Android 搭載セットトップ・ボックスは裸の王様か?
2012.07.19
今回の日本出張の一番の目的は、ケーブルコンベンション2012での講演(参照)。「放送ビジネスの将来に関して何でも好きなことを言ってくれ」と頼まれたので、いつもの調子で「セットトップボックスにAndroidを載せれば何とかなる、なんてとんだ勘違い。そんな甘い考え方でいたらケーブル業界は必ず負ける」と言い放ったとたんに会場がどよめいた。苦笑いをする人、しかめ面をしている人、拍手をしている人、など反応は人それぞれであったが、何か「触れてはいけないこと」を私が言ってしまったことは、明確であった。
講演後に知ったのだが、私の講演の直前に、KDDI の田中社長が自ら壇上に上がり Android 4.0 搭載のセットトップボックス「Smart TV Box」を発表してケーブル業界の人たちに協力を呼びかけたばかりだったそうだ(参照)。あの会場のどよめきは、その「鳴り物入り」のKDDIのアナウンスメントに対して、私が思いっきり「王様は裸だ!」と叫んでしまったからこその反応だったのだ。
関係者には「中島さん、狙いましたね」と指摘されたが、それは違う。例によって「Androidさえ載せておけばなんとかなる」という甘い考えの連中が表れるだろう、と牽制球を投げたつもりだったのだが、それがたまたま絶好のタイミングの図星になってしまっただけのことだ(その後に業界関係者から得た情報がまた何とも興味深いのだが、これ以上余計なことを書くと夜道が歩けなくなりそうなので、後はメルマガでつぶやくことにする)。
Android にしろ、HTML5 にしろ、テクノロジーは道具でしかなく、それ自身がゴールではないことを忘れてはいけない。テレビにせよ、セットトップボックスにせよ、「Android 4.0を搭載していること」をユーザーに対して宣伝したくなったとしたら、それは道具でしかない Android搭載 が「目的化」してしまっている証拠である。参考までに、少し前のエントリー「もし日本のメーカーがiPhoneを作っていたら...」向けに描いた絵を下に貼付けておく。
使う側からしたら、iOSだろうと、androidだろうと、対してこだわりはないんじゃないですかね。こだわってるのは、作る側の人たちではないかと。
Posted by: Murakka | 2012.07.20 at 08:38