子供へのCTスキャンの場合、50ミリシーベルトで白血病のリスクが3倍に
2012.06.07
こちら(シアトル)に来てから毎年身体検査を受けているが、日本の身体検査と違い、胸部や胃のX線写真は撮らないのが原則だ。なぜかと医者にたずねると、「メリットよりもデメリットの方が多いから」という返事が返って来た。たとえわずかな被曝であろうと発癌リスクはあるので、明らかに必要という場合以外は被曝させないのがこちらでは常識なようだ。
CTスキャンは胸部X線の何倍もの被曝を受けることが一部の医者の間で問題視されているが、先週も、子供にCTスキャンを使うことに関しての論文が発表されて注目を浴びている。
Use of CT scans in children to deliver cumulative doses of about 50 mGy might almost triple the risk of leukaemia and doses of about 60 mGy might triple the risk of brain cancer. Because these cancers are relatively rare, the cumulative absolute risks are small: in the 10 years after the first scan for patients younger than 10 years, one excess case of leukaemia and one excess case of brain tumour per 10 000 head CT scans is estimated to occur.
ガンマ線の場合 mGy = mSv (ミリシーベルト) と考えて良いので、分かりやすく書くと、
(放射線に敏感な)子供にCTスキャンの使用すると、合計で 50 ミリシーベルト の被曝をした場合で白血病のリスクが三倍に、60 ミリシーベルト の被曝で脳腫瘍のリスクが三倍になる。ただし、そもそも子供の癌はまれなので、実際にCTスキャンによる被曝が原因で10年以内に白血病や脳腫瘍を発病する患者の絶対数は一万人あたりそれぞれ一人程度である。
となる。
CT スキャンによる被曝と、放射線被曝による被曝では、必ずしもそのまま比べることが出来ないことは分かるが、こういう数字を見るとやはり年間被曝量が20ミリシーベルト近くあるような所に子供を住まわせるというのは間違っているように思える。
しかし、厄介なのはこの一万人あたり一人という数字。国としては「交通事故にあう確立よりも低く、統計的に見ればそれほど危険とは言えない」という判断なのかも知れないが、それは役所の論理でしかないように私には思える。
ふむ。"こういう数字を見るとやはり年間被曝量が20ミリシーベルト近くあるような所に子供を住まわせるというのは間違っているように思える。"
Posted by: Tetsumah | 2012.06.11 at 07:31