプールが損傷することがあれば、再臨界を起こす可能性が十分にある」と述べている部分。

日本でも、数年前から中間貯蔵場所の不足を補うために、全国の原子力発電所で「リラッキング」と呼ばれる燃料の詰め込みが行われている。2010年にも、関西電力が高浜1・2号機の使用済み燃料プールに実行増倍率 0.977 という臨界ギリギリのところまで(増倍率が1を超えると臨界暴走してしまう)使用済み燃料を詰め込んでいることの危険性が指摘されている(参照)。国際的には5パーセントの安全マージンが必要とされているのに、「しまう場所がないから」と言うだけの理由で2パーセントまで安全マージンを引き下げることを許容してしまったのだ。

たとえ原子炉を止めたところで、全国の原子力発電所のプールに詰め込まれた使用済み燃料プールがある限り、地震によりプール(もしくはプールの冷却施設)が破損し、使用済み核燃料が再臨界を起こして放射性物質をまき散らすという可能性はなくならないのだ。使用済み核燃料の最終処理をこれ以上先送りしてはいけない。これほどまでに危険な「負の遺産」をこのままの形で次の世代に残すことは許されない。

 


今週の週刊 Life is Beautiful : 5月15日号

今週のメルマガ「週刊 Life is Beautiful」の配信準備が出来たので、簡単に紹介する。

 

今週のざっくばらん

エんジニアtypeでの連載開始

エンジニアtypeというウェブサイトで連載を開始しました。第一回は、「FacebookとGoogle+の違いから、ソシアルな時代の「優秀な開発者」を定義する」というタイトルで...

オバマ大統領の同性愛者の結婚に関するコメント

オバマ大統領が米国の大統領として初めて、「同性愛者にも結婚の権利を認めるべき」と発言して話題になっています。面白いのは、「権利を認めるべきかどうか」が争点ではなく、「選挙前のこの大切な時期にそんなことを言ってしまって大丈夫なのか」という部分が争点であることです...

週末働くような企業はすべてブラック企業なのか?

ブログに「喜んで週末働きたくなるような仕事を選べ」というエントリーを書きました。大半の人は私が書いた意味を理解してくれたようですが、一部に「社蓄にするつもりか」「ブラック企業だ」というネガティブなコメントを書いた人もいるので補足します...

教育アプリ

今回のプロジェクトの面白い部分は、単なる「勉強するためのツール」という所から一歩踏み込んで、「楽しんで勉強できる」「勉強が苦痛でなくなる」というアプリケーションにしようとしている部分です。教師の役目の一つに「生徒にやる気をださせる」というものがあり...

私の目に止まった記事

Frustrated advertisers to Facebook: Take our money -- please!

Facebook が大小に関わらず広告主を同じように扱い、それに大手の広告主が不満を感じている、という記事です。何とも Facebook らしいと思えるのが、広告主の...

Intel: Lack of Capacity Obstacle to Any Apple Foundry Deal, Says CLSA

スマートフォン・タブレット市場でのCPUビジネスで大きく出遅れている Intel 。「割り切ってAppleが設計したARMコアを乗せたチップの委託生産もすべき」という見方もあります...

Draw Something Loses 5M Users a Month After Zynga Purchase

Zynga が $200Million 出して買収した人気アプリ Draw Something ですが、買収後に1ヶ月に500万人というペースでユーザーを失っているという記事です。私自身も、起業した UIEvolution という会社をスクウェア・エニックスに買収されるという経験をしているので...

Apple dominating Android with 84 percent of mobile gaming revenue

モバイルゲーム全体の売り上げの84パーセントがiPhone/iPad向けのアプリによるもの、という記事。米国の記事なので、iOS と Android しか見ていないのでこんな結論になりますが、日本や韓国のカジュアルなモバイル・ゲームを含めれば結果は大きく違って...

Report: Apple Is Dropping Google Maps from iOS 6

今の段階では、非公式で未確認の情報でしかないそうですが、Apple が iOS 用の地図ソフトに Google Map を使うのを辞めるという情報です。Apple と Google の関係がどうなっているかにもよりますが...

Windows95誕生ものがたり(18):Outlook Express

Capone (Exchange クライアント)、Marvel(MSN クライアント)に続いて namespace extension の仕組みを採用してくれたのは、Outlook Express。プロジェクトそのものが Windows グループ内部にあったし、担当者が知り合いだったこともあり、説得工作のようなことは...

エンジニアのための経営学
"Social by design" な会社作り・もの作り(4)

"Social by design" なもの作り、口コミ・マーケティングを最大限に活かしている会社と言えばやはり Apple です。私自身も2007年のiPhoneのローンチには立ち会いましたが(インサイダー情報を握っていたので、iPhoneが発表されることは知っていました)、その場の「空気」は言葉では伝えがたいほどの熱気を...

読者からのご質問・ご意見コーナー

まずはこの質問から、

フトウェアとはまったく関係ないのですが、最近私は書くことに興味があります。中島さんはどうしてメルマガなどで文章を書こうと思われたのですか?また文章を書く上での構成であったり気を付けていることはありますか?お忙しいところ申し訳ございませんが、ご回答頂けましたら幸いです。

最近は、このメルマガや雑誌のコラムなどに色々と書いている私ですが、文章を書くきっかけは2004年に始めたブログからです。そのころは単身赴任に近い状態だったので、家族通信ぐらいの気持ちで軽く...

次の質問は、少し長いので要約すると、

...そもそも、海外に行けるチャンスが多いと聞き、私は今いる会社に就職しました。(外資系ではなく日本に本社がある会社ですが、海外売上拡大を強く狙っている会社です。)しかし予想とは裏腹に、今働いている会社から"ソフトウェアエンジニア"としてアメリカ西海岸に行くのはとても難しいということが分かってきました。...そもそも、今いる会社はソフトウェア開発をインドや中国等にどんどん外注し、本社社員はコードを書かないというスタイルです。...私の今の状況から、西海岸のソフトウェア会社に転職するにはどうすれば良いでしょうか?中島さんが私の状況にいたらどういう行動を取るでしょうか?大変お忙しいとは思いますが、アドバイスを頂けたら幸いです。

ケースバイケースなので、答えは一つではないとは思いますが、米国の学校に一度行き、そこから就職先を探す、というのは英語の習得でも、ビザの面でも...

つぎに、前回のITゼネコンに関するテーマに関して、こんなフィードバックをいただきました。

蓮舫が二番ではいけないのてすか?と発言して話題になったスーパーコンピューターはITゼネコンが受注してコストが高すぎる。中国は天河というスーパーコンピューターで一時世界一になった。シリコンバレーのCPUや半導体を組み合わせソフトウェアは中国自前だったと思う。この技術力はなかなかのものではないでしょうか?

中国製のスーパーコンピューターに関しては私は詳しくないのですが、この手の「政府からの補助」は、市場から淘汰されるべき企業(もしくは事業部)の生命維持装置としてしか働いておらず、税金の無駄づかいなだけでなく、企業の新陳代謝を遅らせる原因にもなっているし、癒着と天下りの温床に...


日本が50以上の原発と大量のプルトニウムを抱え込んでしまった本当の理由

日本の原子力の歴史を網羅的に記述した文章が米国のPEC(Public Education Center)により公開された。 

United States Circumvented Laws To Help Japan Accumulate Tons of Plutonium

非常に中身が濃いので簡単に要約などできないが、この文章を読むと、日本の原子力発電と宇宙開発が「日本はいつでも核兵器を作ることができる」という「非核・核カード」を持つために押し進められたことが良く分かる。

私の目を引いた文章は何カ所もある。たとえば、

In October 1964, communist China stunned the world by detonating its first nuclear bomb. The world was caught by surprise, but nowhere were emotions as strong as in Japan. Three months later Japanese Prime Minister Eisaku Sato went to Washington for secret talks with President Lyndon Johnson. Sato gave LBJ an extraordinary ultimatum: if the United States did not guarantee Japan’s security against nuclear attack, Japan would develop a nuclear arsenal. The ultimatum forced LBJ to extend the U.S. “nuclear umbrella” over Japan. Ironically, this guarantee later enabled Sato to establish Japan’s Three Non-Nuclear Principles: to never own or produce nuclear weapons or allow them on Japanese territory. The policy won Sato the Nobel Prize for Peace. The Japanese public and the rest of the world never knew that these three principles were never fully enforced, and Sato allowed the secret nuclear weapons program to go on.

という部分。この文章によると、日本が米国の「核の傘下」に入ることになったのは、佐藤栄作がリンデン・ジョンソン大統領に「米国が日本を中国による核攻撃から守ると約束しない場合は、日本が自分で核兵器を作る」と脅したから。これによってノーベル平和賞を獲得したのだから、素晴らしい交渉力だ。

次の文章も興味深い。

By 1988, when the Senate ratified Kennedy’s U.S.-Japan Nuclear Agreement, Japan was one of only a few countries in the world that regarded plutonium as an asset, not a liability. The Soviets and Americans were trying to devise ways to store and secure vast quantities of this long-lived, radioactive element. In places like Germany and Italy, strong public protests compelled governments to store plutonium outside their own national borders.

冷戦も終わりに近づいた1988年ごろには、ソビエトも欧米諸国はどこも自国に溜め込んでしまったプルトニウムを「負の資産」と見ていたにも関わらず、1960年代に佐藤栄作が立てた国家戦略をひたすら押し進めていた日本だけがプルトニウムを「価値のある資産」と見なしていた、という話はなんとも言えずに皮肉だ。

その結果が、六ヶ所村の再処理工場であり、見果てぬ夢の「もんじゅ」なのだ。

結局のところ、日本が50以上の原発と大量のプルトニウムをバカみたいに抱え込んでしまった理由は、冷戦時代に佐藤栄作が立てた「『核兵器なしの核の抑止力』を持つために原発を作り、プルトニウムを備蓄する」という戦略を、ベルリンの壁が崩壊してからも20年以上も方向転換せずに、走り続けて来てしまったことにあるのだ。

本来ならば、トップに立つ政治家が「方向転換」を指示しなければならないのだが、ここ20年は政治家の影響力は落ちる一方で、本来の「舵取り」をする人がいないのが今の日本の一番の問題だ。

その結果、与えられた仕事を着々とこなすのは上手だが、ちゃぶ台をひっくり返すようなことは決して出来ない霞ヶ関の官僚が、1960年代に立てられた時代遅れの国家戦略を2012年の今になってもコツコツと実行しているから、原発を止めることもできなければ、使用済み核燃料の処理問題も先送りしたままで放置しているのだ。


「節電ソフト」ベンチャー OPOWER は脱原発の夢を見るか?

OPOWERは各家庭が使っている電力の「可視化」により節電を促すというウェブ・サービスを電力会社向けに提供しているソフトウェア・ベンチャー。2007年に設立されたばかりの企業だが、すでに全米50社以上の電力会社と提供し、のべ1テラワット時を節電した、とのこと。

私が来たばかりのころの米国は「省エネ」とはほど遠い国だったが、最近はLED電球もCostcoで売るようになったし、タクシー会社が次々に Prius に切り替えはじめた。「SNSベンチャー」の次に来るのは「省エネベンチャー」「代替エネルギーベンチャー」の波だ。全米の原発がすべて止まる日も遠くない。


喜んで週末働きたくなるような仕事を選べ

巷ではアップルが新入社員に向けたメッセージが話題を呼んでいる(参照)。普段、私が言っている「週末が待ち遠しいような仕事を選ぶな。喜んで週末働きたくなるような仕事を選べ」と同じ意味だ。

せっかくこの世に生まれて来たのだから、思いっきり人生は楽しむべき。そのためにも、夢中になれる職、人生を賭けることのできる仕事を選ぶことが何よりも大切。好きだから、誰よりも頑張れるから、他人よりも良い仕事ができる。成功できる。充実した人生が楽しめる。

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仕事には、ただの「仕事」と「人生を賭けるべき仕事」の二種類があります。

あなたの足跡がそこら中に付いた仕事。徹底的にこだわりたくなるような仕事。喜んで週末働きたくなるような仕事。

アップルでならそんな仕事ができます。

安定を求めてアップルに来る人はいません。危険を承知でプールの一番深いところで泳ぐために来るのです。

彼らは自分たちの仕事が「何か」を生み出すことを望んでいるのです。何かとてつもなく大きな、 他では決して起こすことのできない「何か」です。

 アップルへようこそ

【追記】せっかくなので宣伝しておくと、UIE ジャパンもそんな夢を共有出来る人たちを募集しているのでよろしく(参照

 


今週の週刊 Life is Beautiful : 5月8日号

今週のメルマガ「週刊 Life is Beautiful」の配信準備が整ったので簡単に中身を紹介する。

今週のざっくばらん

教育アプリ

先週も仕事時間の大半は、この教育アプリの開発に費やしました。モチベーションが上がっている時に典型的な仕事パターンは、朝4時ぐらいに起きて朝飯前に2〜3時間集中して仕事をし、お昼までに「その日にやろうと思っていたこと」をすべて終えた上で午後にはプラスアルファの仕事や...

私の目に止まった記事

Apple And Samsung Captured 99% Of The Phone Industry's Profits

巷では Samsung が売り上げベースで Nokia を抜いて No.1 になった件が大きく取り上げられていますが、注目すべきは売り上げではなく利益。利益ベースで見ると携帯電話機業界が生み出す利益のシェアは...

Why in the World is Microsoft Betting BIG on Nook?

Barns & Noble は「リアル書店」の最大手です。90年代にはライバルの Borders とともに全米のショッピング・モールに大規模書店を作るという戦略で売り上げを延ばし、昔ながらの小規模な書店を次々に駆逐...

Evernote Raises $70 Million Financing

Evernote が$70million(7000万ドル)を調達したそうです。非上場企業がこんな形で資金を調達する場合、「一株あたりの値段」は純粋に売り手と買い手の間の交渉によって決まります。その際に、売り上げだとか利益も一応は交渉の際の参考データとして使われますが、最終的には...

Nutella Says Facebook Ads Outperformed TV

Nutella (パンに付けるチョコレートペースト)が Facebook のターゲット広告の仕組みを使ったところ テレビ広告よりも効果が高かった、という話。Facebook の広告ビジネスはまだまだ発展途上ですが、すでにこんな...

Windows95誕生ものがたり(18):Marvel

Capone チームの次にコンタクトしたのが Marvel というプロジェクト名で MSN Online というオンライン・サービス用の専用クライアントを作っていたチームである。インターネット黎明期であった当時(94年)は、まだまだ Amarica Online (AOL) 全盛の時代で、インターネットのようなオープンな形ではなく...

エンジニアのための経営学
"Social by design" な会社作り・もの作り(3)

ナイキ商品の不買運動やスティーブ・ジョブズが復帰して以来のアップルの躍進を見ていると、一般消費者を相手にしたビジネスは、少なくとも先進国では一つの大きな転機を迎えているのではないかと思います。産業革命以来、世界中の生産システムは、自動化と大量生産、そしてトヨタが「カンバン方式」に...数ヶ月前に、日本のあるメーカーの幹部に「Apple の iPad に対抗する Android タブレットを出したいのだが良いアイデアはないか」と相談されたことがあります...そして一番の問題は、その「ビジョンの欠如」こそがその会社がAppleに勝てない一番の理由だということにその幹部が全く気がついていないことでした。

読者からのご質問・ご意見コーナー

まずはこの質問から、

「日本のソフトウェア産業にはゼネコンのような構造があり、孫請けのようなところでは、創意工夫もないような仕事しか行かないし、そういう仕事をすること自体が不幸だと思う」ということを書かれておられます。デメリットという点からすると、まさにそのとおりだと思うのですが、ゼネコン方式には何かメリットがあって、行なわれてきたと推測されるのですが、どうでしょう?製造業の例で言うと、皆が皆、開発者になるようなスキルややる気を持っているわけではありません。開発されたものを生産技術なり工場技術といった部署で噛み砕いて、現場作業者に与えています。法による「労働の義務」を果たさせるために、より多くの人(スキルややる気が低い沢山の人)を雇用するため、ライン工のような仕事が発生した(かつては比較的低い賃金で使えたのでメリットもあった)という(私の)認識ですが、日本のソフトウェア業界においても、わりと初期の頃に同じようなことを考えた人がいたのではないかと推測しますが、どうでしょう?(冗長&焦点がボケた質問で申し訳ありませんが、聞きたいこととしては2つ、1)「日本のゼネコンITは良くない。根源は終身雇用制である」の論をさらに進めるとどこにいくのか?、2)ゼネコンITを別の視点で見ることはできませんか? です。さらに過去とこれからという時間軸で見るとどうなるのか、も気になりますが)

奥が深い質問ですね。とても良い質問なので、簡単に答えられるものではありませんが、まずは歴史的経緯という面から、「日本にはなぜITゼネコンが出来たのか」を考察して見たいと思います...霞ヶ関からITゼネコンへの天下りも堂々と行われています。電力業界の「原子力ムラ」と同じように「ITムラ」が作られてしまっているのですね...