市場原理と環境保護という二つの力が、米国を脱原発へと向かわせている
今週の週刊 Life is Beautiful:8月14日号

風が吹くと原発が止まる

昨日も「市場原理と環境保護という二つの力が、米国を脱原発へと向かわせている」という記事を書いたが、安全コストと環境問題で窮地に追いつめられる原発産業と比べ、再生可能エネルギー派の人たちにとって追い風なのは、Obama 大統領による再生エネルギー事業に対する税金優遇政策だ。

大統領選で Obama と戦う共和党の Romney は、「再生可能エネルギーは非現実的」と Obama の政策には反対を唱えているが、現に Obama 政権になってから 風力が 50 GW、太陽光が 5 GW の発電量を持つまでに至ったことの評価は高い(参照)。50 GW あればそれだけで原発11個分に相当し、1300万世帯(太陽発電と合わせれば1500万世帯)に既に電力を提供している(参照)。「非現実的」と呼べない規模になってきた。

Obama が大統領選に勝ってさらに4年間の税金優遇政策が続けば、米国内での再生可能エネルギー事業への投資はさらに膨らむ。規模の経済でさらにコストが下がれば、火力も含めた本当の意味での「grid parity(電力会社から買う価格よりも安い価格で発電すること)」を実現する日も遠くない。

日本の原子力ムラがどんなに抵抗しようが、この世界的な流れはもう止められない。今どき、津波対策のために原発の周りに堤防を築くなんて無駄な設備投資をしているのは日本だけだ。

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