Surface は「iPad キラー」ではなく「ノートパソコンキラー」だ
2012.06.19
ここ数年はアップルのことばかり褒めて来た私だが、今回のMicrosoft Surfaceはとても高く評価している。理由はただ一つ。ついに「しがらみ」を捨てることが出来たからだ。
マイクロソフトの連中に合うたびに、「マイクロソフトはスマートフォンを作るべき」と言いつづけて来た私だが、結局ノキアとの全面提携という道を選んだマイクロソフト。携帯電話に関しては通信会社とのチャンネルも必要だから、という彼らの言い訳にも一理ある。
タブレットに関しても私の意見は同じだったが、OEMメーカーとの関係を考えれば、どうせ無理だろうとあまり期待してはいなかったというのが正直なところだ。
Surface がすごいのは、これが最も大きなダメージを与えるのは、アップルではなく、Dell や HP などの OEM メーカーだということ。私の周りにもすでに、「次のWindowsパソコンはこれに決まりだ」といち早く宣言した人が何人もいる。
iPhone や iPad がマイクロソフトにとって脅威なのは、単にスマートフォン市場やタブレット市場をアップルに奪われるから、ではない。時代はすでに「ポストPC時代」へと急速にシフトしており、パソコン市場そのものが、スマートフォン市場とタブレット市場に取って代わられようとしているからだ。マイクロソフトの飯のタネである、パソコン市場そのものが脅かされているのだ。
今回の Surface の発表は、分かりやすく言えば「マイクロソフトのポストPC時代へのコミットメント」であり、「iPad にパソコン市場を奪われるぐらいならば、自分から奪う」というイノベーションのジレンマへのチャレンジである。
今回のアナウンスメントで明らかになったことをまとめると以下のようになる。
- マイクロソフトはアップルとの戦いをOEMメーカーと一緒にではなく、単独で戦うことを決めた(結果として、日本メーカーのパソコン・ビジネスからの撤退は加速されるだろう)
- ポストPC時代のマイクロソフトのビジネスモデルは、ソフトウェア・ライセンス・ビジネスではなく、垂直統合ビジネスになる。ソフトウェア+ハードウェアだけでなく、サービスもからめたビジネスだ
- マイクロソフトは、Surface が従来型のパソコン市場の終焉を早めるだろうことは十分認識しているが、そのリスクを負わなければ次の時代の覇者にはなれないことも良く知っている
問題は、マイクロソフトがどのくらいまで製造コストを下げることができるかだ。Tim Cook の元、世界最高のサプライ・チェーンを作ってきたアップルに対抗するのは簡単ではない。Office アプリがサクサクと動くSurfaceを500ドルぐらいで市場に出すことができれば、(iPadではなく)ノートパソコンの市場を一気に奪うことができる。Windowsユーザーにとって、とても魅力的な「ポストPC時代へのマイグレーション・パス」を提供することができる。
確かに、SurfaceやMetro UIのデザインは、いい意味でシンプル。Apple製品とはまた違う美学も感じます。この様な、MicroSoftの垂直統合型デバイスが普及してくれれば、アプリプラットフォームとして魅力的ですね。
ただ、Windows8のMetro UIそれ自体はいいのですが、Youtubeなどにアップされているレビューなどを拝見する限り、アプリがMetro UIに対応しているか、そうでないかによって、新旧2種類のUI画面を切り替える必要がある様です。Windows7の成功の後だけに、それは精神的障壁として大きいかな〜と思います。
で、この違和感、中途半端感は、以前にも何度か覚えが。最近だとMacにiOSライクなLaunch Padが採用された時です。
Macの場合、それまでにも、Dash BoardやらMission ControlやらSpacesやらUI画面さしきものが混在していたので、尚更です。実際に使ってみて大きな不便を感じるほどではないのですが、何かすっきりしないんですよね。たぶん、AppleTVなんかは、直接画面にタッチできないから、また違うUIなんでしょうし、画面を介さない音声認識が注目されるのも、もっともな訳です。UIの統合というのは難しい問題ですね。
Posted by: J J Nohara | 2012.06.25 at 19:19