今週の週刊 Life is Beautiful:9月11日号
neu.Tutor 正式リリース

原発をゼロにすると電気代が3万円になるって本当なの?

結論を先に言うと「原発をゼロにしてもしなくても2030年には電気代は3万円近くになる」というのが正しい表現です。

政府の発表した資料を読むと、2030年における一般家庭の電気代は、

  • 15%シナリオ:23,800〜28,200円/月
  • ゼロシナリオ:24,030〜30,612円/月

との予想です(資料の20ページ参照)。「原発をゼロにすると電気代が3万円」と一方的に言われるのとでは、ずいぶん印象が違います。

ちなみに、15%シナリオの計算は、原発の発電コストを 8.9円/kwh と見なして行われていますが、この値は「福島第一クラスの事故が起こった場合のコスト」を最低限の5.8兆円と見積もった値段でしかなく(実際には数十兆円)、経産省も「下限」でしかないことを認めています(経産省の資料には、"8.9円〜" と表示されています)。それに加えて、事故の教訓を生かした安全措置にはコストがかかるので、実際のコストは、火力よりもはるかに高い17.4 〜 20円超になるという概算も公表されています(参照)。  

その数字を当てはめて計算し直すと、15%シナリオの方がゼロシナリオよりも高くなってしまいます。つまり、この資料で提示されている「ゼロシナリオの方が若干高い」という予測そのものがかなり不正確だということです。

それにも関わらず、「原発をゼロにすると電気代が3万円になる」という言葉だけが1人歩きしているのはちょっと問題だと思います。

 

 

 

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